夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『クロニクル』

2013年10月17日 | 映画(か行)
『クロニクル』(原題:Chronicle)
監督:ジョシュ・トランク
出演:デイン・デハーン,アレックス・ラッセル,マイケル・B・ジョーダン,
   マイケル・ケリー,アシュリー・ヒンショウ他

夜な夜な劇場に足を運ぶことができたのは前述の『怪盗グルーのミニオン危機一発』まで。
これは真面目に晩ごはんをつくらなければいけなくなってから観た作品。
きっとウチのチームはあっさり2連敗して終わるんやろなぁと思いつつ向かう甲子園、
クライマックスシリーズ第1戦の日、試合前にTOHOシネマズ梅田にて。

新人監督による低予算映画なのに凄い出来だと評判の作品。
世間で言われる「低予算」とはいかほどなのかなと思っていましたが、
日本映画の場合は何百万円、ハリウッド映画だと何億円でも「低予算」。
本作も十数億円が注ぎ込まれているそうです。

で、おもしろいのはPOV方式の作品であるということ。
POVは“Point of View Shot”の略で、日本語では「主観映像」などと訳されていますが、
聞くたびに「主観映像」っていったい何よと思ってしまいます。
つまりは、登場人物の視線とカメラの視線を一致させたカメラワークのことで、
本作は終始、カメラおたくの主人公のカメラで追ったつくりの映像。

中古カメラを持ち歩き、日々を記録する高校生アンドリュー。
いじめられっ子タイプで友だちと呼べる者はいない。
同じ学校にかよういとこのマットだけが気にかけてくれる程度。

ある夜、同校生が集うパーティーに誘われたアンドリューは、
「カメラは気味悪がられるから置いてこい」というマットの忠告を無視。
会場でカメラを回していたところ、案の定ボコられる。

カメラを抱えて涙をこらえていたところ、
同校一の人気者で生徒会長候補のスティーブがやってくる。
マットとおもしろいものを見つけたから撮影してほしいと言う。

スティーブについていくと、原っぱに突如現れた
3人は穴に飛び込むと、つづく洞窟の奥へと進む。
そこにあった謎の物体に手を触れた瞬間、彼らの体に異変が起こる。
念じればどんな物体も動かせるという超能力が身についていたのだ。

最初はチアリーダーのスカートをめくりあげたり、
スーパーで他人のショッピングカートを動かしたりと、
他愛もないいたずらに使って楽しんでいた3人だったが……。

主演のデイン・デハーンは若き日のレオナルド・ディカプリオを思わせます。
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』の演技も印象的でしたが、
本作でもおどおどした線の細い少年から、憎しみを湛える少年へと変貌する様子が絶品。

マットとスティーブがとても良い子たちで、
アンドリューのことを本気で心配し、なんとか力になろうとします。
しかし、一度こわれてしまった心は元に戻らず。
超能力で物は動かせても、人の心は動かせない。
お金を手に入れることはできてもどうにもならないことがある。
そんな絶望感に覆われて、悲しい気持ちでいっぱいに。

お父さん方、こんなふうにならないように頼みます。

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