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『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』

2021年10月08日 | 映画(さ行)
『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』(原題:Sound of Metal)
監督:ダリウス・マーダー
出演:リズ・アーメッド,オリヴィア・クック,ポール・レイシー,ローレン・リドロフ,
   マチュー・アマルリック,マイケル・トウ,チェルシー・リー,ビル・ソープ他
 
これも前述の『The Guilty/ギルティ』と同じくシネ・リーブル梅田で公開中。
しかしAmazonプライムビデオで配信中なのですよね。
タダで観賞できるとなれば、ついついそっちを選んでしまう。
 
第93回アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネートされ、編集賞と音響賞を受賞しました。
受賞は逃しましたが、リズ・アーメッドが主演男優賞、ポール・レイシーが助演男優賞にノミネート。
また、主人公の恋人役でオリヴィア・クック、その父親役をマチュー・アマルリックが演じています。
 
ドラマーのルーベンは、恋人のルーとバンドを組んで活動中だったが、
ある日、自分の耳が聞こえにくくなっていることに気づく。
病院で診察を受けたところ、ルーベンの耳は数割程度しか聞こえていないらしく、
手術するしか聴力を取り戻す方法はないという。
しかし手術には多額(日本円にして何百万円)もの費用が必要で、とてもそんな金は工面できない。
 
ボーカルのルーが合図さえくれれば演奏は続けられるはず。
そう訴えて、だましだまし続けようとするルーベン。
それは無理だと考えたルーは、聴覚障害者の自助グループにルーベンを連れて行く。
 
グループをまとめているのは初老の男性ジョー。
彼によれば、ルーは一緒に入所することはできず、電話等で連絡を取るのも禁止。
ルーベンと同じ聴覚障害者だけで共同生活を送るのだ。
そんな生活は受容できそうにもなく、頑なに拒もうとするルーベンに、
ルーは応援していると言って立ち去ってしまうのだが……。
 
批評家に絶賛されているとのことだったせいか、期待が大きすぎました。
あるいは、なぜか序盤、日本語字幕が声と大いにずれていたせいで集中できなかったのかも。
あまりにずれるので、吹替版に切り替えたのですが、やっぱり嫌。
字幕版に戻して再生し直したら、ずれなくなりました。これってよくあること?
 
期待ほどではなかったけれど、良作だったことは確かです。
昨日まで何の問題もなく聞こえていたのに、ある朝突然聞こえなくなる。
シャワーの水の音、不味すぎるスムージーを作るときのジューサーの音、
何もかも聞こえなくなったときの衝撃。
 
「難聴はハンデではないし、治療すべきものでもない」。
ジョーからそう言われてもハンデとしか捉えられないルーベンは、金を作って手術をする。
この手術で驚いたのは、聴力を復活させるものではないのですね。
聞こえているように脳に錯覚を起こさせているだけで、聞く機能は失ったまま。
手術後は聞こえるようになったとはいえ、雑音が入り乱れる。
その状態に慣れるしかないなんて。
 
聞こえないことを不幸にしか感じられなかったルーベン。
静寂こそが幸せなのかもしれないと思い始めるラストが秀逸です。
 
これもやっぱり劇場で観るべき1本だろうなぁ。

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