Miquette’s assortment

みけこの詰め合わせ

金魚の夏

2013-09-11 | 
眠るのに大忙しなうちに、夏もすでに後姿ですが、ちょっとだけ振り返って、大人のための課題図書。

今年は・・・夏の縁日の金魚すくいでお子さんが予定外にもGETしてしまい、金魚さんをお迎えしたご家庭も少なくないかと。 久しぶりに飼育することになったけど、どうするんだっけ?というおとうさん・おかあさんに捧げます。

金魚のことば 君のきもちと飼い方がわかる73の質問 川田 洋之助 (監修), 岡本 信明
わたし自身は金魚を飼ってはいないし、飼う予定もないのだけれど、とても魅かれた一冊。 金魚の可愛らしさやハマってしまう人がいるのも納得の、愛情にあふれています。 とくに挿絵がキュート、金魚に縁がなくても読み物としておすすめです。

金魚―長く、楽しく飼うための本 (もっとわかる動物のことシリーズ) 川田 洋之助 (監修), 岡本 信明
上記の本の中でも定番として紹介されているシンプルな入門書。

金魚養画場 深堀隆介(著)
そして、透明なもの好きのわたしが以前からとても魅かれているのが深堀隆介さんの作品。 フツーに金魚でしょ?と思ったけど動かない??? 実は独自の技法で樹脂の中に何層にも描かれたものなんです。 本物の金魚が樹脂の中に閉じ込められているのかと思ってしまうほどの躍動感。 紙上の写真で実物の透明感を再現するのは難しいけれど、雰囲気は伝わる作品集。
この夏は、通院帰りに某百貨店にて小さな展示が見られてうれしかったです。

さて、オマケは本ではなくていただき物お菓子。

レース編みの金魚鉢に真っ赤な金魚を閉じ込めたゼリーが盛られていました。 あ、もちろん金魚自体も羊羹ですよ。

神様

2012-11-03 | 



川上弘美さんの『神様 2011』をようやく読みました。 この本には、1993年に書かれた『神様』に収録されている最初のお話である「神様」と、2011年3月末に書かれた(9月21日発売)「神様 2011」の2話が収録されています。

『神様』は川上弘美さんの、パスカル短篇文学新人賞を受賞したデビュー作で(正確には再デビューだそうです)、「神様」を含む9話の短編集(1998年中公文庫)。 主人公と不思議なだれかとの、淡々とした日常のようでよく考えてみたらそうでないような四季折々が綴られています。 やっぱり不思議な日々なのかな、なにしろ最初の一文が くまに誘われて散歩に出る。 だし。でも弘美さんの力で、そうい日常もまああるか、と思ってしまう。

2011年版の『神様 2011』は、『神様』で最初と最後のお話に登場するくま(名前はない)が表紙になっている小ぶりのハードカバー版。 「あのこと」の後の場合のくまとの散歩はやっぱり淡々と書かれていますが、そこかしこに「あのこと」の影響が。
弘美さんはあとがきで 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。 と書いています。 そう、文字の並びという点ではほとんど変わっていないのに、元のほのぼの世界とは別の世界、ドキッとさせられる変わり様です。
でも、もしかしたらわたしたちとっては、放射性物質を気にかけながら行動するということもすでに日常になってしまっている? しまいには何も感じなくなっていきつつあるのでは?という気もします。
ウランの神様がもしこの世にいるとすれば、いったいそのことをどう感じているのか。やおよろずの神様を、矩を越えて人間が利用したときに、昔話ではいったいどういうことが起こるのか。 というくだりでは、井上陽水さんの「最後のニュース」の歌詞 原子力と水と石油達のためにわたしたちは何をしてあげられるの を思い出しました。 1989年に聴いたときには、誰もこんな「日常」が自分に訪れるとは思っていませんでしたよね。
弘美さんは 静かな怒りが、あの原発事故以来、去りません。むしろこの怒りは、最終的には自分自身に向かってくる怒りです。むろんこの怒りは、最終的には自分自身に向かってくる怒りです。今の日本をつくってきたのは、ほかならぬ自分でもあるのですから。 と書いています。 キッパリとしていてすがすがしい。

わたしのほうは震災の後、みなが訴えるいろいろな怒りに打ちのめされていました。 「福島は首都圏で使う電気を作るためにこんな目に遭った」「首都圏の帰宅困難なんてたいしたことない」「パン等を買い占めする人がいる」「給油できないし、暖房の灯油もままならないのに、都内では車が普通に走っている」「停電してない地域はずるい」「不謹慎」などなど。  わたし自身は買い物自体に行けなかったり自動車を所有していなくても、直接言われた言葉でなくても、すっかり縮こまってしまいました。 そんなわたしはいまだ、キッパリと怒ることができません。 何かに対しても、自分自身に対しても。 原発反対!自分は正しい!と一点の曇りもなく言い切ることは難しい。 リウマチャーであるわたしは食器洗い機やエスカレーターやエレベーターを使う分とか、病院のエアコンとか・・・で、他の人よりも余分に電気を使っていると思うし、医療を含めて昔の暮らしに戻ってしまったとしたら生きていけません。 わたしの場合は、このどうしたらいいのかわからないという戸惑いを抱いたまま「日常」を生きていくのかな。


さて、この『神様』を原作として2002年にNHK-FMで「FMシアター 神様」が放送されました。 谷山浩子さんが主演で、主題歌である「神様」を書き下ろしました。 もう、似合いすぎ! コタタン山のくま(『ねこの森には帰れない』の「くま紳士の身の上話」)ともイメージがダブります。

2003年のCD『宇宙の子供』に、「神様」と「花野」(Instrumental)が収録されています。


そして、今年(2012年)9月、AQ!さん(NHKのクレジットでは石井明さんになっています)による、FMシアターのために書いた劇中音楽を発想の原点としたオリジナル・ソロCD『くまのおんがく』が完成・発売されました。


などなど、長々と書いてきて、結局は自分の好きなものを並べただけじゃないか・・・という状況ですが、こうして10年の歳月を経て、好きなものが重なっていくというのも、AQ!さんの語る ちょっと不思議な暗合 かなと思う次第です。

では・・・くまの神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように。

夏休みの課題図書(大人のための)

2012-08-31 | 
夏休みもそろそろ終わり。 でも、子供たちのためにがんばって大忙しだったり、仕事や夏バテでクタクタ大人・・・の夏休みはこの後かも。 そんな大人のための、課題図書など勝手に選んでみました。
もちろん読書感想文がまだできてない、という子供たちにもおすすめ。


ペンギン・ハイウェイ 森見 登美彦 (著)、 くまおり 純 (イラスト)

主人公は小学4年生、登場人物がみんな魅力的。 腐れ学生(笑)の登場が多いこのひとだけど、実は子供を描かせると上手いんです。 でも、お姉さんはしっかり森見氏好み。 SFかな?せつない初恋かな? 不覚にも泣かされました。




ライオンのつづき 大山 尚利 (著)、佐々木一澄(イラスト)

不思議なタイトルと表紙のイラストから、絵本かな?と思っていましたが、読みごたえのある作品でした。 子供のころには誰しも、秘密のプロジェクトのひとつやふたつ、やりましたよね。 タイトルもイラストも、その意味は読めばわかります。 これも、なかなかせつないお話、大人が読んだほうがそう感じるかな。 あとから考えてみれば、けっこう重いテーマを扱っているんですが、読んでいるときは夢中で、気負わせられません。




そのぬくもりはきえない 岩瀬 成子(著)、酒井 駒子(イラスト)

こちらの主人公も小学4年生で、女の子の波ちゃん。 酒井駒子さんの表紙イラストに魅かれて読みました。 冒険いっぱいの男の子とちがって、静かなな女の子ならではのもどかしさやせつなさが。 でも、やっぱり冒険があって、息苦しさから少し抜け出す波ちゃん。 読み終えたあとはまさに、ほのかなぬくもりが残りました。




雲の王 川端 裕人 (著) 、龍神 貴之(イラスト)

最後にも一冊、これは大人の冒険。 壮大なファンタジーかなと思いきや、案外現実的でした。 ちょっと科学的な説明の分量が多めなんだけど、これを機会に気象オタクへなる人がいるかも?



どの本も出会いあり、別れあり。 ネタバレになりそうで詳しく書けず、なんだかわからん紹介になってしまいましたが、読んでみた方、感想を分かち合いましょう。

季節はずれの「クリスマス・プレゼント」

2011-01-23 | 
クリスマス・プレゼント (文春文庫)今ごろになってクリスマス・プレゼント・・・をもらったわけではありません。 最近読んだジェフリー・ディーヴァーの短編集のタイトルです。

ジェフリー・ディーヴァーいえば、リンカーン・ライムのシリーズ。 昨年、現在の最新訳である「ソウル・コレクター」(8作目)まで読んだところです。 元々は長編が苦手なほうなわたし、話の展開が細かくて立ち上がりが遅く感じて、読み始めは読みとおせるのかなぁと心配になりましたが、読み進むにつれてスピード感がアップ、引っ張られるように読み進みました。 ミステリーにはドンデンは付き物ですが、ほんとにドンデンに次ぐドンデンに振り回されっぱなしの8冊でした。

そのリンカーン・ライムのシリーズからのスピンアウト1編を含む短編集がこれ。 邦題がが季節はずれになってしまいましたが、原題は"Twisted"だそうで、まさに捻った16編。 短編だしねー、とあまり期待せずにいたけれど、とても面白かったです。 長編を短くしたというのではなく、短編ならではという仕上がり。 どれもあっという間のストーリーなのに、もーどんだけドンデンやねん(笑)

ジェフリー・ディーヴァーを読んでみたい、でもいきなり長編はしんどいなぁというときにはまずこちらからがオススメです。 しかも文庫なのでジャマになりません(^^)

さて、リンカーン・ライムのシリーズの話をもう少し。 主人公のライムは安楽椅子探偵ならぬ車椅子探偵、屋内に居ながらにしてバリバリ活躍ってところが魅力かもと思ったのが、シリーズを読み始めたきっかけでしたが、登場するキャラクターの魅力もハズせません。
なかでもライムの助手としてレギュラーで登場するアメリア・サックスはカマロを疾走させる赤毛の美女。 で、彼女がひょっとしたらリウマチャーかもなんです。 関節炎と訳されていますから単に arthritis と書かれているのだろうと推測しますが、rheumatoid arthritis ではないとも限らないなあと勝手に想像したりしています。

そんなことや、よく出てくるアメリカのさまざまな地方色や会話、英語で読めて理解できれば楽しいだろうなーとは思うのですが・・・こんがらがるストーリーを英語で追うのは無理そう(^◇^; それができれば次の短編集の"More Twisted"もすぐに読めるんだけど、おとなしく訳されるのを待つとします。

机上の空論

2010-05-11 | 
そして、入院中にとうとう本が尽き、売店へさまよい出ることに。

四畳半神話大系小さな売店の書籍コーナーは小さくて、読みたいものが一冊もないんじゃないか、とあんまり期待していなかったのですが、少ない冊数の中に森見登美彦さんの文庫を2冊発見。 以前に宵山万華鏡を読んだので、そういうつもりで読み始めたのですが、あの作品は他のとは少しカラーが違うんだということがわかりました。

しかし、退院後にもその勢いで、ほとんどの作品を読み漁ってしまいました。 この人の作品は、ちょっと読みづらいというのか、とっつきにくいところがあって、いったんその世界から離れてしまったら、また慣れるのに苦労する感じで、続けて読んだほうがよさそうだったので。 ちなみに夫は脱落しました、いちばん読みやすそうに思えた「有頂天家族」をお薦めしてみたんだけど、ダメみたいでした。(^^;

SF→奇妙なむさくるしい世界、机上の壮大な空論と移動して、もう3ヶ月くらい頭の中がクラクラっぱなし、現実に戻れなーい。 「四畳半神話大系」などは、青春小説の形をとったSFだと思いました。 イッツ・ア・パラレルワールド。 

ところで、その四畳半神話大系が、今ちょうど、アニメになってテレビで放送されています。 版画風の絵柄や早口で畳み掛けるようなナレーションが独特で、ほの暗い雰囲気がよく出ていてなかなかいいなぁと思ったので、珍しく続けて見ているところです。 4話で終わるのかなと思ってたら、原作になかったエピソードもあったりして、もっと多くなるようです。 もう3話くらい終了してしまっているけれど、地域によってはまだこれから放送が始まるところもあるので、充分楽しめるのではないかと思います。

久しぶりに本の話題

2010-05-11 | 
またしても病気関連の話で恐縮だけど・・・入院に本は付き物、動けないとき、身体を動かす体力・気力のないとき、待ち時間、移動中、旅先などにも付き物、というわけで、このところ大量に本を消費。 着替えるのは億劫なのに、本は読めるのか? お風呂はしんどいのに、本は読めるのか? Yes! 横になったまま読み、しんどくなったらそのまま寝てしまえばいいのだ。(^^;;;

さきごろの入院に持って行った本。
大腸菌 ~進化のカギを握るミクロな生命体
まずは入院前に読みかけだった『大腸菌』。 ばい菌はイヤね!というお話ではありません。 分子生物学の発展に尽くして(?)きたEscherichia coli=大腸菌さんたちのこと書いた本です。 わたしの学生時代にも同じ研究室内でもやはりE. coliを使って実験していて、お役御免となった後に殺処分=オートクレーブで茹でられた匂い(なぜか鰹出汁っぽい)もなつかしく。 評判のいいカール・ジンマーの著で訳も良くて読みやすくて、読み物として面白かったです。
でも、病室に持ち込む本としては異例のタイトル?お医者さんや看護師さんに、その本はなんじゃ~、とウケました。 べつに菌そのものを持ち込んだわけじゃないんだけどね。(^^;

で、ほかはSFでした。 術後に新しい本をイチから読み進むのはしんどいだろうと考えて、以前に読んだお気に入りを持っていきました。
時間封鎖〈上〉最近好きになったロバート・チャールズ ウィルスンという作家さんの本。 日本で翻訳・発売されているのは4作品5冊の文庫で、すでに2作品が絶版になってしまっていますが、古本でも入手して読む価値があると思います。 詩情豊かでノスタルジック、SFの形をとった青春小説なんじゃないかと思います。 ゆえに、メカとかが出てきて大戦争・・・とかいうタイプのSFを期待する方には向きませんが。

なーる

2010-02-09 | 

宵山万華鏡

京都つながりで、ひさしぶりに本の紹介。
ものすごく季節はずれなんだけど・・・祇園祭の話です。

いま森見登美彦さんの宵山万華鏡を読み終えたところなのですが、タイトルどおり、この本はお祭りの万華鏡でした。 装丁もキラキラしていて中身にピッタリ。
6つのお話から成っていてそれぞれも完結しているのですが、全部を読み終わると・・・バラバラだった風景に焦点が合って、宵山様って誰やねん?も解決して「なーる」とつぶやいて頁を閉じることになります。
お祭りって灯がたくさん点って賑やかだけど、一歩外へ出れば暗闇。 宵山はこの世でないところへの扉の開く日なのかも。

正統派?の祇園祭観光を極めた人よりも、宵山は懐かしいけどもうたくさん(混みあうし)という人におすすめかも。 混むし暑いししんどいからもうええわぁと思っていたけれど、また見に行ってみようかなぁという気持ちになりました。

わたしも学生時代に、夕焼けごろから出かけて、日も暮れて鉾がきれい~、でも人混みで身動き取れない、喉渇いたけど露店の飲み物って何でこんなに高いねん、などとうろうろしていてたら、いきなりの大雨にざっぱーんと襲われて、地下道へ掛け込んでそのまま大阪へ逃げ帰ってきてしまったという思い出が。 夏のお祭りとはいえ、まだ7月半ばなので梅雨があけてないことが多いのでこのようなことになることも。(^^;ゞ

うーん・・・リウマチャーとしてはやっぱりあの人混みの中を歩くのはしんどいか。 怖い目にはあわなくても、痛い目にあいそう、コンチキチン。

ちなみに、森見登美彦さんはわたしが好きな万城目学さんと親交があるそうです。 この一冊だけでそう言ってしまうのは乱暴ですが、雰囲気が似ていると思ったんでした。 同大学出身で同世代かぁ、なーる。





ビロードのうさぎ

2008-07-06 | 
ビロードのうさぎ
ビロードのうさぎ(マージェリィ・W・ビアンコ/原作 酒井駒子/絵・抄訳 ブロンズ新社)


先週末、うさぎさんが届きました! とは言っても、うさぎはうさぎでも、絵本のうさぎさん。

「The Velveteen rabbit」 このお話は、Margery Williams Bianco(マージェリィ・ウィリアムズ・ビアンコ)が1922年に書いたもので、日本でも1953年に石井桃子さんが訳されて以来、読み継がれてきたお話で・・・ということは、わたしは全然知らなくて・・・昨年、この「ビロードのうさぎ」が新しく出版されたときのエピソードで知って、ぜひこの挿絵で読みたいと思い、ほしい本のリストに入れていました。
でも、まだ買っていないままだったところ、ある方からプレゼントしていただいたんです。 何かの記念日とかではなく、だれかにこの絵本のことを話したこともなかったのに、なんてすてきな偶然!

絵本をくださった方は、何年もお会いできていなくて、先日これまた偶然の再会をした方。 わたしからおねだりしたわけではなく、別の件のお知らせと一緒に送ってくださったんです。

あらすじを語ってしまうのは避けますが、アンデルセンの鉛の兵隊やコッローディのピノキオを思い出すような感じかな。 ある小さなぼうやに、クリスマスに贈られた、ビロードのうさぎに奇跡が起こるお話です。
わたしは奇跡という言葉はあまり好きではないのですが、この場合は、まさにウマのおもちゃの言うところの「子どもべやの魔法」であって、科学的に事実かどうかとかは問題ではないと思います。

「ほんもとうのもの」って、なんだろうというお話です。 大人には小さなころにおもちゃに対して抱いていた気持を思い起こさせる作品だと思います。 現役の子どもたちにも愛されている作品だそうですが、どんなふうに感じられているのでしょうね。

この版は酒井駒子さんによる新たな抄訳で、石井桃子さんの訳されたもとの長さのビロードうさぎに比べてだいぶん短いのですが、元のお話の雰囲気が驚くほどに失われていません。 子どもたちが自分で読むにもちょうどいい分量になっていると思います。 絵も酒井さんで、パステル画が素敵です。 もちろんうさぎもかわいいけど、ぼうやの幼い子どもならではの姿がとてもよくの描かれています、ちょっとレトロなお洋服とかも好き。

わたしが小さなころ、お散歩させてボロボロになって、それでもまだ散歩させてた犬のポーキーちゃんも、ほんとうの犬になったかな? そのままピンク色のわんちゃんだったらビックリですが、ふふふっ。

しかもフタが無い

2008-05-08 | 
しかもフタが無い
しかもフタが無い(ヨシタケシンスケ)


なんて魅力的なタイトル、と、気になっていたのは2003年のこと、やっといまごろになって読んだら・・・やっぱり良かったー。

内容はヨシタケシンスケさんの、心のつぶやきのメモ書きを集めたようなもので、長い文章はなく、文字も手書きで活字さえない、ひとコマ漫画だと言えばいいのかな、そのイラストの力の抜け加減が絶妙。
我ながらいつも旬を逃した読書だけど、自分としてはわりと良いタイミングだっかなと思う。 癒されるという言葉じゃなくて、普通にホッとするという言葉が似合う。 あるいは、けっこうブラックなのかも、言わないけどそうなんだよねーと思うこととか、ドキッとすることも。
読んだ時の愉しみがなくなるといけないので、ネタバレは避けるけど、まあ何ていうか・・・常にポジティブじゃなくちゃ、がんばらなくちゃ、ハッキリキッパリじゃなくちゃ、ってことはなくて、実はネガティブも、あいまいもアリ、いや実際君にもトホホなことはあるよね?ってとこらへんかな。

でも、どうやら向き不向きがあるらしくて、ピンと来なかったという意見もあるみたい。 うちでは家族とふたりとも気に入ってしまって、どれがお気に入りだったか話しあってみたり、何かのときに「しょうがないよねぇ、やっぱりフタが無いし」と言いあってみたり。 たぶん、これはわが家の定番のセリフになる予感。

みけねこがおばさんだったとしても

2006-11-01 | 

車のいろは空のいろ

となりのおばさんみけねこで みけねこがおばさんだったとしても
何がわるいことがあるのよ なんにもわるいことはない

いや、わたしのことではないですよ、これは谷山浩子さんの山猫おことわりの中の歌詞。
谷山浩子さんのねこの森には帰れないのB面(LPの)は車のいろは空のいろのという本のストーリーに添った曲で構成されている。

あまんきみこさんの車のいろは空のいろは小学校中学年くらいから読める読み物で、いくつかのお話が入っている。 あまんきみこさんといえば、教科書でこの中の「白い帽子」や別の作品の「すずかけ写真館」を読んだ人が多いのではないかと思う。 わたしも前者を現役小学生として読み、後者は教育実習生として読んだ。

物語はタクシーの運転手である松井さんが色々なお客さんを乗せるというもの。 どのお話も季節や時刻の空気を運んで来てくれる。 ほのぼのとほほえましく、時にかなしく、実はかなりSFっぽく、どれも心に染み入るお話。 このお話のここが好き、あのお話のあそこが・・・と色々書きたいけれど、このシリーズには想い出がある人が多いと思うので、わたしも多くは語るまい。

初版はかなり古くて1968年、現在でも新装になって続編を合わせて3巻構成で出版されている。 わたしは旧版の車のいろは空のいろ(絶版)をハードカバーで、続 車のいろは空のいろを文庫版で持っている。 最近になって、3巻目が出ていたことを知ってびっくり、それだけ人気のあるシリーズだということだと思う。

いっぽう谷山浩子さんのねこの森には帰れないは1977年発売、今ではCDも廃盤? でも、いまどきはダウンロードで買えるので、聴きながら本を読むのがおすすめ。

ちょこっと出てくる運転手の松井さんの声が初々しいくて好きだった。 この声はかぜ耕士さん、全然知らない方・・・と、今の今まで思っていたのだが・・・作詞家で、学生の時のクラブ活動でよく唄った曲の作曲者だったり、放送作家でディスク・ジョッキーという多彩な方で、今でもご活躍中だそう。

旧版、文庫版、新盤と入り乱れてわかりにくくなったので、新しいものをリストアップしておきます。

●ハードカバー
1.車のいろは空のいろ 白いぼうし
2.車のいろは空のいろ 春のお客さん
3.車のいろは空のいろ 星のタクシー
以上3巻のセット
車のいろは空のいろ 全3巻

●文庫
1.白いぼうし―車のいろは空のいろ
2.春のお客さん―車のいろは空のいろ
3.星のタクシー―車のいろは空のいろ

わたしもまだ3巻目は読んでいないので、ぜひ読んでみたいと思う。