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『シグナル 月曜日のルカ』

2012年06月18日 | 映画(さ行)
『シグナル 月曜日のルカ』
監督:谷口正晃
出演:三根梓,西島隆弘,白石隼也,おかやまはじめ,宮田早苗,
   梅沢昌代,緑友利恵,高良健吾,井上順,宇津井健他

前述の『ミッドナイト・イン・パリ』とハシゴ。
何とハシゴするかしばし迷いましたが、
映画館が舞台の映画と言われると無条件に惹かれるのでこれに決定。

原作は関口尚の青春ミステリー小説『シグナル』。
タイトルを聞いたときに当然のごとく思い出すのは『月曜日のユカ』(1964)。
何か関係があるのかしらんと思いましたが、
加賀まりこ主演のそれは私が生まれる前の映画で、未見です。
だもんで、『月曜日のユカ』へのオマージュなのかどうかはわかりません。

東京の大学に通う恵介は、夏休みに入るとともに帰省する。
学費を自ら稼がなければならない家庭の事情により、バイトすることに。
地元の映画館“銀映館”の求人を見て応募する。

住民から名画座として親しまれている“銀映館”は、
映画のデジタル化が進むなか、昔ながらの映写技師が常駐している。
意外にもこの映写技師は若い美人女性ルカだった。
今回の求人は、彼女が負傷したため、そのサポートをということ。

時給はせいぜい750円というところが多いなか、“銀映館”はなんと1,500円。
しかし、破格の時給にはそれなりの理由がある。
採用に当たって支配人から絶対に守るようにと提示された約束は3つ。

その1、ルカの過去について一切質問しないこと。
その2、ルカとの恋愛は避けること。
その3、月曜日になるとルカは機嫌が悪くなるのでそっとしておくこと。

聞くなと言われれば聞きたくなるのが人情というもの。
温和な支配人は少しだけ事情を説明しておくからと、
ルカが“銀映館”に住み、3年間ここから一歩も出ていないことを恵介に話す。
映写の技術をルカから学ぶうち、ルカに惹かれていく恵介だったが……。

古びた映画館のたたずまいと周囲の景色、優しい支配人夫婦とのんびりした客、
ろくでなしの父親を持った恵介とその弟の仲の良さにもなんだか和み、
さらにはピアノがメインの音楽に心が洗われます。
これがデビュー作となるルカ役の三根梓はめちゃくちゃ可愛いし、
『愛のむきだし』(2008)で私はその存在を初めて知った西島隆弘は、
こんな見た目イマ風、実は純朴な青年の恵介役もよく似合う。
序盤の感想は、めちゃくちゃ私好みでヒット。

ちょっと解せんなぁと思うのが中盤で、高良健吾演じるルカの元カレにはドン引き。
いまどき、こんなショッキングピンクのガウンを着るヤツ、おらんて。
原作は未読なので忠実なのかどうかはわかりませんが、まるでホラーサスペンス。
ルカが出られなくなった原因として、こんなストーカーが妥当だったかどうかちと疑問。

ただ、このストーカーぶりを見ていて、
辻村深月の『凍りのくじら』の一節を思い出し、大きくうなずきました。
女性のストーカーと男性のストーカーは異なる。
前者は相手への愛情が歪んだ形で現れたもの。
後者は自尊心を傷つけられたことによるもの。本作はまさしく後者です。

序盤はパンフレット買って帰ろ♪と思い、中盤でやっぱりや~めた。
そして終盤、爽やかな風に気を持ち直すだけでなく涙まで浮かんでしまい、
結局パンフレットを買って帰ったのでした。
『僕らのミライへ逆回転』(2008)のことも思い出したりして。

最後は胸キュンキュンしてください。(^o^)
そんな顔で「大好き!」なんて言われたら。

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