夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『レンタネコ』

2012年05月16日 | 映画(ら行)
『レンタネコ』
監督:荻上直子
出演:市川実日子,草村礼子,光石研,山田真歩,田中圭,小林克也他

シネ・リーブル梅田にて。

『バーバー吉野』(2003)、『かもめ食堂』(2005)の荻上直子監督の作品。
この監督がネコ好きとは知りませんでした。
『ネコを探して』(2009)ではネコと一晩過ごせる実在のホテルが紹介されていま
したが、
こちらは顧客のニーズに応じた期間、ネコを貸してくれる「レンタネコ屋」です。

平屋の純日本家屋で猫に囲まれて、ひとりで暮らすサヨコ。
彼女は“レンタネコ”という商売を営んでいる。
それは、心の寂しい人にネコを貸し出すという商売。

ただし、希望者は誰でも借りられるというわけではない。
サヨコは希望者の自宅を訪れ、環境などをチェック。
ネコをちゃんと可愛がってくれる人かどうかを審査し、
それに適った人のみがネコを借りることができるのだ。

「レンタ~ネコ、レンター~ネコ、寂しい人にはネコ貸します」。
スピーカーでそう呼びかけながら、ネコを乗せたリヤカーを引くサヨコ。

夫に先立たれ、つい最近には愛猫まで失った老婦人。
単身赴任中で、まもなく家族のもとへ帰ることが決まっている中年男性。
めったに客が来ないレンタカー屋の受付嬢(兼なんでも係)。
こんな人たちがサヨコからネコを借りるのだが……。

荻上作品をご存じの方ならおわかりかと思いますが、
力は入っていないけど妙にキチッキチッとした役者のしゃべりかた。
これはリアリティには欠けるので、
このホヨヨンとした空気とネコが好きな人でなければオススメ不可。
ただ、ネコ好きの人にはたまらん作品です。

ネコを借りる3名との定型化されたやりとりにもニッコリ。
ああいう申込書を出されたら、あなたなら何と書きますか。
サヨコの副業もなかなかワラかしてくれます。

それ以上にワラかしてくれるのは、謎の隣人を演じる小林克也。
女装したオッサン役ではなく、れっきとしたオバハン役で登場し、
『ベストヒットUSA』のあの声で、いつもサヨコにニッコリ痛烈な一言。
「あのババァ、許さん~」とサヨコは心の中でこぶしを握りしめます。
そんなババァだからこそ、最後の玉子には和みました。

悪意ある人は出てこない作品です。
心地よくて眠りに陥りそうにならなくもないですが、ネコ好きにはぜひ。
ネコが嫌いな人にとっては拷問でしょうね(笑)。

それにしても、ネコを貸してほしいという人が吉岡、吉田、吉川、吉沢。
みんな「吉」で始まる姓だというのは、何か意図がある?

心の穴ぼこ、ネコと一緒なら埋まります。

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