夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『屋根裏部屋のマリアたち』

2012年08月11日 | 映画(や行)
『屋根裏部屋のマリアたち』(原題:Les Femmes du 6ème étage)
監督:フィリップ・ル・ゲ
出演:ファブリス・ルキーニ,サンドリーヌ・キベルラン,ナタリア・ベルベケ,
   カルメン・マウラ,ロラ・ドゥエニャス,ベルタ・オヘア他

これもテアトル梅田にて。

2010年のフランス作品で、原題は“Les Femmes du 6ème étage”。
昨年のフランス映画祭では『6階のマリアたち』の邦題で上映されました。
前述の『ぼくたちのムッシュ・ラザール』と同じく、
アルバトロス・フィルムの配給です。

1962年のパリ。
証券会社を経営する資産家の中年男性ジャン=ルイ・シュベール。
亡くなった母親の部屋を妻のシュザンヌが片付けようとしたところ、
先代から仕えているベテランのメイドが猛反対。
シュザンヌと言い争いになり、そのメイドは辞めてしまう。

上流階級の奥様方の間では、いまの“ブーム”はスペイン人のメイド。
フランス人のメイドより扱いやすく勤勉だと評判。
雇い主を求めて待機中のスペイン人メイドたちの中から、
シュザンヌは若くて真面目そうなマリアを選ぶ。

マリアはシュベール家が暮らすアパルトマンの階上、すなわち屋根裏部屋で、
同じくスペイン出身のメイドたちと共同生活を送ることになるのだが……。

主人公のオヤジがフランス人の金持ちで、金融関係の仕事に就き、
メイドを雇い入れるところは『フランス、幸せのメソッド』と一緒。
異なるのは、『フランス、幸せのメソッド』のオヤジが成り上がりで、
こちらは祖父の代から続く会社を継いだ“ぼんぼん”だということ。
どちらもメイドの暮らしぶりになんか興味がないわけですが、
成り上がりはメイドを無視しているのに対し、
ぼんぼんはメイドの暮らしにまではマジで想像が及びません。

ところが、ふと足を踏み入れた屋根裏部屋でメイドたちの日常を知り、
青天の霹靂ばりの衝撃を受けます。
狭い部屋に押し込まれ、シャワーなんぞもちろんない。
ひとつしかない共同の洗面所で水を汲み、いちいち部屋に運ぶ。
それでもとてつもなく陽気な彼女たちのことが大好きになります。

トイレが詰まっていると聞けばただちに修理工を呼ぶ。
ささやかなる貯金を投資するアイデアを彼女たちに授け、
DVの夫を持つメイドには別のアパルトマンの管理人室を提供。
これらがすべて、ぼんぼんゆえの損得勘定抜きで提案されるものだから、
まったく嫌みがありません。

ラストはちょっくらオッサンの妄想気味で、
個人的には妄想は妄想のままにしておいてほしかったかも。
いけ好かない女に描かれているシュザンヌは、
メイドにシャワーを抵抗なく使わせたり、意外に頭が柔らかかったりしますから。
まぁ、妄想が妄想でなくなるから人は映画を観るとも言えましょう。
余談ですが、妄想が妄想でなくなって喜んだのも束の間、
結局妄想のままで終わらせることを選んだのが『カイロの紫のバラ』(1985)かと。

その妄想の現実化には目をつむるとして、(^0^;
『ヘルプ 心がつなぐストーリー』とはまたちがう、メイドにまつわる物語。
『メルシィ!人生』(2000)のように、オッサンが愛らしいお話でした。

この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ぼくたちのムッシュ・ラザ... | トップ | 『ぱいかじ南海作戦』 »

映画(や行)」カテゴリの最新記事