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『ホームレス・ワールドカップ』

2010年06月21日 | 映画(は行)

『ホームレス・ワールドカップ』(原題:Kicking It)
監督:スーザン・コッホ,ジェフ・ワーナー
ナビゲーション:コリン・ファレル

先月公開されたばかりだというのに、早くもDVD化。
製作されたのは2008年で、ワールドカップに合わせて公開、
慌ててDVDもというところでしょうか。
現在はレンタルのみ、後日セルDVDが出るようです。

さて、こんなワールドカップがあることをご存じでしたか。
世界のホームレス人口、推定10億人。
家がなくても、仕事がなくても、あきらめるな。
1つのボールが不可能も可能にする。サッカーで人生は変わる。
そんな思いから2001年に発案された、ホームレスによるミニサッカーの国際大会。

本作は、2006年にケープタウンで開催された、
まさに南アフリカ大会の模様を収めたドキュメンタリーです。
ダブリン出身の悪ガキ俳優、コリン・ファレルがナビゲーターとして登場。

ナイキやUEFA(欧州サッカー連盟)が公式スポンサーとなり、
世界の名だたるチームが積極的に支援。
老若男女問わず、2万人のホームレスがトレーニングに参加。
各国から8人、合計500人の選手が出場しました。

アイルランドのダブリンではヘロイン、ケニアのナイロビではエイズ、
アフガニスタンのカブールでは内戦、ロシアでは移民の不法滞在と、
国、都市によって抱える問題はさまざま。
また、ホームレスになったきっかけもいろいろです。
ヤク中やアル中ゆえにホームレスになった人、
薬にも酒にも手を出していないけれど住むところを奪われてしまった人。

アイルランド代表のダミアンは、能力の高いゴールキーパーですが、
ヤク中の治療のためにメタドンを処方されていて、
今度はメタドンがなければ不安でたまらない。
スペイン代表のヘスースは、還暦を超えています。
レアル・マドリードに所属していたこともあるのに、アル中で、強盗歴も有り。
そんな経歴の人もいるかと思えば、
サッカーのピッチすら作れない土地で、懸命にボールを蹴る人も。

出場選手に用意される宿舎は粗末なものでも、彼らにとっては天国。
清潔なシーツが敷かれたベッドで眠り、
食事を取れることにこのうえない幸せを感じています。

出場できるのは一生に一度だけ。
目標は人生を変えること。
1年後、自分の毎日がどうなっているか、それが大事。

彼らのその後はさまざまで、
明るい未来と言えることばかりではないのが現実。
こんなワールドカップもあるということ、
知っておいてもいいんじゃないかと思います。


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