今回、久しぶりの長編になりましたが、今回で最終回です。
では、参ります。
…興奮の来島海峡を通過すると、もう、楽しかった体験航海も終盤です。
といっても、あと2時間はありますけどね~(笑)
さて、来島海峡までは、比較的いいお天気だったのですが、目的地に近づくにつれて、
だんだんと雲行きが怪しくなりはじめ、それに伴い、風も冷たくなって外にいるのがツラい寒さになってきました。
なので、また、士官室にしばらく引きこもっていたのですが…
私「…もしかして、そろそろ内火艇降ろしますか」
広報係「そうですね。準備を始めると思います」
聞くや否や、カメラを手にし始める男性二人(笑)
私「…内火艇降ろすところって、見ててもいいですか?」
広報係「聞いてみます」
と、一旦、士官室を出られた広報官さん。
しばらくして戻って来られて
「こちら側(確か左舷だったと思います…たしか)なら、大丈夫だそうです」
と、いうことで、私と、男性二人はすごい勢いで立ち上がり、その様子を見た海自初心者の方々は、
「一体、何がみられるんですか?」
という感じで、よくわからないけど、とにかく行ってみよう、という感じで後に続かれ、
おそらく、エスコート役の広報係士官さんは、
(え?内火艇だよ???そんなに見たい???)
と、内心、相当不思議に思われていたと思う…っていうか、確か、不思議そうに尋ねられたような気がする(笑)
「内火艇おろすところって、そんなに面白いですか????」
って。
「おもしろいですよめったに見られませんし」
「…そ、そんなものなんでしょうか…(笑)」
ヲタ、マニア、熱狂的ファン…呼び名はどれでもよろしいが、こう呼称される者たちの、萌えポイントと、
現役自衛官が「たぶん、こういうのがおもしろいのではないか?」というポイントには、
おそらく、著しいズレがあると思われますね(笑)
たぶんに、自衛官は何かすごいものを見せないといけないのではないか
と、思われると思いますが…いやいやいや…どちらかと言えば、自衛官にとっては、なんでもない、ごくごく日常的なものや、
地味な(だと思っている)作業、くすっと笑える張り紙…そういうものですね、喜ぶのは(笑)
特に女性は、変なとこに反応しますね。
あ、そうそう、女性に説明する時、どうしても、武器の用途とか性能を説明しがちになると思いますが、私も含め、大抵の女性は、
「へ~~・・・・・・」
で、終わります(笑)
例えば、76mmの説明だと
「これは、76mm速射砲で、弾の重さはうんたら…射程距離が…」
とか言われても、「ふぅん…」となります。
男性なら、「おお~」なんですけどね(笑)
つまり、男性は性能自体に興味を持つのですが、女性はそんなものには興味がないです。
なので、女性のウケを狙いたくば、自衛官の皆さん…メモのご用意はいいですか?
1.何のために使うものなのか、その用途のみ説明する…専門的な話は一切NGでかつ手短に
2.ここから、演習等で実際にあった話せる範囲での面白話を披露する
これだけで、OKです
男性は、いかにすごいか、に興味の対象が向きますが、女性はそもそもの用途が分からないと興味が持てないし、
用途だけわかっても、話がつまらなければ興味を持ちません…。
なので、女性のエスコート役は、詳しい人よりは、
面白い話を披露してくれる人、しょうもない話をしてくれる人などの方が望ましいと考えます。
私は、そこのツボが分かっているのと、自衛隊用語を民間用語に変換して説明することができるので、見学に連れて行った女性は、
だいたい、私に質問してくるんですよね(笑)
「…なんか、みね姉さんの説明の方が分かりやすくて…」
といわれるのですが、それは、詳しいからではなくて、ざっくりとポイント抑えてしか説明しないのと、
女性の求める答えのツボが分かっているからです。
いつだったか、某護衛艦の見学時に、「ジャミング」について、女性たちに説明されていた時、
「あ…っていうか、ジャミングって…分からないですよね…え~っと…何といえばいいのか…」
と、困ってらしたので、
私「あ、攪乱させる、でいいと思うのですが…」
海「あ!そうか!攪乱。そうですね(笑)」
と、いうことがありました。
日常的に当たり前に使っている言葉だと、民間人に分かりやすい言葉に翻訳するって、結構難しいと思うのです…。
話が大分それました。
さて、内火艇降ろしすらもイベントになってしまう、という感覚は、およそ自衛官には理解しがたい部分であろうと思います(笑)
まぁ、でも、そういうものの方が実は、けっこう見ている側には喜ばれるものだということは、知ってて頂けるうれしいです。
一緒に見ていた男性参加者さんが、
「やっぱりどうしても、1分隊の入出港作業が華ですけど、こういう地味な仕事こそグッときますよね」
と言われたことが、よくわかります。
自衛隊を愛する者ほど、あまり目がいかない部分や、地味な仕事、縁の下の力持ちさんに脚光を当ててくるものだと思います。
自衛隊に限らず、マニアックな人というのは、そうであるのですが(笑)
そして、この男性参加者さんが、ロープの処理の作業一つ一つを見て
「…ああ、やっぱり、プロの仕事だなぁ」
とつぶやいていらしたのが、とても印象的でした。
前記事で上げたように、いろんな自衛隊ファンがいますが、私が共感できるのはやっぱり、旗振り男さんや、こういう方です。
自衛隊を愛し、敬意を払っていることは、やっぱり、言動に表れるものだと思いますので。
ハードウェアだけでなく、自衛官の美しい仕事そのものを愛おしむ…そういう気持ちが…。
そして、内火艇を見に行きました。
さて、とは言いながら、これがなかなか、降ろすまで時間がありまして、
我々は、中に入ったり出たり、入ったり、出たり…の繰り返しでした。
何度か繰り返したころに、そろそろかという、空気に。
ほら、さっきの写真よりも、だいぶこう、そろそろな感じでしょう?
そして、寒さに耐えつつみんなで作業を見守ります。
あとは、動画でご覧くださいませ('ω')ノ
くろべ内火艇降ろし
いかがでしたか?
そして、我々は、またまた旗甲板に上がりました。
入港作業が始まります。
そして…入港ラッパがなりました…。
あ~~~~ついに、この楽しい旅が終わっちゃうよ~(ノД`)・゜・。
朝0800時出港だったのに…それでもあっという間です。
ドック内は、撮影禁止なのでここから先は画像はありません。
ちなみに、ドックには元しらねがいらっしゃいました。
…そう、元…です。
航空自衛隊の戦闘機の標的艦になるんですよね。
最後の最後のお役目を静かにじっと待つ姿は、なんとも胸に迫るものがありました。
そして、入港時は、ドックの方たちと交代されます。
これがまた見ている分には面白いんですよね~。
やっぱり、入港の仕方が海上自衛隊とは何かと違うみたいなので…。
どんなところが違うかを聞きながら見ていると、ホントに面白いです。
そして、この時には、結構雨が降ってきました。
ここからが割と長いのですが、そういいつつも、我々も上陸準備を始めました。
ほぼ、予定通りの到着で、みんな、名残惜しむかのように艦を降ります。
久保田艦長も、舷門までお見送りに来てくださいました。
0800~1500まで、みっちり、瀬戸内海の船旅を満喫させていただき、感無量です。
我々、みんな、数日間はこの余韻が冷めやらず、夢のような1日を味わうように振り返っていたと思います。
壮絶に楽しくて、
「帰りに死んでも成仏できる!」
と本気で思った1日でした(笑)
くろべの皆さま、少ない人数の我々のために、本当に様々なお心遣い、ありがとうございました。
寒い中、ドック入りは電気系統が使えなくて、寒い中でのお仕事の日々だと思います…。
くれぐれも、風邪をひかれないように、お気を付けくださいませ。
本当に、ありがとうございました!