雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

アホとバカの境界線 ・ 小さな小さな物語 ( 1811 )

2024-10-03 08:00:18 | 小さな小さな物語 第三十一部

「アホ(阿呆)」と「バカ(馬鹿)」は、辞書なのでは、どちらも同じ意味で「愚かであること。また、その人。」といった説明がなされています。もっとも、「バカ」の方には、そこから派生する意味も説明されていますので、こちらが本家なのでしょう。
私は関西育ちですので、アホとバカは少し違う意味で使っているように思います。アホというのは褒め言葉ではありませんが、「アホやなあ」という言葉には、「お前は愚かだ」といった意味は含まれていません。バカということになりますと、これはきつい言葉になります。
ずいぶん前のことですが、転勤で初めて東京で生活したとき、職場で「バカだな」と言われたときには、そうとう落ち込みました。反対に、私が「アホやね」と言ったとたんに、周囲がしらけてしまったことを覚えています。
この二つの言葉は、使われる背景も関係しますが、地域により少し違う意味合いを持っているように思うのです。

かつて、テレビ番組で、「アホ」と「バカ」が使われる地域を調査したことが報じられたことがあります。他でも、時々話題になることがあります。
東京圏は「バカ」が主流で、大阪圏は「アホ」が主流のようでが、その境界線を探るべく東と西から調べていきますと、東からは名古屋近くまで、西からは関ヶ原近くまで、それぞれの使用が確認されたようですが、やがて使用頻度が曖昧になり、「タワケ」という言葉が浮上するようです。ここから西は「アホ」、ここから東は「バカ」というような、明確な境界線は存在していないようです。
もっとも、多くの対比する物には、明確な線引きが出来ない物が、むしろ多いようです。例えば、「白か黒か」という談判もよくありますが、その中間の「灰色」は、限りなく白に近い物から、黒と見分けがつかないような物まであって、多くの場合はそのどこかで手打ちがなされ、白と黒の明確な線引きは難しいようです。
さらに、「アホと かしこ の境界線」となりますと、さらに複雑で、線引きすれば必ず間違った結果を導いているようです。

折から、石破新内閣が船出しました。
石破茂氏の自民党総裁就任への選挙の駆け引きは、投票者全員を記名にして、それぞれの思惑も付記して公開することが出来れば、スペクタルに満ちあふれ且つミステリアスなことこの上ないドラマが展開されていることでしょう。
しかし、石破丸は、かなりの逆風を受けての船出のようです。私は、今回の新政権はプチ政権交代が実現しての誕生と考えていますので、逆風は当然のことだと思っています。
首班指名を受ける前に「解散」を宣言するなどは、さすがに驚きましたが、野党のほとんどは「論戦から逃げた」と非難を強め、言葉汚くののしっています。もっとも、論戦と言っても、野党側は責められることはないのですから、逃げられたのは気にいらないでしょうし、野党間の協議のためにはもう少し時間が欲しいのでしょう。
自民党内からも、組閣人事に対してかなりの不満や非難が渦巻いているいるようです。これまで、石破氏に近いため入閣を逃してきた人もいるでしょうから、義理を果そうとした面が目立っていることも事実なのでしょう。
いずれにしても、長く政権主流から離れていた石破氏ですから、能力や実績が高く評価されてきた人とは疎遠勝ちと考えられ、新たな人財の活躍を期待せざるを得ない点もあるのでしょう。

とはいえ、いくらプチ政権交代が実現しているとしても、所詮は自民党政権です。派閥の多くは解消したとされていますが、主張や性質などから、いくつかのグループが誕生するのは避けられませんし、むしろそうあるべきではないでしょうか。そうした様々な集団の切磋琢磨があってこそ政党の能力は向上するのではないでしょうか。
与党内野党から首班に立った石破氏ですから、理想論と現実政策との境界線に苦しむことになるのでしょう。その境界線を巡って、どれだけの成果を上げて行けるかは、首相一人の力などごく一部で、いかに多くの支持者を得られるかにかかっているのではないでしょうか。そして、その第一歩は、解散総選挙の結果が重要になります。
石破新首相はその勝利によってプチ政権交代を推進させようとの思惑からの解散宣言なのでしょうが、本当の政権交代の可能性も皆無とは言えません。
案外、境界線は低いかも分りません。さて、さて、結果は如何に??

                      


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