夜な夜なシネマ

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『キャロル』

2016年02月15日 | 映画(か行)
『キャロル』(原題:Carol)
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット,ルーニー・マーラ,サラ・ポールソン,ジェイク・レイシー,
   カイル・チャンドラー,ジョン・マガロ,コーリー・マイケル・スミスほか

『ブラック・スキャンダル』を観た日、夙川で食事。
あれよあれよというまに店内は満席に。
お料理はもちろんのこと、ワインの選定に電話の応対までひとりでこなすシェフ。
アルバイトのお兄ちゃんとお姉ちゃん、がんばって助けてあげて~。
21時半をまわり、何組かの客が帰ってようやく落ち着きの様相。

最後にもう1杯だけ飲んで帰ることにしたら、
人生でこれだけグラスなみなみのワインは初めてですというぐらい、
表面張力が起こるほど、シェフがグラスにワインを注いでくださり、
全部飲み干したらものすご~く酔っ払いました。
22時半には帰宅したはずなのに、そのまま撃沈。目が覚めたら1時半。
そこからお風呂に入って7時起床。だって映画の予約しちゃってるもの。
TOHOシネマズ梅田別館アネックスへと向かいました。

20世紀を代表する女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミス。
彼女が1952年にクレア・モーガンという別名義で発表したのが“The Price of Salt”。
これは彼女が百貨店でアルバイトしていた頃に見かけた女性に触発されて書き上げた作品だそうです。
のちに“Carol”と改題されて再出版。つまり、本作の原作。

1952年、クリスマス目前のニューヨーク。
高級百貨店のおもちゃ売場でアルバイトをしているテレーズは、
ゴージャスな毛皮のコートに身をまとった中年女性に目を奪われる。
幼い娘へのクリスマスプレゼントを買いに来たという彼女はどこまでも優雅で、
テレーズは今までに感じたことのない胸の高ぶりに迫られる。

買い物伝票から知った彼女の名前はキャロル。
キャロルがショーケースの上に忘れていった手袋をテレーズは郵送。
するとキャロルからお礼の電話とランチへの誘いがかかる。
どぎまぎして落ち着かないテレーズに、
キャロルは夫ハージとまもなく離婚することを打ち明ける。
ある日、キャロルから自宅へ招かれたテレーズは……。

ミステリー作家と言われることを嫌っていたというハイスミス。
確かに、いわゆる誰かが殺されるとか犯人が誰だとか、
謎解きが含まれているわけではないので、ミステリーとはちと違う。
だけどなんでしょう、このざわざわした感じ。

自分がレズビアンだとは思ってもみなかったテレーズがキャロルと出会い、
これが恋というものなのかと驚きます。
一方のキャロルは最初からそんなことはわかっているかのようで、
だから、若くて可愛い女性を手込めにする悪女に見えなくもありません。(^^;
けれども、娘を心の底から愛する母親だということはひしひしと伝わってきて、
離婚に至る話のなかで葛藤する表情がつらい。

キャロルとテレーズがどんな選択をするのか。
原作の発刊当時、同性愛者の共感を得てベストセラーになったのもなるほど。
自分を偽らず、自分の存在意義を失わなかったキャロル。
ラストは同性愛者だけでなく、多くの人の共感を得ると思われます。
自尊心を失うことはなく、人の自尊心を傷つけることもなく、
身勝手に走っただけの恋ではないから。

キャロル役のケイト・ブランシェット、テレーズ役のルーニー・マーラともに素晴らしい。
絡みのシーンでルーニー・マーラが潔く脱いでいるのに、
見えそうで見えないケイト・ブランシェットはどうよと思いましたが(笑)。

余韻に包まれながら阪急百貨店バレンタインチョコレート博覧会へ。
チョコレートとワインを楽しんだあと、天満橋でごはん。
よく飲んでよく食べた水曜日と木曜日でした。

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