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『ハードコア』

2017年04月13日 | 映画(は行)
『ハードコア』(原題:Hardcore Henry)
監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:シャールト・コプリー,ダニーラ・コズロフスキー,ヘイリー・ベネット,
   アンドレイ・デミエンティエフ,ダーシャ・チャルーシャ,ティム・ロス他

全編一人称視点という奇抜な設定に惹かれ、梅田ブルク7へ。
ロシア/アメリカ作品で、監督はロシアの新鋭イリヤ・ナイシュラー。
POV(Point of View Shot)方式の本作は、シューティングゲームさながら。
おかげで映像に少し酔ってしまい、しばしばゲップが出そうに。
下品ですみません。そんな状態でも観るのは止められない面白さ。

見知らぬ研究室で目を覚ました男ヘンリー。
記憶をすっかり失っていて、自分がいったい誰なのかもわからない。
白衣を着た美女エステルが言うには、彼女とヘンリーは夫婦。
体の一部をもぎ取られて瀕死の状態だったヘンリーは、
エステルによって手足に機械を取り付けられてサイボーグ化。
声帯も失ったから、声を出すことができない。
さてこれから声帯を復元するぞというとき、
超能力を持つ男エイカンが率いる武装集団に襲撃される。

エイカンは死者を蘇生して殺人マシン軍団を組織するつもりらしい。
なんとしてでもそれを阻止してほしいとエステルから言われるが、
そのエステルをエイカンにさらわれてしまう。

エステルを救うべく、エイカンを探してさまようヘンリー。
しかし行く先々までエイカンの手下が追いかけてくる。
窮地に追い込まれたヘンリーを助けたのがジミーという謎の男で……。

最初から最後まで一人称視点ですから、
主人公のヘンリーの顔が映し出されることもなければ、
声帯を失っているという設定だから台詞もなし。
ヘンリーの体で映し出されることがあるのは下半身だけ。
なんと斬新なのでしょう。オモロすぎる。

途中退出したまま帰ってこなかったお客さんがいました。
映像に酔ったからなのか、グロすぎたからなのか。
R15+指定なのは、とにかく相当グロいゆえ。
残酷が苦手な人にはまったくおすすめできません。

けれども、姿が見えず、ひと言も喋らないサイボーグなのに、
きちんと感情を持っていることがわかるのが凄い。
エステルを愛し、ジミーとの間には絆を芽生えさせ、悪を憎む。
ゲロ酔いしても観てよかったと思わされる作品でした。

ジミー役には『第9地区』(2009)以降、キワモノのイメージが強いシャールト・コプリー
エステル役のヘイリー・ベネットは色っぽさと清楚さを兼ね備えた女優。
エイカン役のダニーラ・コズロフスキーは「特殊メイクを施したユアン・マクレガー」かと思いました。(^^;

こんな作品を撮っちゃったら、次が大変だと思うんですけどね。
さらなる斬新なアイデアが生まれるか。楽しみです。

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