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『FLY! 平凡なキセキ』

2012年03月27日 | 映画(は行)
『FLY! 平凡なキセキ』
監督:近藤真広
出演:小籔千豊,相武紗季,温水洋一,本仮屋ユイカ,笹野高史,大杉漣他

シネマート心斎橋にて。

吉本興業と朝日放送のコラボ作品で、監督は朝日放送のディレクター。
吉本興業が協賛する沖縄国際映画祭に出品されました。
主演は吉本新喜劇の座長、小籔で、ほかにも池乃めだか、なるみ、
天竺鼠や海原やすよ・ともこなどのお笑いタレントに、関西出身の俳優多数出演。
大ざっぱに言うと、『宇宙人ポール』のコテコテ大阪版でしょか。

大阪市内の町工場、森モータースに勤める満男は、
内気で無口、真面目だけが取り柄の冴えない30代の男。
実家でかしましい両親と妹とともに4人暮らしだが、
ほとんど2階の自室で一人きりで過ごしている。

そんな満男が想いを寄せるのは、森モータースの事務員、ななみ。
彼女は、元暴走族のアタマだった夫を事故で亡くし、
小学校1年生の息子を育てるシングルマザー。
しかし、告白できるわけもなく、社内旅行時のななみの写真を密かに眺めるだけ。

ある日、同僚から草野球に誘われた満男。
応援に駆けつけたななみ親子にいいところを見せたいが、打撃では見逃し三振。
守備では外野フライを追いかけて、草むらでようやくボールを発見。
内野にボールを返そうするが、なぜかボールが空中ではねて戻ってくる。

試合後、ボールの落下地点にあった奇妙な物体のことが気にかかり、
確かめに行ってみると、そこにはなんとも貧相な風体の宇宙人がいて……。

“修学旅行”の自由行動時間中に羽目を外したがために、
地球へ墜落してしまったという宇宙人、シカタさん役に温水さん
シカタさんは、人間の言葉はわかるけど、声を発することはできません。
シカタという名前であるということも、
「団塊の世代みたいな顔をしていながら実は高校生」だということも、
小籔演じる満男はシカタさんの身振り手振りから知ります。

同級生に片想い中のシカタさんの純情にふれた満男は、
まるで自分のことのように感じ、放っておけずに匿います。
宇宙船を修理して必ずシカタさんを故郷へ帰還させると心に誓いますが、
そうはさせじとシカタさんを追う集団が。

たぶん今週限りで終映だからええやろとほとんどネタバレ。
お好み焼き屋の主人を演じる大杉漣を見ていると、
『亀は意外と速く泳ぐ』(2005)のラーメン屋の主人、松重豊を思い出します。
そして、この主人をはじめとして、満男を取り巻くみんなが力を合わせ、
シカタさんを救出するシーンと、「友だちやろ」に泣きました。
『探偵!ナイトスクープ』の番組そのまんまの出演にも笑い、大阪人ならではの作品です。

チャリの後ろに女乗りする温水さんもツボ。
そうそう、淀川河川敷といえば、『晴れたらポップなボクの生活』(2005)にも
温水さんが出演していました。これは宇宙人じゃなくてホームレスでしたけれど。

斉藤和義の『君の顔が好きだ』と『愛に来て』が大好きだった私は、
彼の本作のための書き下ろしエンディングテーマ『満男、走る』も嬉しく。

たいていの電化製品は、叩けば直る。

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