夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『種まく旅人 くにうみの郷』

2015年06月01日 | 映画(た行)
『種まく旅人 くにうみの郷』
監督:篠原哲雄
出演:栗山千明,桐谷健太,三浦貴大,谷村美月,音月桂,
   重松収,根岸季衣,山口いづみ,永島敏行,豊原功補他

昨日の日曜日、2本ハシゴの1本目を大阪ステーションシティシネマにて。

本当は、どうしても観たい『チャッピー』と後述の2本目をハシゴしたかったのですが、
そのハシゴはあまりにも無謀な、開映と終映の15分かぶり。
実は15分かぶりは先々週、『駆込み女と駆出し男』『真夜中のゆりかご』でチャレンジ済み。
このときは前者11:50終映、後者11:35開映でした。
エンドロールが終わるまで席を立たない主義を曲げてのチャレンジで、
お手洗いにも行き、かろうじて後者の本編開始に滑り込みセーフ。
今回もチャレンジの価値はあるかもと思ったものの、『チャッピー』はTOHOシネマズ梅田の8階、
後述の2本目は7階で上映だったため、どうにもこうにも無理だと思ってあきらめました。

で、1本目に何を観るか悩み、本作を選択。
そっくりなタイトルの映画『種まく旅人 みのりの茶』(2011)があったけれど、
続編でもなんでもないらしくて不思議な気持ち。

アメリカに赴任中だった農林水産省の官僚・神野恵子(栗山千明)は、
上司の太田(永島敏行)から突然呼び戻される。
てっきり霞が関での仕事に携われると思いきや、
命じられたのは兵庫県淡路島の地域調査。
太田が言うには、今の恵子は頭でっかち。
日本の第一次産業の現状をその目で確かめて来いと。

高速船で淡路島に到着した恵子は淡路島市役所の農林水産部へ。
ここで数カ月、出向という形で現地調査をするのだ。
市役所の職員らにまずは町を案内してもらうが、
神社でのお祓いの途中で「神頼みはしないから」と退席した恵子に
農林水産部長の尾形(山口いづみ)は罰当たりだと言わんばかり。

呆れ顔の尾形が恵子のガイド役を言い渡したのは
よりによって官僚にもっとも手厳しい職員・津守(豊原功補)。
忙しいときになんで霞が関から来たお嬢さんの相手をせにゃならんのだと、
津守は不機嫌さをあらわにしながら、漁業組合長の桜井(重松収)のところへ。
さらに桜井が営む海苔の養殖場へと案内してくれる。
しかし、何も知らない恵子の能天気な言葉が、従業員の豊島渉(三浦貴大)の反感を買う。

その晩の飲み会の席で、恵子はタマネギを栽培する豊島岳志(桐谷健太)と知り合いに。
岳志と渉が兄弟で、彼らの父親が亡くなってから口もきかない仲あることを知り……。

優等生のイメージがある篠原哲雄監督。
良質の話を綺麗事すぎずにまとめるのが得意な感じ。
本作もやはり優等生で、観て嫌な気分になる人は誰もいないのではないでしょうか。

調査だなんだと霞が関からやってきたお役人が、向こうの都合で町の人をつきあわせ、
さんざん手をわずらわせて報告書を書き上げたところで、何も変わりはしない。
それは『あの日の声を探して』の「机上の報告書」の話を思い出させます。
島の人々と心をかよわせるようになった恵子が、机上に終わらないように奮闘する姿が頼もしい。

わが家は、有明の平松さんという人の海苔が大好きで、常備しています。
海苔のつくりかたを気にしたこともなかったけれど、本作を観て「ほ~っ」。
渉の交際相手であるハル(谷村美月)が携わる人形浄瑠璃も
たっぷり観ることができて、興味津々。

桐谷健太は完璧に関西弁を話せるはずなのに、不自然に標準語が混じるのが気になりました。
あれって東京のひと相手に話すときとそうでないときを分けているのか。
だとしたら細かいところにも気を遣ったということになるのでしょうが、
それにしては「おまえなに標準語うつっとんねん」と仲間うちでつっこまれそうな、
ちょっと気持ち悪い標準語へのなりかたでした。
要らんツッコミかもしれませんが、そこは関西人なら点が辛くなっても仕方ないでしょ(笑)。

山が海を助け、海が山を育てる。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『プールサイド・デイズ』 | トップ | 『ピッチ・パーフェクト』 »

映画(た行)」カテゴリの最新記事