みやっちBlog

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個人の暮らしと心が丸裸にされる情報の一元化

2007年07月06日 18時20分17秒 | 政治・社会
国民総背番号制への2歩目となる「社会保障カード」が、年金基礎番号未統合問題のドサクサで導入されることになっている。



番号はこれから検討=「社会保障カード」導入で-柳沢厚労相(yahoo!ニュース 7月6日13時2分配信 時事通信)
=== 備忘録(引用)===
 柳沢伯夫厚生労働相は6日の閣議後記者会見で、年金記録漏れ問題に関する政府の新対応策に、年金や医療などの個人情報を一元管理する「社会保障カード」(仮称)の導入が盛り込まれたことに関連し、カードに付与する番号について「これからの検討と認識している」と述べ、導入時期の2011年度に向け、具体的に検討する意向を示した。
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国民の個人情報を一元管理しようとした「総背番号制」は、世論の強い反発で頓挫したものの、すでに住民基本台帳ネットワークシステムの運用と共に住基カードの導入が行われている。住民票コードをキーに住所、氏名、生年月日をデータとして記録してあるだけといいながら、実は各自治体でこの基礎的なデータにさまざまな情報をぶら下げてもいいことになっている。
つまり、将来の全国民対象データベースのキーデータの部分が住基ネットというわけだ。

そして、そのキーデータにぶら下げるデータのひとつとなるのが、今回の社会保障カードのデータというわけだ。

すでに、基礎年金番号も導入されていて、今回の社会保障番号がその仕上げということになるという。

住民基本台帳ネットワーク(住基ネット) (自治体情報政策研究所)
==== 引用 ====
社会保障番号いよいよ本格的検討へ 経済財政諮問会議が決定

 住民票コード、基礎年金番号に続く第三の国民総背番号である「社会保障番号」の導入に向けた検討が、経済財政諮問会議が了解したことで、関係省庁連絡会議を設置するなど、いよいよ本格的に進められることになりました。総務省は、住民票コードについては、これを共通キーにしてデータマッチングや名寄せを図るようなことはないとしてきましたが、社会保障番号ははじめからデータマッチングや名寄せのための共通キーとして設計されることになりそうです。
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つまり、国民総背番号制への批判をかわすために便宜上、住民票コード、基礎年金番号、社会保障番号と3種類の番号を国民一人一人に割り振ることにしただけで、社会保障番号を3つの情報のキーとするというシステム設計がされているということは、まさに国民総背番号制そのもの。
しかも、任意にさまざまな個人情報をぶら下げることができるとなれば、内閣がそのデータを基に公務員採用の可否を決めるということも可能になる。

もちろん、警察の犯罪データとのリンクがされたり自衛隊の持つ情報とリンクされれば、思想的なものも含めてすべて個人情報が国家に把握されることになる。

海外で、番号による行政サービルが行われていて不安に思ってない人のほうが多いのは、おそらく個人情報を悪用するような政府に対してきちんと意見を言えて政権交代を行える自信があるからなんでしょう。そこで、政府としては政権の座を維持するためにはむやみな個人情報の利用は控えることになる。

ところが、日本ではJALの労働組合がJALの客室乗務員約7000人の個人情報を無断で保有していたことが発覚して問題となっており、さらに市民団体などを対象に自衛隊が調査を行っていたことも明らかになっている。

思想、容姿など7千人分…JAL労組、個人情報無断保有(2007年2月27日 読売新聞)
=== 備忘録(引用)===
 日本航空最大の労組である「JAL労働組合」が、同社の客室乗務員約7000人分の思想信条、家族関係や、容姿などに対する評価を含んだ個人情報を、本人には無断で保有していたことがわかった。

 同組合は「組合員への連絡や勧誘活動などに使用するために保有していたが、不要な情報も含まれており、不適切だった」と説明。事実関係の調査が終了した後にすべて削除するとしている。

 同組合によると、このような情報は1996年ごろから蓄積。個人情報保護法で民間事業者などの義務規定が施行された2005年4月まで、会社から提供された客室乗務員の氏名、社員番号、住所、電話番号などの個人情報に、同労組の幹部らが独自に収集した情報を加えたものを組合内でデータベース化していた。

 中には、容姿や能力、性格などの評価や、支持政党や病歴などのプライバシーに属する情報が付記されるケースもあった。

 05年4月以降も、新たに加入した組合員などの情報を加えていたが、同法の義務規定に定められた本人の同意の取得などは、同規定の施行以前から保有していた分も含めて一切行っていなかった。

 この問題について、冬柴国土交通相は27日の閣議後記者会見で、「とんでもない話で、個人情報保護法上の問題があるかどうかを調査したい」と述べた。
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自衛隊が市民監視 「内部文書」を作成(琉球新報 2007/6/7)
=== 備忘録(引用)===
 【東京】共産党の志位和夫委員長は6日午後、国会内で記者会見を開き、陸上自衛隊の情報保全隊が自衛隊の活動に批判的な全国の市民団体や政党、労組、ジャーナリストなどの動向を調査した「内部文書」を入手したと発表した。イラク自衛隊派遣に関連し集会やデモ、ビラ配りなどの活動を監視対象としており、県内では沖縄弁護士会や沖縄平和運動センターなど15団体、5個人の活動15件と団体・個人不明の投書3件が記されていた。
 全国ではイラク自衛隊派遣に関連し、監視対象となっているだけでも289団体・個人に上り、高校生も含まれる。
 防衛省は「イラク派遣時」に限定したものとして情報収集自体は認めているが、今回の文書判明で普天間代替施設建設問題など防衛省や自衛隊の活動に対する集会なども対象になっている可能性が出てきた。監視活動が情報保全隊の本来任務の範囲内かどうかも議論を呼びそうだ。
 文書は情報保全部隊が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(2003年11月―04年2月)と陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(04年1―2月)の2種類あり、県内の団体・個人名は「反対動向」の文書にある。
 一週間ごとに行動内容や場所、人数、発言など詳細を記載。沖縄平和運動センターが04年2月に那覇市内で開いた集会では議長が「米国の占領支配を支援するものだ」との発言が実名で記載されている。
 団体・個人を「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などに区分。参加者の写真なども含まれていた。
 「一般情勢」の文書にはヘリ騒音などの苦情電話も挙げられ、実名や住所も記載している。ジャーナリストに関しては取材状況や報道内容のほか、懇親会で質問した記者の実名や質問の概要、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。共産党は「自衛隊関係者」から直接入手し調査した結果、「信ぴょう性が高い」と説明している。
 志位氏は「個人のプライバシーに対する侵害行為で、憲法違反だ」と強調、鈴木政二官房副長官に中止を要求した。
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なし崩し的に政府、内閣に個人に関する情報、特に思想や活動内容に関するもの、資産に関するもの、人間関係などが集まる仕組みができつつある。

これまでならば、年金は年金のデータだけで年金のデータと共に住民票のデータが見れるような状況にはなかった。実はデータの分散化というのは個人情報を守る基本でもあるのだが、それが利便性を追求するとデータの一元化が行われることになる。しかし、そうなると情報の漏洩や悪用という意味での安全性は失われてしまう。

つまり、政府は安全性より利便性を採ったわけだが、その利便性は決して国民のためではない。内閣と政府の利便性が最重要であり、国民の利便性はおまけ程度。そして、政府間で情報の秘密を守るという面はおざなりということになるのではと懸念している。

今は個人情報を含め情報の外部流出が盛んに問われているが、年金未納問題で未納議員のデータが次々明らかになったような状況や、自衛隊が個人の思想などを調査している状況を考えると、いずれ共謀罪創設が現実となったときには、誰を監視対称にするとかというのは一目瞭然ということになっても不思議ではない。

逆に言えば、道路網に設置されたNシステムとETC、スイカなどのIC乗車券、パスポートのICチップ埋め込み、防犯カメラなどによる移動の監視。クレジットカードやマネーカードよる経済活動の監視。郵政民営化による職員の非公務員化が可能とする信書便の検閲行為の現実化、電電公社民営化と盗聴法施行、ネットでの発言や表現などの監視等々。こうした国民監視のマテリアルがそろった上で、共謀罪を創るということが最初からのスケジュールだった気もしてくる。

自公政権が着々と国民監視体制をしかなければならない理由とはなんなのか。

それは、国民の不満が蓄積するような政策をこれから次々に行ってゆこうという下準備なのではないだろうか。

その総仕上げが、自民党の考える新憲法草案に沿った新憲法の制定というわけだ。
自民党新憲法草案では、『自由及び権利には責任及び義務が伴う』と明記した上で、公共の福祉を『公益及び公の秩序』と言い換え、国民(人民)の持つ基本的人権を制限し主権も制限したうえで、同盟国との共同軍事作戦において軍事力を持って参加できるよう集団的自衛権の行使を可能とできる内容となっている。
また、地方自治体への制限も増え住民投票の条文も削除されるという内容となっている。つまり、自民党案は道州制や地方分権を進める中で、地方の独立性が芽生えることによる自立宣言や、反乱の目を事前に抑えておこうという内容となっている。

ただ、今は国民が不満に感じ怒りを感じるような政策でも、改悪された教育基本法と教育3法をベースに改定される学習指導要領の下で教育されてきた国民は、おそらく不満も怒りも感じなくなっているのだろうと思うと、背筋が寒くなってくる。

不満分子を粛清する法律の整備はほぼ仕上げにかかりつつある自公政権。
となれば、これからが国民への負担を強いる政策を実行してゆく本番。

ぜひ、日本という国を構成する主権者として、しっかり考えて今度の参院選には多くの人に投票に出かけてもらいたいと願っている。



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さて、7月29日は参議院議会選挙ですね? (嗚呼)
2007-07-12 00:10:10
はじめまして。
メディアとかが勝手に指図した以外の参院選の争点って?

1)著作権法違反の非親告化について
http://asyura2.com/07/senkyo36/msg/1235.html
2)奴隷の電子刻印~年金騒ぎを口実にした「国民サービスカード」
http://asyura2.com/07/senkyo36/msg/1236.html
3)奴隷裁判員制度にNO!
※「裁判員に危険が及ぶ虞れのある場合、裁判員法廷にはしない」そうですが、
全く信用してないのを前提にしてあります。
http://asyura2.com/07/senkyo36/msg/1233.html

あちこち書き間違いが目につきますが、どーかご容赦ください;
なお、上記リンク内容は、現・政府与党の政策や法案のかなりの部分が、
某・反日悪魔カルト型世界支配狂信原理に沿って、
目下、急速かつ独裁強制的に具現化させつつあるんじゃないんか、ってな個人的認識が前提となっております。

関連ご参考例:
4)某外資によるN証券買収を巡る誤報について「など」。
※「リバースモーゲージ・ローン」ほか若干、訂正すべき記述個所がありました。
http://asyura2.com/07/senkyo32/msg/474.html
5)都知事選挙関連「など」。
http://asyura2.com/07/senkyo32/msg/805.html
6)「奴隷教育基本法」について。
※教育再生会議発足直後の時点で書いたもので、
その後の「官邸の腹話術」みたいな不審な一部動向は考慮されていません。
http://asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1463.html

たいへん失礼致しました。
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