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『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』

2023年11月08日 | 映画(さ行)
『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』
監督:穐山茉由
出演:深川麻衣,松浦りょう,柳ゆり菜,猪塚健太,三宅亮輔,森高愛,河井青葉,柳憂怜,井浦新他
 
祝日、実家に行く前にイオンシネマ茨木にて。
 
原作はSDN48のメンバーだった大木亜希子の同名ノンフィクション小説。
穐山茉由監督が元乃木坂46のメンバー、深川麻衣を主演に起用して映画化。
 
アイドルの安希子(深川麻衣)は、なんとか一般企業に就職して一応楽しく仕事をしていたが、
ある日の出勤途中、ハイヒールのかかとがひっかかって転び、会社に連絡したのをきっかけに、
自分などいなくても仕事はいくらでも回るということを思い知らされてしまう。
 
数日仕事を休むつもりが、そのまま会社に行けなくなって退職。
フリーライターとしてコラムなどを書いていたが、貯金は10万円を切りそうで、
風呂なしアパート5万円の家賃の支払いがきつくなる。
 
そんなとき、不動産業を営む親友のヒカリ(松浦りょう)から持ち込まれた話が、
都内の一軒家にひとりで暮らす56歳のサラリーマン、ササポンこと笹本(井浦新)との同居。
ササポンは余った部屋を3万円で貸しているらしい。
 
うら若き乙女とは言わないまでもまだ28歳、元アイドルの自分が赤の他人のおっさんと同居!?
そう思いはするものの、金も仕事も男もいなくては他に選択肢はない。
「すぐに結婚相手を見つけて出て行きますから」と何も聞かれちゃいないのにそう言って、
ササポンの家に引っ越す安希子だったが……。
 
序盤の安希子はかなりウザくてイタい。
元アイドルのプライドは捨てられず、誰も興味を示してはいないのにしゃべりまくる。
アイドルを辞めてもいかに自分が幸せでまっとうにくらしているかを語ります。
医者に「深呼吸して、まずはその早口を治しましょうか」などと言われても、
自分の何が問題なのかはちっともわかっちゃいません。
 
ササポンに対してもそんなふうに接するわけですが、
彼は安希子の望むようなリアクションを見せてはくれない。
しかしスルーかと思いきや、意外とちゃんと話を聞いてくれています。
 
安希子のもうひとりの親友、景子役に柳ゆり菜
高校の同級生で、学校一の美人。スカウトされて芸能界入りしたのに鳴かず飛ばず。
そんな彼女には安希子のようなプライドは見えません。
柳ゆり菜自身、いつブレイクしても不思議ではない容姿なのに、ずっとこんな立ち位置。
だからなんだか余計に彼女の台詞には説得力を感じます。
 
ササポンがぼそっと言うことはいちいち奥が深くて、安希子の胸に突き刺さる。
56歳男性というと、女性のほうにその気が皆無でも下心を持たれてしまうことがまだまだ多そうだけど、
まったくそれを感じさせず、実際、下心などまったく無し。
「ササポンの素敵なセリフを、いかに素敵にならない様に、
普通のおじさんでいるという事のさじ加減が難くもあった」という井浦新。和ませてもらえました。
 
夢を持つのは、いくつになっても素敵なこと。

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