夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『Sweet Sixteen』

2003年09月21日 | 映画(さ行)
『Sweet Sixteen』(原題:Sweet Sixteen)
監督:ケン・ローチ
出演:マーティン・コムストン,ウィリアム・ルアン,アンマリー・フルトン,
   ミッシェル・クルター,ゲイリー・マコーマック他

スコットランドの田舎町。
リアムはもうすぐ16歳の誕生日を迎える。
ヤク中の母は服役中。
祖父、そして母の恋人スタンとともに暮らしている。

3人は母に面会に出かけるが、
スタンは母にヤクを渡して所内で売りさばくように強要し、
祖父もそれに加担する。
そんなふたりを見て嫌気がさしたリアムは家を飛びだす。

シングルマザーである姉のもとへ転がりこんだリアムは、
母との温かい生活を夢見て、家を手に入れるべく、金を稼ぐことを決意する。

リアムと親友ピンボールは、スタンが隠し持っていたヤクをくすねて売ることに成功。
しかし、場を荒らしたことからヤクザの怒りを買い、ボスに呼びだされる。
袋だたきにされると思いきや、彼の腕を見込んだボスはリアムに仕事を与える。

ボスのお気に入りとなり、どんどん稼いで裏社会で出世してゆくリアム。
そして、親友との仲はどんどん離れてゆく。
念願の家も手に入れ、出所日の母を迎えにゆくのだが……。

イギリスの労働者階級の問題を描かせたら天下一品のケン・ローチ監督。
これまでの作品も、ヤク中やらアル中やらを主題にしていました。
『マイ・ネーム・イズ・ジョー』(1998)など、
スネに傷を抱えるオッサンが主人公であることが多かったですが、
今回は純粋無垢な少年を主人公に据えています。

天気と同じく、暗い主題なのに、
この監督の作品はいつでも悲惨になりすぎず、
傷つきながらも懸命に生きてゆこうとする人びとを
優しく見守ってくれているような気がします。

余談ですが、主演の彼は役者になる気などさらさらなく、
スコットランド・リーグのチームと契約が済んでいたそうです。
ほんとならサッカー選手。

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