夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』

2017年01月03日 | 映画(な行)
『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』(原題:Ants on a Shrimp)
監督:モーリス・デッカーズ

テアトル梅田にて、前述の『ヒッチコック/トリュフォー』とハシゴ。
隣のスクリーンでは『この世界の片隅に』を上映中。
そっちがとんでもない人気で、まだ午前中だったのに、夜の回まですでに立ち見確定の盛況ぶり。
あきらめたお客さんがせっかくだから何か観て帰ろうかと思ったのか、
ちょっと不思議な客層でそこそこの入りになっていました。

ご存じでしたか、レストラン“noma(ノーマ)”。
デンマーク・コペンハーゲンに2003年にオープンしたレストラン。
2008年に初めてミシュランの二つ星を獲得して以降、
2016年までその星を継続して獲得中。

星こそふたつですが、英国のレストラン誌が選ぶ“世界ベストレストラン50”では
2010年から3年連続で第1位、2013年に陥落したものの、2014年に返り咲き。
2015年も第1位を獲得しています。
ちなみに2009年までの第1位は“El Bulli(エル・ブジもしくはエル・ブリ)”でした。

2015年、そのノーマが期間限定で東京に出店するという。
デンマークの本店を休業して臨むというのです。
カリスマシェフのレネ・レゼピが総勢77名のスタッフを引き連れて東京入り。
当日を迎えるまで密着取材したドキュメンタリーです。

原題は“Ants on a Shrimp”、つまり「海老の上のアリンコ」。
蟻ですよ、蟻。
予約客の復習に「誰某さんは何々は苦手だけど昆虫はOK」と言うてました。(^^;
蟻が這ってる料理なんて食べたないし。
……と思っていましたが、本作を観てちょっぴりイメージが変わりました。

若造でエラそなシェフを想像していました。
確かにエラそうではあるんだけれど、料理に対する姿はものすごく真摯です。
北欧でウケた料理をそのまま日本に持ってこようとしているわけではない。
日本の食材を活かそうとしています。
そして、日本人と競争して勝てないものは決して使わない。
たとえば生魚。出店する近辺に扱いの上手い店が数千もあるんだから、それで勝負するのは無謀。
そんなこともきちんと心得ています。

築地市場へのお買い物には“すきやばし次郎”の店主(息子さんのほう)と門上武司氏が同行。
マグロの解体に目を輝かせつつ、これに張り合うつもりはさらさらありません。
スタッフ共々、日本中を自分で歩き回り、ときには山にも入って食材探し。
熟す前の白いイチゴを買いたいと言われて、イチゴ農家のおじさんビックリ(笑)。

シンプルだけど複雑。完璧だけど未熟。そんなものを求めるシェフ。
わかるようでわからないけど、少なくともエル・ブジの料理よりは食べてみたいと思いました。
特に柑橘のお皿と根菜のお皿。美味しそうです。

オープン前日や当日、筋トレに励んだうえにレッドブルを飲むスタッフの姿にウケました。
レストランスタッフには肉体的な力も必要ですもんね。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ヒッチコック/トリュフォー』 | トップ | 『めまい』 »

映画(な行)」カテゴリの最新記事