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『世界一美しいボルドーの秘密』

2014年10月28日 | 映画(さ行)
『世界一美しいボルドーの秘密』(原題:Red Obsession)
監督:ワーウィック・ロス,デヴィッド・ローチ
ナレーション:ラッセル・クロウ

一昨日の日曜日、日本シリーズ観戦に甲子園へ行く前にテアトル梅田にて。
ちなみにこの日はさすがに7連勝はならず、負けてしまいましたが、いい試合。
しかもソフトバンク相手だとあまり腹も立たず、球場も電車も平和な雰囲気。
というよりも、日本シリーズに進出した事実が信じられない阪神ファンが多くて、
まだふわふわ夢見心地ということなのでしょうか。

『ぶどうのなみだ』に続いて、こちらもワインのお話。
原題は“Red Obsession”、ボルドーといえば特に有名なのは赤ワイン、意味は「赤い執着」。
赤ワインに取り憑かれた人や国を描いたドキュメンタリーです。
オーストラリア/中国/フランス/イギリス/香港の作品。

フランスを代表するワインの産地、ブルゴーニュとボルドー。
ブルゴーニュが主にフランス国内で消費されてきたのに対し、
ボルドーは地理的な特性ゆえ、早々と海を渡ってイギリスへ。
さらにイギリスからアメリカへと渡り、日本にも愛好者がいっぱい。

本作はそんなボルドーの5大シャトーの偉いさんやレストラン経営者、
世界的に影響力を持つワイン評論家にインタビュー。
それぞれの話がなかなかにおもしろい。

ワインが好きでたまらなくて、ブドウに愛情を注ぐことが必要だと、目を輝かせて語る人。
ブドウに向かって「美味しくなぁれ」とやっていたらドン引きですが(笑)、
きっとそれに近いものがあるのではと思います。

房の中に良くないブドウを見つけたら、その一粒を取り除くという話を聞いたとき、
以前、とあるレストランで食後のコーヒーをいただいたときのことを思い出しました。
あまりに美味しくて、「いつもと同じ豆ですか」と尋ねたら、
サービスの人が「同じなんですけど、豆を一粒ずつ選ってから挽きました」とのこと。
その手間が全体の味を上げるのですね。

後半はドドッと中国の話へ。
ボルドーにとって、最大の顧客はずっとアメリカだったのに、
ここ10年ほどはそれが中国に取って代わりました。
その昔はまったくいなかった億万長者が今や何百人もいる中国では、
金持ちがこぞってボルドーワインを買いあさる。
ワインを買うことで自分が文化に通じた教養ある人物だと見なしてもらえるから。

中国が凄い市場になると見たボルドーが、中国人向けのボトルデザインにしちゃったり、
そこにプライドはないのかと思わなくもないですが、めちゃめちゃ売れたそうです。
ワインに限らず、ものをつくる人にはプライドを持っていてほしいけど、
値段を高く設定することがプライド、みたいになっちゃっているような。

有名になれば必ず出回る偽造品の話や、“大人のおもちゃ”で巨万の富を築いたワイン収集家の話、
中国にフランス風シャトーを建てた醸造家の話など、いずれも興味を惹かれます。

『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』(2008)は
カリフォルニアワインがフランスワインに勝った物語でしたが、
中国人醸造家にも負けちゃったって、それでいいのかフランス。

ナレーションはラッセル・クロウ。
『ノア 約束の舟』で葡萄畑を耕していた彼がこうして関わっているのは、
繋がりがあるようでニヤリ。

値段はほどほどで美味しいワインが飲みたい。

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