夜な夜なシネマ

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『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』

2016年12月03日 | 映画(は行)
『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(原題:Freeheld)
監督:ピーター・ソレット
出演:ジュリアン・ムーア,エレン・ペイジ,マイケル・シャノン,
   スティーヴ・カレル,ルーク・グライムス,ガブリエル・ルナ他

毎週土曜日に外食して増えた体重を調整するため、
日曜日のわが家の晩ごはんが16:00であることは毎度書いているとおり。
そのため、日曜日は15:00には家に帰らねば駄目。
そうなると映画三昧しようにも日曜日に観られるのはせいぜい2本。
と思って上映スケジュールを眺めていたら、
この日はものすごく効率よくハシゴできそうな作品が3つ。
しかもどれもまぁまぁ観たかったものばかり。やっほー。

というわけで、メンバー特典がしょぼい大阪ステーションシティシネマでもやむなし。
3本ハシゴの1本目がこれ。
前日のお酒が残る頭にはツライ8:40開映でしたが、眠くはならず。

原作は第80回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞に輝いた『フリーヘルド』(2007)で、
遺族年金の権利を求めて立ち上がったレズビアンカップルの実話。

アメリカ・ニュージャージー州オーシャン郡。
女性でありながら凄腕の刑事として23年間勤務するローレル。
地域社会のために体を張る仕事ぶりが評価され、受賞歴多数。
同僚たちからの信頼も厚く、コンビを組むデーンともいい関係を築いているが、
そんなデーンにすらどうしても打ち明けられないことがある。

それは自分がレズビアンであるということ。
共和党が強い保守的なオーシャン郡では、ゲイが受け入れられるはずもない。
女性が出世するだけでも大変なのに、
そのうえゲイだと知られたらどんなことになるか。

外出するさいは、プライバシーを保てる遠方まで出かけていたローレルは、
ある日、車の整備士でステイシーという若い女性と出会う。
恋に落ちたふたりは、郊外の一軒家を購入すると一緒に暮らしはじめる。

ところが、ローレルが末期の肺癌と診断される。
余命はわずかと宣告されてまっさきに案じたのは、ステイシーの今後。
自分の亡き後もステイシーが家を失わないよう、遺族年金を彼女に遺したい。
夫婦ならば当たり前のように遺族年金を受け取れるが、
この地では異性パートナーが遺族年金を受け取ることを認めていない。
ローレルは最後の力を振り絞って立ち上がるのだが……。

ゲイにほぼ偏見はないといっても、ローレルとステイシーでは親子ほども年がちがう。
ジュリアン・ムーアエレン・ペイジ演じるふたりに、最初は多少の嫌悪感を抱きました。

でも、このふたりがいたからこそ(だけではないでしょうが)、同性婚が認められた。
ローレルの主張は決して同性婚を認めろというものではなく、
ただ「平等」を求めただけ。

変人か悪人役でしかお目にかかったことがないマイケル・シャノンがデーン役。
ローレルに想いを寄せながら、彼女がゲイであるとは夢にも思わず、
良き相棒として理性を失わないつきあいを続けてきたのに、
彼女とステイシーが同居を始めて唖然呆然。
それでもローレルとステイシーのためになりたいと奔走します。

純粋にふたりのためになろうと奔走する人もいれば、
これを宣伝に利用しようと目論む同性愛者支援団体の活動家もいます。
その活動家スティーヴン役をスティーヴ・カレル
ちょっと押しが強すぎてステイシーからは嫌がられますが、
彼とて誰かをはめようとか悪だくみしているとかいうわけではない。
世界を変えるためにはこんな人も必要。

同性カップルが認められ、同性婚が可能となるまでにこんなことがあった。
法的に認められてもまだまだ偏見の壁は厚いけれど、きっと世界は変わるはず。

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