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『スノーデン』

2017年02月15日 | 映画(さ行)
『スノーデン』(原題:Snowden)
監督:オリヴァー・ストーン
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット,シェイリーン・ウッドリー,メリッサ・レオ,
   ザカリー・クイント,トム・ウィルキンソン,リス・エヴァンス,ニコラス・ケイジ他

大阪ステーションシティシネマで3本ハシゴの2本目。

これも前述の『破門 ふたりのヤクビョーガミ』同様、
ぶっ倒れている間に封切られ、翌週になったら上映回数が激減していた1本。
どうしても観たかったのに〜と泣きそうになっていたら、
この劇場ではまだ回数が多い。さすが大阪の中心部。
年末に観てめっちゃ面白かった『ドント・ブリーズ』(2016)にしても、
他劇場ではとっくに上映が終了しているのに、この劇場ではまだ4回もかかっていて、
しかも回によっては満席だったりするのですから。
観逃しそうな映画を観に行くならばココ。

エドワード・ジョセフ・スノーデン、
NSA(アメリカ国家安全保障局)および中央情報局(CIA)の元局員。
NSAが違法に個人情報を収集していると、2013年に告発した青年。
昨年そのドキュメンタリー作品である『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014)が公開された折、
これもどうしても観たかったのですが、上映期間中になんばパークスシネマに行けず。
先月のお正月明け、DVDレンタルが開始されてすぐに観ました。
のほほんと生きている者にとってはにわかには信じられない話。
だって、一般市民の電話、メール、SNS、その何もかもが政府に筒抜けなんですよ。
全国民のそれが監視可能だということ自体、信じられません。
嘘でしょと思いながら観はじめて、こりゃホントだとたまげました。

本作はたぶんそのドキュメンタリーを観てからのほうが面白い、
社会派のオリヴァー・ストーン監督が描く実録ドラマ。
エドワード役のジョセフ・ゴードン=レヴィットの話し方がかなり本人に似ています。

高校中退、独学ながらコンピュータを操る天才、エドワード・スノーデン。
9.11アメリカ同時多発テロに衝撃を受けた、愛国心にあふれる彼は、
国家の役に立ちたいと、20歳だった2004年に軍への入隊を志願。
しかし過酷な訓練で脚のあちこちを疲労骨折。
起床時にベッドから飛び降りたことで両脚を完全に骨折。
医師からまた飛び降りれば骨が潰れるだろうと言われ、除隊を余儀なくされる。

失意のうち、自らの今後を模索していたエドワードは、CIAの採用試験に臨み合格。
彼のコンピュータの知識には指導教官のコービン・オブライアンも舌を巻くほど。

プライベートではSNSで知り合ったリンゼイ・ミルズと同棲を始める。
国家機密を扱っているため、リンゼイに仕事の話ができなくてもどかしさは感じるが、
そんなエドワードに理解を示すリンゼイに支えられ、
公私ともに充実した日々を送っているはずだった。

ところが、ジュネーヴにあるアメリカの国連代表部に派遣された彼は、
NSAの極秘検索システムの存在と、それを使用した個人情報収集の実態を知って驚愕。

あきらかに違法なのに、国が平然とそれをおこなっている。
危険人物をあぶりだすことが目的だというけれど、本当にこれでいいのか。
富裕な会社の経営者等の親族まで調べ上げ、脅しの手段に使うことも。
自分の愛してやまない国が、当たり前のようにそんなことをしている。

エドワードはイギリスのガーディアン紙の記者を務めるグレン・グリーンウォルドと
ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラスと接触を図り、香港で落ち合います。
NSAがおこなっていることをなんとしてでも公表してほしいと。

香港のホテルの一室でグレンやローラと最初に会ったとき、
エドワードが最初にしたのは携帯を預かること。
その携帯を電子レンジの中に放り込み、これで電波を遮断できると言います。
PCを起動するときには、毛布をかぶる。
でなければ、どこかから監視されている場合にパスワードを読み取られるから。
事情を知らなければどれだけ被害妄想に駆られた人なのだと失笑してしまうところ。
実際、ガーディアン紙の編集長も唖然。
しかし、これがただの妄想ではないと知って呆然とします。

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』では、
ドローンのパイロットが良心と闘うシーンが印象的でしたが、
本作に出てくるパイロットは、「ショーはお楽しみいただけたかしら」。
どちらが本当なんだろう、いや、人それぞれのことだから、どちらも本当の姿なのか。

国ぐるみでこんなことをされたら。
ちなみに、エドワードは日本でも仕事をしたことがあり、
アメリカ政府は日本政府にも全国民監視システムを勧めたそうです。
日本政府はそれをきっぱり(かどうかは知らんが)断ったとか。

告発でアメリカ政府に命を狙われることとなったスノーデンはロシアに滞在。
同棲相手のリンゼイは政府によりしばらく拘束を受けたと思われますが、
現在はスノーデンとともにロシアで暮らしているそうです。

本作のキャストとしては異色に思えるニコラス・ケイジ
エドワードの姿勢に影響を与える教官として出演しています。
米国政府のやり方にケイジも異議を唱えるひとりだと察します。

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