夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『うさぎドロップ』

2011年08月27日 | 映画(あ行)
『うさぎドロップ』
監督:SABU
出演:松山ケンイチ,香里奈,芦田愛菜,桐谷美玲,キタキマユ,
   佐藤瑠生亮,高畑淳子,池脇千鶴,風吹ジュン,中村梅雀他

お盆休みに観た4本目を書くはずが、今週本作を観て、先に書きたくなり。
4本目を書く頃には終映しているかもと心配でしたが、
来週いっぱいは上映予定なので、4本目は来週に。

さて、本作を観に行ったのは、私の場合はひとえに監督のせい。
劇場内を見渡せば、老若男女さまざま。子ども連れの人もたくさん。
ものすごく幅広い客層で、これは芦田愛菜ちゃん効果?

おそらく、今までのSABU監督を知らない人は満足、
今までのSABU監督に惹かれて観に来た人は、
なんだか監督が腑抜けちゃった印象をぬぐえない作品です。

27歳のダイキチが、祖父の訃報を受けて実家へ向かうと、
見慣れない6歳の女の子が。なんと祖父の隠し子らしい。
母親はどこの誰だかわからず、親戚一同は迷惑顔。

りんという名前のその女の子のいる前で
引き取り先を巡って親戚同士が揉め出し、
たまりかねたダイキチは、自分が引き取ると宣言してしまう。

実家ではまったく口を利かなかったりんだが、
亡き祖父にそっくりのダイキチにはすぐになつき、
子育ての経験皆無の独身男と女の子の生活が始まるが……。

腑抜けた印象と書きましたが、これはこれでいいです。
大会社の最も忙しい部署でバリバリ仕事をこなしてきて、
部下の信頼も厚いダイキチが、育児のために残業のない部署への異動を希望します。
異動先には見た目やんちゃ、実は子煩悩な男どもが大勢いて、
ダイキチの事情を知るや大歓迎。
りんがいなくなった折りには、急ぎの仕事を全員でほっぽらかして探しに。
これはあかんやろと苦笑しつつも、そう来ないと感動は膨らまないし。

保育園で親しくなるシングルマザーが雑誌モデルのゆかりで、
親しくなる前にダイキチが偶然その雑誌を開き、
モデルと自分が踊る妄想シーンがありますが、
これは本来のSABU監督を思い起こさせます。まるで『MONDAY マンデイ』(1999)。

いつもはブラックな笑いをもたらす監督がすっかり丸くなったのに、
以前の自分をどこかで見せておきたいと思うのか、こういうシーンが突然入ります。
従来のファンとしては嬉しいけれど、本作には不要のシーンで、中途半端。
それでも、『世界で一番パパが好き!』(2004)で毒のかけらもなくなったケヴィン・スミス監督に比べれば、
本来のSABU監督がいるのは楽しくもあり、
また、どこに向かうんだろうと心配になったSABU監督の前作『蟹工船』(2009)よりも好きでした。

とにかくどの作品でも出演者が「走る」、SABU監督作品。
その点は本作も健在。
普通によかった、というのが素直な感想。

こんな素敵な叔母さんと甥っ子の関係、いかがです?

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