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どうよ、このオチ。〈『MONSTERZ モンスターズ』追記〉

2014年06月05日 | 映画(ま行)
『MONSTERZ モンスターズ』のオチについて。
もろネタバレになりますので、ご覧になる予定ならばこの先は読まないでください。

「衝撃の結末」と謳われているラストは、解釈がむずかしい。
本作をご覧になった人とその解釈について話してみたくなります。
その点でも、これはつまらない作品ではないと思いたい。

男(藤原竜也)と終一(山田孝之)の対決は、らせん階段でもつれ合いながら。
結局、二人一緒にものすごい高さから落下します。
終一が男の下敷きとなる位置を自ら確保して。

二人とも死んだのか、どちらか片方だけが生き残ったのか。
そう訝っていると、目隠しされて寝台に拘束された男が映し出されます。
自分が助かったと知った男は、終一はどうなったのかと、
本件の特別捜査官(藤井美菜)に問います。
彼女は「彼はあなたをかばって……」と答え、男の頬を伝う一筋の涙。

この台詞とシーンからは、誰もが終一は死んでしまったと思うでしょう。
ところがどっこい、次に映るのは広場に腰かける終一の姿。
そして彼が手にしているのは男が肌身離さず持っていた漫画『AKIRA』。

どうよ、これ。どういう意味?

「彼はあなたをかばって……」の後に続く台詞が
「大けがをしたけれど生きているわ」だったと考えられなくもないですが、ショボい。
ならばあの涙は終一が生きていたことを喜ぶ涙ですか。
いちばん素直な捉え方かもしれませんが、これが監督の考えた「衝撃の結末」ならばガクッ。

本作について書かれているさまざまなレビューやブログを読むと、
『AKIRA』の最後の頁に書かれていた名前が「終一」だったのではという書き込みもありましたが、
私に一瞬見えたのは「也」の文字で、おそらく「達也」。
自信はありませんが、少なくとも「終一」ではありません。
「藤原竜也」から来た遊び心か。

で、その他、私が推察するパターンいろいろ。

その1。
終一も助かっていたが、男がそれを知ったら、再び終一を殺そうとするかもしれない。
そう考えた特別捜査官が言葉を濁し、終一が死んだと男に思わせた。
これはこすすぎませんか。←「狡い(こすい)」って俗語なのですね。
もしこれが正解だとしたら、こんなオチは私はキライだし、
そんな芝居を打つには特別捜査官、大根すぎ。(^^;
松雪泰子あたりを持ってきてほしかったところ。

その2。
らせん階段がDNA構造の暗喩になっているのだとしたら、
落下するときに二人が一人になった、または魂が入れ替わった。
しかしそうなると、男の声による「死ぬまで生きろ」がよくわからない。

気になるのは、終一が腰かけていた広場が、フリーマーケットの会場だったということ。
最初に男が終一の存在に気づいたのもフリマがおこなわれている広場で、
最後のフリマでは、終一の仲間たちが何事もなかったように参加しています。

そこでその3。
落下時に男をかばった終一はやはり死んでしまった。
ラストシーンは終一が助かっていたということではなく、
最初の男の立場に終一がいたら、という仮説に基づくシーンなのかなと思いました。
いわばスタートに戻ったことを示すシーン。

もしも最後のシーンで終一が『AKIRA』を開いていたら、
そこには終一の名前が書かれていたかもしれません。
彼には、誰も死なせたりしないという役割がある。
その役割を担って、死ぬまで生きろということなのかと。

ついでにその4。
最後に終一が映るシーンは腰かけている姿のみで、立ち上がることはありませんでしたから、
もしかしたら「彼をかばって……」に続く言葉は「下半身不随になってしまったの」。
韓国版オリジナルの『超能力者』(2010)では男が死亡、
終一に当たるギュナムが車椅子の超人になるオチだったことを考えると、
もしかすると終一も車椅子に乗っている!?
……てなことはないと思いますけれども。

「衝撃の結末」がこれだけわかりにくいと困るっちゅうの。

ま、劇場で誰もが操られた状態なのに、
そこに殴り込みに入ってきた叶絵(石原さとみ)がどうして平気なんだとか、
あんならせん階段がある劇場って地下何階建てなのよとか、
ツッコミどころ満載の本作に、筋道の通った説明を求めるほうがあかんのか。

そんなわけで、なんだかんだで楽しかったのでした。

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