夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パレードへようこそ』

2015年05月09日 | 映画(は行)
『パレードへようこそ』(原題:Pride)
監督:マシュー・ウォーチャス
出演:ビル・ナイ,イメルダ・スタウントン,ドミニク・ウェスト,パディ・コンシダイン,ジョージ・マッケイ,
   ジョセフ・ギルガン,アンドリュー・スコット,ベン・シュネッツァー,フェイ・マーセイ,フレディ・フォックス他

“みどりの日”に1本だけ、シネ・リーブル梅田にて。
第67回カンヌ国際映画祭のクィア・パルム(セクシュアル・マイノリティをテーマにした作品に与えられる賞)受賞作
め~っちゃ良かったです。

1984年、不況に揺れるサッチャー政権下のイギリス。
次々と炭坑の閉鎖が決まり、それに抗議する炭坑夫たちのストライキは4カ月目に入ろうとしている。
そのニュースをロンドンで見ていたゲイのマークは、政府に対抗する思いは炭坑夫もゲイも同じはず、
ゲイのパレードで募金活動をおこなって、炭坑夫を支援しようと考える。

マークは仲間たちと“LGSM(=炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げ、寄付金を集める。
さっそくこれを送ろうと、全国炭坑労働組合に連絡するが、ゲイと言っただけで電話を切られる。
そこで各炭坑に直接電話してみるが、どこも組合と同じ対応。
困っているはずなのに、ゲイの金など受け取りたくないと言うのだ。

あきらめきれずに、ウェールズの炭坑町ディライスに電話してみたところ、支援を受け入れると即答。
町を代表してロンドンまでやってきたダイは、マークたちに会って仰天。
支援してくれるのがゲイだとはまったくわかっていなかったのだ。
しかし、ゲイが珍しくはあるものの、偏見は持っていないダイは、マークたちと会えたことを素直に喜ぶ。
同日にゲイが集まる店に行くと、皆に感謝の意を述べて大喝采を受ける。

ディライスに戻ったダイは委員会に相談、過去最高額の支援者であるLGMSを町に招待することに。
ゲイを町に入れることなど絶対許せないと言う者もいるが、LGSMの面々は町へ。
炭坑夫とゲイ、何もかもが異なると思われるふたつのグループの交流が思わぬ形ではじまり……。

本作の前々回にクィア・パルムを受賞した『わたしはロランス』(2012)といい、本作といい、
なんて素敵なんでしょう。

出演者がみんな魅力的。
ディライスのダイ役、パディ・コンシダインは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013)の酔っぱらい衆のうちの一人、
よく私を泣かせるビル・ナイが町の代表のくせして弱々しく、
その尻を叩く威勢のいいおばちゃん、イメルダ・スタウントンは、
「女なら、言われてみたいこんな台詞」の名女優。
いいなぁ、こんな裏表のないおばちゃん。

偏見を取っ払うきっかけになるのがダンスだったりして、
ヘヴィーなテーマにしてみれば軽いけれど、実際、こんなものなのかもしれません。
明るくユーモアたっぷりに描かれているからこそ、考えさせられます。

いきなりの大合唱も『王妃の館』とは大違い。(^^;
凄く真面目、だけど説教臭くない、そしてとても楽しい。お見事。
原題は“Pride”。誇りを失わなかった彼らの姿を見るべし。

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