夜な夜なシネマ

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『シラノ』

2022年03月03日 | 映画(さ行)
『シラノ』(原題:Cyrano)
監督:ジョー・ライト
出演:ピーター・ディンクレイジ,ヘイリー・ベネット,ケルヴィン・ハリソン・Jr.,
   ベン・メンデルソーン,バシール・サラディン,モニカ・ドラン他
 
先週の金曜日、封切りになったいくつかの作品の上映スケジュールを見比べて、
いちばん早く帰れそうな本作を観ることにしました。
仕事帰りに109シネマズ箕面へ行ったらば、え、客は私ひとりですか。
去年唯一の“おひとりさま”だったのはこのときでした。
今年はこれが最初で最後になるでしょうか。
 
エドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』は、
1897年に上演されてから今日に至るまで、舞台になったり映画になったり。
本作も2018年に舞台にて上演されたミュージカルを同じキャストで映画化。
 
原作の戯曲では、主人公のシラノが大きな鼻の醜男。
本作ではピーター・ディンクレイジを起用し、シラノは大きな鼻ではなくて小人症の男。
古典を映画化するのが好きとおぼしきジョー・ライトが監督を務めています。
 
17世紀のフランス。誰にも負けない剣の腕前の才能を持ち合わせる騎士シラノ。
しかし、自分の容姿に劣等感を抱き、幼なじみのロクサーヌに想いを伝えられない。
 
ある日、ロクサーヌから相談事があると呼び出され、
もしや彼女も自分と同じ想いなのではと意気揚々出かけるが大きな勘違い。
彼女は芝居小屋で見かけた青年クリスチャンに一目惚れしたらしい。
クリスチャンはシラノと同じ隊に配属される予定。
新人はいじめられるのが常だから、シラノになんとかクリスチャンを守ってほしいと。
そしてどうかクリスチャンに手紙を書かせてほしいとロクサーヌは言う。
 
クリスチャンの入隊日、こっそりとロクサーヌのことを伝えると、
実はクリスチャンのほうもロクサーヌに一目惚れしていたものだから大喜び。
ふたりの恋を仲立ちすることになってしまったシラノは、
教養があるとは言えないクリスチャンのために手紙を代筆するのだが……。
 
いろんな形で何度も観たり聞いたりしていた『シラノ・ド・ベルジュラック』。
本作を観た感想は、「こんな勝手な男女の話でしたっけね」。(^^;
 
ロクサーヌはもっと素敵な女性だと今まで思っていました。
なのに、このロクサーヌってなんかヒドイ。
シラノの気持ちに気づかないのは話の流れとして当然のことだけど、
クリスチャンを出征させたくないからってやることがアンマリ。
 
クリスチャンのほうもアタマからっぽの顔だけいい男でしょ?
入隊日、喧嘩をふっかけてきた先輩騎士たちを一掃し、「次は誰が相手だ」。
それがクリスチャンだと知らないシラノが「俺だ」と出てきたとき、
クリスチャンのシラノを蔑む表情といったら。この嘲笑にはヘドが出る。
なのにロクサーヌの話を聞いた瞬間にもう親友みたいになっちゃって。
 
『シラノ・ド・ベルジュラック』がずっと語り継がれているのは、
外見より中身だよ、そういうことなのだと思っていましたが、
なんかやっぱり、中身がいくらいい奴でも見た目が受け付けなきゃ駄目みたいな気が。
シラノを含めて、メインの登場人物だれも好きになれなかったのでした。
 
シラノに関する作品なら、 『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』(2018)が断然好き。

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