山道をしばらく登り、少し息苦しくなった時などに立ち止り、ふと振り返って見ると、実にすばらしい景色を目にすることがあります。
私は本格的な登山の経験は全くありませんので、「そこに山があるから登るのだ」といった心境はとても理解できないのですが、ごく軽装でハイキング気分で登れるような山であっても、頂上なり目的地点なりに辿り着いた時の充実感は実に清々しいものです。さらに、四方とまではいかなくとも、たとえ一方だけでも遥かな眺望が望める所であれば、汗をかいて登って来た疲れなど吹き飛んでしまう体感は、やはりすばらしいものです。
また、頂上に至らなくても、ふと立ち止まった時や、コース途中に眺望台のような所でもあれば、そこから眺める景色も、三千メートル級の山の頂上から見るものとは雲泥の差があるかもしれませんが、私たちの心を和ませてくれるという点では甲乙つけがたいような気もするのです。
ゴールデンウィークに突入しました。
今年は比較的天候に恵まれそうな感じですが、この期間に登山をされる人も多いようです。いわゆるレジャーと呼ばれるものの種類は増えているようですし、それらを楽しむ人の数も増えているようです。その中で、登山は、そのレベルはともかく、今も昔も変わらぬ人気を保っているようです。特に最近は、中高齢者の登山人気は高いそうです。
そうした中で、毎年のように、この時期には、山の事故が増えています。避けがたい遭難もあるのでしょうが、その多くは、専門家の方から見れば、あまりにも無防備ゆえの事故が少なくないそうです。
あまりにも装備不足であること、実力以上のコース過ぎること、全くの素人集団であること、天候の変化を軽視しずぎることなどなど、ひどすぎる心がけの登山者も少なくないようです。
そして何よりも、体調の悪化や天候の変化を感じた時に、「引き返す勇気」が大切だと言われています。
登山中、ふと立ち止まり、振り返って見て登ってきた方向の景色を眺めることは楽しいことです。しかし、天候が予想より悪化しそうだとの情報や、予感に直面した場合、登山を中止して引き返すことは、なかなか決断できないものです。
登山に限らず、私たちは、立ち止まり振り返って見ることは簡単にできるのですが、計画や行動を中止して引き返すことは、なかなか容易なことではないようです。しかし、その決断は、後になれば後になるほど難しくなり、受けるダメージは大きくなっていきます。そのダメージが命取りになることも決して皆無ではないのです。
ある自動車会社で、燃費の虚偽操作が行われていたことが明るみに出ました。この会社は、かつてリコール問題でも隠ぺい体質が云々されたことがありますので、無茶を突き進めた結果の怖さは嫌というほど承知されていると思うのですが、組織となると経験から得たものが、なかなかうまく行きわたらないのでしょうか。
今回の件もは、明らかに意図的に虚偽行為を働いたのですから、当事者とその周辺は厳重に隠蔽対策を取ったと思われますが、もっと早い段階で、誰かが、立ち止まって振り返って見る機会があったと思うのです。残念ながら、声を出す勇気がなかったのでしょうか。
何もこの自動車会社ばかりでなく、多くの企業や公共団体で振り返りながら中止する勇気を持たなかった例は数多く見られますし、何かと話題になっている知事や、国会議員や地方議員の中にも、同様な例が山ほど透けて見えます。
ただ、少々心配なのは、振り返って見た場合、遠くの景色や他人の姿はよく見えても、自分の姿は見えないらしいということです。そばに付いている人が、厳しく注意してやってくださいよ。それが忠節というものですよ。
( 2016.04.30 )
私は本格的な登山の経験は全くありませんので、「そこに山があるから登るのだ」といった心境はとても理解できないのですが、ごく軽装でハイキング気分で登れるような山であっても、頂上なり目的地点なりに辿り着いた時の充実感は実に清々しいものです。さらに、四方とまではいかなくとも、たとえ一方だけでも遥かな眺望が望める所であれば、汗をかいて登って来た疲れなど吹き飛んでしまう体感は、やはりすばらしいものです。
また、頂上に至らなくても、ふと立ち止まった時や、コース途中に眺望台のような所でもあれば、そこから眺める景色も、三千メートル級の山の頂上から見るものとは雲泥の差があるかもしれませんが、私たちの心を和ませてくれるという点では甲乙つけがたいような気もするのです。
ゴールデンウィークに突入しました。
今年は比較的天候に恵まれそうな感じですが、この期間に登山をされる人も多いようです。いわゆるレジャーと呼ばれるものの種類は増えているようですし、それらを楽しむ人の数も増えているようです。その中で、登山は、そのレベルはともかく、今も昔も変わらぬ人気を保っているようです。特に最近は、中高齢者の登山人気は高いそうです。
そうした中で、毎年のように、この時期には、山の事故が増えています。避けがたい遭難もあるのでしょうが、その多くは、専門家の方から見れば、あまりにも無防備ゆえの事故が少なくないそうです。
あまりにも装備不足であること、実力以上のコース過ぎること、全くの素人集団であること、天候の変化を軽視しずぎることなどなど、ひどすぎる心がけの登山者も少なくないようです。
そして何よりも、体調の悪化や天候の変化を感じた時に、「引き返す勇気」が大切だと言われています。
登山中、ふと立ち止まり、振り返って見て登ってきた方向の景色を眺めることは楽しいことです。しかし、天候が予想より悪化しそうだとの情報や、予感に直面した場合、登山を中止して引き返すことは、なかなか決断できないものです。
登山に限らず、私たちは、立ち止まり振り返って見ることは簡単にできるのですが、計画や行動を中止して引き返すことは、なかなか容易なことではないようです。しかし、その決断は、後になれば後になるほど難しくなり、受けるダメージは大きくなっていきます。そのダメージが命取りになることも決して皆無ではないのです。
ある自動車会社で、燃費の虚偽操作が行われていたことが明るみに出ました。この会社は、かつてリコール問題でも隠ぺい体質が云々されたことがありますので、無茶を突き進めた結果の怖さは嫌というほど承知されていると思うのですが、組織となると経験から得たものが、なかなかうまく行きわたらないのでしょうか。
今回の件もは、明らかに意図的に虚偽行為を働いたのですから、当事者とその周辺は厳重に隠蔽対策を取ったと思われますが、もっと早い段階で、誰かが、立ち止まって振り返って見る機会があったと思うのです。残念ながら、声を出す勇気がなかったのでしょうか。
何もこの自動車会社ばかりでなく、多くの企業や公共団体で振り返りながら中止する勇気を持たなかった例は数多く見られますし、何かと話題になっている知事や、国会議員や地方議員の中にも、同様な例が山ほど透けて見えます。
ただ、少々心配なのは、振り返って見た場合、遠くの景色や他人の姿はよく見えても、自分の姿は見えないらしいということです。そばに付いている人が、厳しく注意してやってくださいよ。それが忠節というものですよ。
( 2016.04.30 )