「歩くZ旗」みね姉のひとりごと ~矜持 国を護るということ~

私たちを護ってくれている自衛隊を、私が護りたい!そんな気持ちで書いてきました。今は、自衛隊との日々の大切な記録です

風立ちぬ

2013年09月30日 | 映画の感想
iJIBURImages.jpg

「永遠の0」を読んで、


今度は、当時世界最高の単座式戦闘機と謳われた、


ゼロ戦を作った堀越二郎に興味が出て、


もともと見たかったこの映画を、なんとしても観たいと思い、


ようやく、ようやく見ることができました!


感想はひと言…


大好きです!


ジブリなので映像の美しさは、いわずもがな。


今回は、台詞の美しさが秀逸でした。


この映画で語られている言葉は、


もはや、絶滅の危機に瀕していると言ってもいい、美しい日本語です。


それは、


日本語だけにとどまらない、


美しい所作や礼儀が随所に丁寧に描かれているので、一層引き立っています。


4歳くらいの妹が、怪我をしている小学生の兄に、


「まぁ、怪我をなさっています!赤チンを塗ってさしあげます!」というシーンが、


この時代の子供たちの、聡明さと礼儀正しさをよく表していると思いました。


この二人の、大人になってから久しぶりに会った時に、


きちんと座布団をおりて、二人で真の礼(もっとも深い礼)をしてあいさつをするシーンも、


素晴らしかったです。


次郎の、座布団から離れる時の立ち振る舞いは、


彼らの育ちの良さを実に良く描いてあります。


母親が、本を読みながら勉強部屋の畳で寝ている次郎に、


「ニ郎さん、お床でおやすみなさい」


という言葉がまた、母親の温かい愛情と品のよさがとてもよく表れています。


最初の10分程度のシーンで、


この時代の日本の、全ての美しさを濃縮したようなものを感じました。







二郎が愛する、


奈緒子がまたステキでした。


二郎の母親もそうですが、


この時代の育ちの良い女性の、


美しい所作や言葉を観るだけでも、心が洗われます。


奈緒子を見ていると、


名作「カリオストロの城」のクラリスを思い出しました。


髪型も似ていましたけど(笑)


クラリスよりは、溌剌とした感じで、


似ているというわけではないのですが、


なんとなく、クラリスを彷彿とさせました。












今回、ジブリでは珍しく、


ノンフィクションの要素が入っている作品ですが、


それだけでなく、


「大人でないとわからない」作品を宮崎駿が作ったことが、


一番驚きました。


この話は、二郎が9試単座式戦闘機の開発に成功するまでを縦軸に、


主人公次郎と奈緒子の恋愛が横軸で描かれています。


かつ、


堀越二郎という人物は、


完全なノンフィクションではなく、


作家の堀辰雄の人格も入っているので、


ゼロ戦ができるまでをメインで考えている人が見ると、


けっこうがっかりすると思います。


その辺を割り切って、


美しい恋愛ファンタジーを見ていると思うと、


最高に素晴らしい作品でした。


個人的には、


二郎と奈緒子の二人が、愛を深めていくところが、大好きです。







奈緒子は、結核を患い、東京の実家で暮らしており、


片や二郎は、飛行機の開発設計を任され、名古屋で仕事に没頭する日々。


現在でもなかなかの遠距離恋愛ですが、


この時代の遠距離恋愛は、今以上に距離を感じるものです。


電話がある家の方が珍しく、


電報か手紙が主な通信手段ですから、


当然、二人は手紙のやり取りで互いの思いを伝え合います。


この、


互いが、相手からの手紙を受け取って読む瞬間の、


少しでも早く読みたい!という気持ちがよく描かれています。


手紙は、現代においてはやり取りする方はなかなか少ないと思いますが、


自分の正直な気持ちを、


一番まっすぐに伝えてくれてるのが手紙ではないかと、私は感じます。


相手を想って選んだ、便箋と封筒に、


ペンや万年筆を走らせると、


実際に会うとなかなか言えないこと、


メールでは伝わらないことを、


自分の文字はきちんと相手に届けてくれます。


そして、人によっては、切手までも相手を想って選んで貼ってくれる…


随所に、相手への想いが込められている美しい行為が、


手紙を書く、ということのように思います。


二人が手紙をやり取りするシーンは、いろんな思いがこみあげてきました。





また、


奈緒子が、二郎とわずかな時間だけ新婚生活を送るシーンが好きです。


ジブリでは珍しく、初夜の場面があるのですが、


「初夜」という場面を、あんなにも切なく美しく、清々しく描けるあたり、


宮崎駿が天才たる所以だと感じます。


宮崎駿は、なんといっても生活動作を丁寧に丁寧に描くことで、


その人物の性格や性質を、余すところなく表現することができる天才です。


その真骨頂が、奈緒子と二郎が二人で過ごしている場面ではないでしょうか。


そばにいても、


二郎は仕事忙しく帰りも遅いので、それほど一緒にいられるわけでないけど、


帰ってきた、二郎の着替えを手伝い、


夜遅くまで部屋で仕事をする二郎を見つめ、


朝起きると、そこに二郎がいて、


仕事に行く二郎とそっと口づけを交わして、


いってらっしゃい、といって見送る…


そんな、


なんでもないことが、奈緒子にとって、


どれほど大きな幸せなことだったかということを、


気づいた人は、いったいどれほどいたでしょう…


最愛の男性に、たったこれだけのことができるということが、


どれほど、女性にとって幸せかということが、


わかった人はどれほどいたでしょうか…


それをしたいと望んでも、それを当たり前にできない女性にとって、


その時間がわずかでも与えられるということが、


どれほどありがたい、最大の幸福の時間なのかということが…


この二人の愛は、


限られた時間のものです。


それを知っていた二人は、精一杯互いを愛し、思いやりました。


宮崎駿自身が、


「この時代の人は、潔さがある。そこが美しいのだ」


と言っていました。


まさにそうだと思います。


この二人に、何かへの執着は一切ありません。


互いにすら、執着心がありません。


二人でいる時間の一瞬一瞬を大切にして、


二人は真摯に愛し合い、


「今」を生きていました。


だからこそ、この二人の愛は、強烈に清々しく美しかったのです。






宮崎駿は、この映画を最後に引退すると言っていますが、


そう思った気持ちが、わからないでもないです。


ずっと、


「アニメは子供向けにつくるべきだ」と言い続け、


最後にそれを覆し、


最高に練熟した、清々しく美しい純文学のような、大人の恋愛を描き切ったこの作品は、


天才の最後にふさわしい作品だと、私は感じました。







「永遠の0ゼロ」を読んで

2013年09月21日 | 本の感想
「海賊と呼ばれた男」に続き、


百田直樹のデビュー作にして、超ロングベストセラーの名著、


「永遠の0ゼロ」を読みました。


ダウンロード


まず、


架空の話とドキュメンタリーの混ぜ方が絶妙!!


なので、読んでいて自然にぐいぐい引き込まれていきます。


もうひとつ、この作品が絶妙なのは、


思想的なバランスのよさです。


左にも右にも偏りすぎていないので、安心して読めました。


太平洋戦争当時の書物を読むときに注意が必要なことがあります。


どちらか(主に左側)の思想に誘導しようとする意図が明確なことが多いので、


その辺を理解して読まないといけないことです。


私は、TVをみてもなんらかの記事や本を読む時でも、


それらは、どんなバイアスがかかっているかを注意深く読み取るクセがあるのですが、


この「永遠の0」は、(「海賊~」もそうでしたが)


バイアスが見受けれないという点で秀逸だと思いました。


極力、史実をありのままに伝えようという気持ちが、


読んでいて伝わってきます。


ですので、戦前の日本を美化していなければ貶めてもいません。


そういう点で安心して読めるので、


幅広く様々な人に読まれ、


8年もたってなお、ベストセラーであり続けることができるのだろうと感じました。









この本が、


ジャーナリストとしての腕がいかんなく発揮されていると感じる、


大きなポイントは、


この話は、主人公の祖父:宮部について、


宮部と関わりがあった人々に、


インタビュー形式で宮部のひととなりや、


その時の出来事について少しづつ展開していくことろです。


最初、宮部という人物について、大きなマイナスイメージをもたせてから、


少しづつ少しづつ、


彼の真実に迫っていく様子が、本当に見事でした。


ページの半分近くまで読み進めると、


もはや、最後まで一気に読み終わらずにはいられなくなってしまいます。










もちろん、すばらしいのは構成だけではありません。


内容もまた、素晴らしいのひと言につきます。


宮部という人物が少しづつわかっているのに連動して、


この戦争がどのような戦いだったか、


ある種の人には理解不可能な「特攻隊」とはなんだったのか、


「特攻隊」は何を思って自らの命を捧げたのか、


その全容がはっきりと見えてきます。


同時に、


切なさや悲しさ、悔しさ、怒りなどの様々な感情が込上げてきます。


この時代は、


ほとんど全てのことにおいて「否」という権利が認められていないということは、


周知のことと思いますが、


「死ね」と言われて拒否する権利がない、ということがどういうことか、


現代に生きる私たちには、想像しようとしてもできるものではありません。


ですが、


この時代の兵士たちは、


徴兵されたのなら、戦わねばならないのなら、死なねばならないのなら、


せめて無駄死にではない死に方をしたい、と思っていたのです。


ですが、ここに登場する「宮部」という、秀逸した天才パイロットは、


敢然として、「否」といい、


「死にたくない、生き続けたい」と口にします。


彼は、実在の人物ではないのですが、


実在でない宮部だからこそ、当時の兵士たちが、本当は思っていても言えなかったこと、


あるいは、疑問にすら思っていなかったことで彼らの奥底に潜む何か、を、


代弁することができたように感じました。


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こう敢然と口にすることが、許されなかった時代なのです。


ですが、執着とすら言える生き抜くことへの思いの強さが、


彼を天才パイロットにしたのでしょう。


簡単に命を捨てること、無謀、猪突猛進は勇気とは言わない、


それが、実在した「撃墜王」と呼ばれている名パイロット達をみても


よくわかります。


空戦で生き延びるには、かなりの集中力と勇気と忍耐力と、恐ろしいまでの注意深さを必要とすることは、


戦闘機に詳しくない私でさえも、容易に理解できました。


日本には、米国から恐れられた、極めて優秀なパイロットが多数いたのです。


米軍のエースたちが、一度は誰もが撃墜された、


というような猛者が日本にはいた、という事です。


ここで、おや?と思いませんか?


「一度は撃墜された」というフレーズは、日本人なら、奇妙に聞こえると思います。


撃墜=死が一般的なイメージだからです。


そう、米軍と日本軍の最たる違いはまさにここです。


日本の敗因は枚挙にいとまがないくらい、様々あるのですが、この点は非常に大きいと思います。


作中でも触れてあったのですが、


すなわち、兵士を人間として扱っているか、消耗品として扱っているか、という違いです。


日本の場合、資源の確保が非常に困難であることが、恐らくそういう土壌をつくったのでしょう。


武器を作るにも、戦闘機や戦艦を作るにも、莫大な資源と高度な技術が必要、なのにない。


何より、戦闘機や戦艦を動かす燃料である石油がないので、


そこを人的資源…つまり人間で補充しようという考えに至ったのだろうという事は、


わからなくもないのですが、その決定を下した人間、つまり軍上層部は、


自らは安全な場所にて、戦死を玉砕と賛美しながら兵士に死を厳命したわけです。


しかも、ただ戦って死ね、という方がまだしもましであるような、


残酷な人間兵器を考案し、使用し、多くの兵士を無駄死にさせたのです。


余談ですが、私個人は最大の戦犯は陸軍の牟田口だと思っています。


ここまで無能な輩が、なぜ中将の地位にいたのか・・・。


官僚的な組織になると、公務員だろうが民間企業だろうが、


能力があって、本気で国や会社の事を考えている人間は出世できないということは、


世の常なのだろうな、とつくづく思います。


早い話が、日本兵の最大の敵はアメリカと言うよりも、


無能な上官だったと言えるでしょう。


当人達に、当時はそんな認識はなかったと思いますが、


会った事もない敵兵よりも、


無能な上官の方が、よほど憎たらしかったのではないでしょうか。


自らは安全なところにいるくせに、


「生きて帰ってくるな」と命令されるのですから。


対してアメリカは、兵士を人間として扱っていました。


できるだけ、兵士を生かそうとする、様々な安全策がとられています。


「生きて虜囚の辱めを受けるな」という言葉にように、


日本軍では、捕虜になることを禁じていました。


ですが、この事に関して、永遠の0でも書かれていない、とある事実もあります。


実際、全てではないかもしれませんが、


米軍の捕虜になってしまえば、非人道的な扱いが待っていました。


そもそも、この「生きて虜囚の辱めを受けるな」という言葉ができたのは、


日清戦争の時に、清軍の日本人捕虜に対する残虐非道な扱いを見たことにはじまります。


ですが、この言葉を表面だけ見ると、


ただの非人道的な訓令にしか思えません。


ましてや特攻などのような作戦を遂行するのであれば…。


ですが、もともとは、人間としての最後の尊厳を守るために、


下されていたものなのです。


実際、近年でさえも、「アブグレイブ刑務所」のような事があることを考えれば、


あながち、それは間違ってもいないように思います。


思うに、開戦当初~日本がまだ優位だった頃は、


軍記も徹底しており、秩序ある組織として日本軍も機能していたけども、


戦況が不利になってくるにしたがい、もはや軍が機能しなくなったのだろうと推察します。


それもこれも、戦争でもっとも重要な補給を軽んじてしまったことが大きな理由で、


これがないと、ハードウェアも人間も、軍そのものが機能しないということに、


軍の陸軍上層部が気付いていなかったからだと思います。


その証拠に、陸軍は戦死者というよりも、餓死者が多かったのですから。


そのあたり、燃料がないと軍艦を動かすことができない海軍は、


不利さをよく分かっていたのではないでしょうか。


とはいえ、陸軍も海軍ともに、


いたずらに兵士の命を軽んじる作戦行動をとってしまうのですが。


そんな中で、なんとしてでも、


生きて帰ってもう一度、家族に会いたいと思いながら、


亡くなった兵士達の思いは如何ばかりかと、察するに余りあります。


特に、婚約者や、妻や、生まれる前あるいは生まれたばかりの我が子がいる方たちは…。


そんな思いを、口にすることすら許されなかった時代に、


彼らの真の思い、本心を1つにして出来上がった人格が宮部だと感じました。


本当は喜んで戦地に行ったわけでもなければ、死んだわけでもない、


だけど、命令に背くことも許されない彼らは、


戦う理由と死ぬ理由を、


愛する人を守るため、だと思うしかなかったではないでしょうか。


そして当然、


見送る側、送り出す側も、


悲しむことも引き止めることもできないこの時代の女性達は、


きっと、


愛する人が、必ず帰ってくることを信じて、


その事を信じて必死で生き、


子供を守り育てたのだと思います。


その思いは、きっと、どんな姿でもいいから、


生きてさえいてくれればいいから、という思いにちがいないのではないでしょうか。


この時代の女性は、


男性に養ってもらう、という発想は恐らくなく、


必死で支えたに違いないと思うのです。


必ず生きて帰ってくる、という約束は、


悲しいことに多くは果たされいません。


そして、よしんば生きて帰ってきても、


手足を失ったり、失明したりと戦傷を受けることもあるでしょう。


こうなれば、生き残った側も、支える側も、


大きな苦労が待っています。


それでも、私は、見送る立場であるなら、


別れ際にこういって欲しい…。

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生きてさえいてくれればいい、と本当に思います。


そうでないなら、そもそも一緒になるべきではない。


その人の腕がなくなっても、


私の腕があるし、


その人の足がなくなっても、


私の足がある。


それが、どれほど困難な生活であっても、その方がいい。


その人自身が消えてしまって、二度と会えなくなるよりは…。


きっと、この時代の多くの妻たちは、


そういう思いで彼らの帰りを待っていたのではないでしょうか?


ですが、それさえも許されなかったのが、


当時の日本なのです。


その事が、痛いほどに伝わってきたのが、


この本でした…。


ダokasaウンロード (1)


はるゆきくんとの再会~艦外編~

2013年09月20日 | 海上自衛隊
さて、


士官室から外に出ると、


副長さんが、


「う~ん、案内って言っても、みね姉(ねえ)さん(←リアルにこう呼ばれました)2回目ですもんね~」


と。


「まぁ、そうなんですよね~。でもお任せします


そんなワケで、ちょっとマニアックなご案内をしていただきました。


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ミサイルの用途なんかも、ものすごく細かく丁寧に説明していただきましたしね(笑)


なんですが、丁寧な説明すぎてあまり覚えておらず…(←失礼なヤツ)


「永遠の0」読んでいた時も思ったけど、たぶん、私、ミサイル系にあまり興味ない(笑)


聞いてた時は面白かったんですけど、「弾幕をはって迎撃」というフレーズしか、


私の中に残っていない…副長さん、頭悪い私ですみません…


あと、妙におもしろかったのが、コレ↓↓↓

KIMG1169.jpg
(画像がでかすぎたので、サムネイルでUP)


見た目の通り、フックですね。


輸送艦なんかから、物資を積み込む時にワイヤーロープ(?)を貼って、


物資なんかを移送するツールなんですけど、


これ、物資だけじゃなく、


司令官を移送(?)したりするらしい…(爆笑)


マジで?!ウソでしょ?!司令官よ?!


ようは、ワイヤーロープに座る場所をつけて、するすると移動するんだとか(笑)


想像すると面白くて仕方ない私


なんでそんな事を???を訪ねると、


コスパの問題で、ヘリだとお金かかるので~。これだとタダですから。」


まぁね、たしかに…


だけど、威厳とかどうなのかと…


海軍時代だと絶対にありえないだろうなぁ


いろいろ説明していただいていると、


副長さんの口から、ちょいちょい、「コスパ」というフレーズが飛び出してくるのが、


なんとも切なかったです…。


多分、民主党政権時代は、一層厳しかったのでは?とお察しします。


コスパの問題で一番えぇ~?!って思ったのが、


コレ↓↓

ダウンロード (1)


真ん中に、オレンジの飛行機っぽいのがあるがお分かりになりますか?


隣の艦にあるものをはるゆき側から写したものですが、


これ、演習で、標的になるものらしいんですね。


なんだけども…


「ふつう、標的って命中させたら、おお~~~~ってなるじゃないですか?」


「はい、なりますね」


「なんですけど、あれには当てちゃいけないんです


「えっ?!どういう事ですか?」


コスパの問題です。何艦かが合同で順番に撃つんですけど、微妙に手前を打たないといけないんです」


「えぇぇ~~~~~なんでですか?」


「何個も使用できないので、壊すのは最後なんです。つまり、一番キレイな形は、

 順番にギリギリ手前を撃っていって、最後の艦が命中させて、終わり、という形なんです」


「あ~、なるほど、最後まで残せよ、と…」


「そうなんです。しかも、もし途中でまちがって命中させちゃったら、中断して回収して作り直して、

 それから演習再開になるので、時間が長引いてしまい、なかなか帰れなくなってしまうんですよ


「『あ~、誰だよ~!当てたヤツ』みたいな空気が漂うんですね(笑)」


「ですね(笑)」


…まぁ、考えてみたら、ミサイルとか弾系って、激しく高価な消耗品な上に、


ケチるわけにもいかないと思うので、


使いまわせるものは使いまわそうっていう事なんでしょうけど、


「当てちゃいけない」ってすごいな…






お次に見つけた変なもの…(←護衛艦でそんなものばっかり見る人っていないだろうな~)


HARUYUKI.jpg


奥に、青いビニール袋みたいなのがあるの、みえます???


これ、「溺者」っていう溺れた人を想定した人形らしいんです(笑)


副長「…で、あれですね~、うちのはふつうにはるゆきくんなんですけど(なんかカワイイ

   艦によっては、額にとかかかれていたり、
  
   ひどい艦になると、ダ。○○○フみたいになってるのもあるんですよねぇ…」


私「さっ、最悪~~~~~(爆笑)」


船務長「…前の艦では、裸の女性の人形でした…(笑)女の子なのにかわいそうだから、ってことで、

    服を着せてあげました(笑)」


おいおいおい…「肉」ってのも、小学生レベルでいかがかと思うが、


ちょっと~~~~や~め~て~(笑)


私「ってことは、あの人形を見ると、その艦の品格がわかる、ってことですね?(笑)」


副長「わかりますね(笑)」


よーしよし。


じゃあ、次なんかの護衛艦に乗る機会があったら、


溺者チェックを怠らないようにしておこう(ニヤリ)


でも、


「溺者どこにいますか~?」って聞いたら、


聞かれた人はびっくりするだろうなぁ…(笑)(そんなヤツはおそらくいないだろう…)







そうしたら、副長さんが


「あ、姉さん!今日、めっちゃマニアックな艦が来ていますよ!」(←「姉さん」定着したなぁ…)


と、艦の反対側を指した。


「なんですか???」


KIMG1168.jpg


「これは、武器とかを一切載せていない、調査用の船なんです」


「へ~~~~。それはマニアックですね~」(←あんまり興味ない笑)


変なものでないと反応が薄い私に、


あるものを指差した船務長さん。


「…あ、これなんですけど…」


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「ルールの事を我々は『守則』というんですけど、これは、艦が沈む時の守則なんですが…」


書いてあるのを読んでみると…


1.あわてるな (←いや、無理じゃね?笑)


2.衣服を着用せよ (←そもそも着てるでしょ????笑)


3.救命胴衣を着用せよ (←その状況なら言われなくても…笑)


4.早く艦から遠ざかれ (←無茶言うなぁ…笑)


5.集団を作れ  (←ど、どうやって????笑)


6.無理な泳ぎはするな (←「無理をさせ無理をするなと無理をいい」byサラリーマン川柳)


7.水中爆発及びサメに注意せよ (←爆発はともかく、サメがいたら注意したところで…)


「…これ、ツッコミどころ満載ですね?!(笑)」


船務長「注文が多いですよね(笑)」


副長「注文、多いですよねぇ…(笑)」


いや、離艦守則だから、そりゃあ大事なことで、笑い事じゃないんだけど、


ツッコミどころ満載すぎて、おもしろすぎる…。


ミサイルだの、レアな艦だのより、こんな変なものに反応して喜ぶ私(←ホントに海自ファンなのか?)


そんな私に、副長さんが、


「あっ、ほら、海見てください。ボラがたくさんいますよ~」


と、くる時に渡ってきた場所の下の海を指差した。


見ると、びちびち、ばっしゃばっしゃと、かなり大漁なかんじのボラがいました。


「すっごい!!!…なに!?なんであんなにいっぱいいるの~~~?」


副長「あのあたりにディスポーザーがあって…」


「あ~!!つまり、えさが豊富にあるんですね!!」


副長「そうです」


ほんっとに、釣堀もまっさおなくらい、すっごいたくさんいました。


しばらく目が離せなかったです(笑)


そんで、大体一周して、


士官室の入り口に戻ってきました。


入り口には、神棚があります。


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海上自衛隊の艦艇には、こんなふうに神棚があります。


もちろん、潜水艦にもあります。


副長「『いずも』とか『いせ』とかだと、もちろん出雲大社や伊勢神宮の神様がお祀りしてあるんですけど、

   (そうだよね~)うちのはですね…横須賀とか呉とか転々としてるうちに、どこの神様か

   わからなくなって
しまってですね…最後の解体するって、こういう神棚って『魂抜き』

   してもらうんですけど…」


「あ!!そうですよね!!…どうするんですか????」


副長「…もう、しょうがないから、適当にその辺の神社に頼むしかないです…」


え~~~~っ…なんか、なんか切ないよ~


仕方ないだろうけどさ…。









…っとまぁ、こんな感じで、非常にマニアックなご案内をして頂きました(笑)


私的には、大満足


帰りは、お二人にまたまた駅まで送っていただきました。


帰り道、副長さんが


「いや~、今日は遠いところ、ほんっとにありがとうございました。わざわざお越し頂いたのに、

 おの『お』くらいしかできませんでしたが(笑)」


とちゃんとジェスチャー付きで言ってくれました(笑)


「あははははははいえいえ、もう充分ですよこちらこそ、お休みの時に

 本当にありがとうございました!!」


そして、佐世保駅で、切符を購入し、私は改札を通り抜けましたが、


最後までお二人は見送ってくださいました。


もう、言葉にできないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです


ほんとうに、ステキなお二人でした


自称「おもてなしのはるゆき」というだけのことはありますね~










ふと思ったのが、


片や、最新鋭の最大級の護衛艦「いせ」:艦番号「182」


片や、来年引退を余儀なくされる護衛艦「はるゆき」:艦番号「128」


なんとも対照的なこの2隻の護衛艦と、不思議なご縁頂いたことに、


感謝するばかりです。


私自身は、勝手ながら


「いせ」の方がより深いご縁があるように思っていますが…(勝手に確信[emoji:i-239][emoji:i-189])


また違った種類のご縁を、はるゆきとは感じます。


親しみやすさ?みたいなかんじかなぁ?


はるゆきは、来年3月で引退です。


それまで、「おもてなしのはるゆき」せいいっぱいがんばって欲しいです



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はるゆきくんとの再会~艦内編~

2013年09月19日 | 海上自衛隊
さて、佐世保音楽隊に親しんだのち、


私はふと、思った・・・。


今月は護衛艦と会っていないじゃないか!と…。


やっぱり、これは寂しいよねってことで、


「そうだ!佐世保行こう」と思い立ちました。


ちょうど、「はるゆき」7月体験航海の時の記事が出来上がったので、


記事を掲載している「からっちゅ9月号」をお届けに行こう!


と、いう事で、早速はるゆきの方に連絡


すると、ちょうど、この3連休がはるゆきの一般公開とのこと。


じゃあ、ってことで、佐世保まで行って参りました~





JR伊万里線で伊万里 ⇒
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⇒ 伊万里からMR鉄道で有田
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⇒ 有田からハウステンボス号で佐世保へ
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と、約2時間半の行程…ですが、いろんな列車を乗り継ぐので結構楽しい


ちょっとした旅です


有田での乗り継ぎ待ち時間に、はるゆきの方へ、


1330時到着予定です」と打電(笑)


30分ほどで佐世保駅に到着し、改札を出ますと、


はるゆきの副長さん&船務長さんのイケメンコンビがお迎えに来てくださってました~


とってもありがたいのですが、お休みの日なのに、申し訳ない…


(だけど、いい気分です(笑))


あ、なのでもちろん私服ですよ?さすがに制服お迎えではありません


駅から3人でてくてく歩いて、基地に向かうと、


港が見えてきました。


5月以来、


人生で、ひと夏にこんなに各地の港に行ったことはないというくらい


この夏は港へ行きましたが、


港って、本当に各地各地で様相が違いますね。


田舎の田園風景や、街中の風景はどこも同じですが、


港は表情や雰囲気が本当に違います。


呉と佐世保も全くちがうので、こうなると、やっぱり、


基地めぐりしたいな~とか思ったりするよね


これまでは、ほとんど近づくこと自体なかったのが、港という場所だったのですけどね~。


映画館に行く頻度より、港に行く頻度の方が多くなった2013年の夏…(笑)










ところで、佐世保は海上自衛隊の基地の近くに、


海上保安庁もあり、こちらも巡視船などがたくさん停泊していました。


すると、副長さんが、


「あの船、見えます?扉のところ、塗装がはげているところがありますよね?」


と、指差した方を見ると、


確かに、ところどころ塗装がはげているのが見えました。


「あれ、撃たれた跡ですよ」


「えええ~~~~っ!!!!」


「海保はほんとに大変だと思います。」


「ええ~っ!!そんなにしょっちゅう撃ってくるものなのですか???」


「そうですね。…まぁ、さすがに自衛隊には撃ってきませんが」


…そりゃそうだ、自衛隊に撃っちゃったら、戦争になっちゃうもんねぇ。


だけど、もし、奴等が撃ってきちゃったら…


ダウンロード
(by半澤直樹)

…でお願いします…遠慮せずに、どうぞ叩き潰しちゃって下さい…と、言いたいけど、それができたら、苦労しないよね…本当に…(ノД`)・゜・。










護衛艦が見えてくると、副長さんが


「ちょっと、はるゆきは見えないんですけど~」


と。


そうなんです。見えないんです。


どういう事かというと、


岸壁に「きり型」の何か(←名前ど忘れ…ヲタじゃないので(笑))が停泊しており、


その奥にはるゆきがいたから、見えなかったんですね。


艦艇から艦艇に乗り継いで行くのは今回初めて


そして、これがなかなかコワイ…。


下、海だもん


結構、橋(?)が揺れるし…。(下に網あるし…)


そして、2ヶ月ぶりにはるゆきに乗艦


そこかしこでペンキを塗っていたので、


ペンキの匂いがしていました。


「とりあえず、長旅の後なので、こちらでちょっとゆっくりされてください」


と、士官室に通して頂きました


「いせ」でも士官室には何度かお邪魔させて頂きましたが(←自慢


はるゆきの士官室は初めて~~~


そりゃ、まぁ、「いせ」の士官室と比べると、


確かに狭いし古いですけど、


だからこその面白さも(笑)


なんか、戸棚に「閉」って貼ってある文字のフォントが、


ものすごく古いフォントなのがまたツボで…(笑)


あれって、なんていうフォントなんだろうか。


古さを感じさせるけど、なんかカワイかったなぁ。


TVの下には、テプラでやっぱり「情報収集中」って貼ってあるし(笑)


(遊んでいるわけではありませんよ、っていう意味で貼ってあるのです


…つーか、海自ってテプラ好きよね?!(笑)


うすうす思ってたんだけど。


って聞くと、


「あ、好きですね。たぶん、一番使ってると思います(笑)」


やっぱりね~


副長さんが、


「あ、ちなみに、ここは手術室にもなるんですよ」


と教えてくれました。


えぇぇぇ?!


「えっ?!潜水艦の士官室(つーか、テーブル)は、盲腸くらいの手術ができるって聞きましたが、


 ここもですか?!…だって、ここじゃ、おなか開くのヤバくないですか?!」


「そうなんですけどね、戦闘になるとそんなことは言ってられないですし、そういう時は、

 助かるものから助けろ!って感じになるので。

 ここは、戦争になるともう、ぐっちゃぐっちゃになりますよ」


と、二人が笑いながら仰るのに、ちょっと言葉を失いました。


…そうなんですよね…。


今、目の前でとても楽しい話をしてくれている二人は、


場合によっては、戦いに身を投じなければならない人達だと、


改めて認識しました。


もちろん、このお二人だけでなく、


全ての自衛官がそうなのですが…。


自衛官と個別に話をすると、(私が話した人達しか存じ上げないですが)


当たり前のように、有事の際は戦う覚悟を、


命をかける覚悟をしているんだな…というのをしばしば感じます。


そして、そんな日が来ないことを、願うばかりです。








結構、長々おしゃべりしていましたが、


じゃあ、そろそろ外でも見ましょうか、ということで、


士官室を後にしました。


って、ことで、外に続きます♪





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「海賊と呼ばれた男」~日本人の誇りを取り戻す一冊~

2013年09月13日 | 本の感想
読みたい、読みたいと思っていた名著、


「海賊と呼ばれた男」


をようやく読みました~


kaizoku.jpg


とにかく読み応えがあり、読み終えたあと、


日本人であることの誇りが、沸々と湧き上がってくる一冊です。


ページをめくるたびに涙がこぼれ、


こんなに夢中になって一気に読んでしまった本は、


他にありません。


折りよく、読む直前に、門司港に行っており、


出光美術館に行っていたため、予習もできていたので、


とても、臨場感を持って読むことができました。








出光の創業者、出光佐三が

ダウンロード

モデルになっている話なのですが、


ほぼ実話で、


その内容は、「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだと、


思うほど、彼の凄まじい生涯が綴られています。


まず、こんな男が日本にいたのだということを、


知らなかった自分が日本人として許せなく思う、


彼は、それほどの人物でした。


敗戦後、誰もがGHQの言いなりになり、


国内の石油会社は、強大な力を持つ石油メジャーの軍門に下る中、


ひたすら、日本の国益のために一人戦い続けた、


出光佐三という男については、とてもこのブログでは語りつくせません。


ぜひ、皆さまご自身でご一読されることをオススメします。


また、出光佐三(作中では国岡鐵造)だけでなく、


作者の百田直樹自身が


「驚くべきことに、ここに登場する男たちは実在しました」


と言うほど、凄まじい使命感と強さをもった、高い能力をもった男たちが登場します。


私は、もともと歴史を読むのが大好きで


以前のブログにも書きましたが「私」を捨て、


国を想い、忠義に生きたような人物に惹かれます。


…これまで読んだ、古今東西のあらゆる人物の中において、


出光佐三(国岡鐵造)という男は、筆頭中の筆頭にあがると感じました。


凄まじいまでの、責任感と使命感、そして、意志を貫く強さは、


歴史に名を残す、様々な武将や経営者や政治家達の存在を霞ませてしまう…


それほどまでに、圧倒的でした。


さらに、作者自身の言葉通り、


実在していたということが、信じられないほどの、


見事な男たちが登場します。








いづれ劣らぬインパクトの男達の中で、


私が興味が惹かれた人物の一人に、日田重太郎がいます。


禅僧のような飄々とした感じで、いかにも優秀、有能というわけではない、


ちょっと異色の人物ですが、


彼がいなくて国岡商店(出光石油)は存在しえなかったことを考えると、


非常に重要な人物です。


資産家で、お金に一切執着心がない彼は、


通常の常識や固定観念に囚われない


すがすがしい、しなやかな強さを持っていました。


非常に高い美意識を持っていた彼は、


古美術などに留まらず、人間の生き方としての美しさを本能的に知っているような感じでもあり、


容易には言えないようなことを、さらりと言えるあたり、


人間として計り知れない大きさを感じました。









もう1人、日章丸二世の艦長がとても興味をひきました。

ダウンロード (1)
(石油タンカー)


鐵造が、さすがに断られるのでは、と思っていたほど、


後に、「日章丸事件」と呼ばれる、極めて困難な隠密行動を依頼した時の、


「わかりました、行きましょう」と二つ返事で請け負った彼の気概に敬服しました。


この船長は、第二次世界大戦中、物資の輸送で使用された商船の艦長を務めてきた人物ですが、


戦時中、2度も死にかけています。


当時、輸送で使用された商船は、


当然武器がないため、米軍の格好の餌食になります。


戦略的に、敵の輸送艦を叩いて物資を困窮させることは、当然の作戦ではあるのですが…。


(軍の輸送艦ではない、非武装の民間船を躊躇なく襲うあたりが、

 つくづくアメリカだなと、苦々しく思いますね…。)


ですので、輸送を担った民間船の死者は、40%以上にのぼったのだそうです。


海軍の戦死者が10%台だったことを考えると、


いかに大きな犠牲だったかが分かりますし、


この中を生き残った船乗りは、海軍以上の歴戦の勇者といっても過言ではないでしょう。


そんな一人である、日章丸の艦長の、


命運をかけた隠密航行のくだりは、とても臨場感と緊張感のある


この本のクライマックスシーンといってもいいと思います。


本当の行き先を知っているのは、艦長と航海長だけ。


イギリス海軍に拿捕される恐れがある中、困難な航海を行う様子は、


非常にひきつけられました。


最近、海上自衛隊の護衛艦に関われる機会が増えたお陰で、


多少なりとも船に関する知識が付いてきたことも、引き込まれた要因のひとつだと思います。


ですが、実際の船乗りさんだと、もっと臨場感があって読むことができたのだろうな、


とも思い、この本を読む船乗りさんがうらやましくなったりもしました。


この艦長が、隠密行動だっため、奥様にも行き先を告げずに出港したため、


「あとで怒られるだろうな」と思いながら、


「ああ、妻の怒る顔が見たい」と奥様に思いを馳せる場面が好きです。


このひと言に、どれほど奥様に対する愛情が込められていることか…。


…この作中に登場する、魅力的な人物の中に、


彼ら「比類なき男達」を支える女性たちがいます。


鐵造の前妻と後妻、この艦長の妻は、


深い愛情と芯の強さで、ちょっと(かなり?)無謀ともいえる夫を、


細かいことは何も聞かずに黙って支える、


しなやかと表現するのがそぐわしい、


いづれもステキな女性でした。


やはり、素晴らしい男の側には、素晴らしい女がいるものなのだな、


と納得せずにはいられません。


こういう女性になりたいです…。








本当に、凄まじいまでの熱意で全力で仕事に取り組む男達が、


次々に出てくるのですが、


「仕事」という点で、ここまで熱意を持って取り組む事ができるのか、


という壮絶な場面が、


「タンクさらい」です。


燃料に困窮し、喉から手が出るほど燃料を欲していた、


海軍でさえやらなかったほどの過酷な作業なのですが、


それを、悲壮感ではなく、むしろ笑顔で役員から平社員まで、


一丸となって取り組む場面は、


「仕事のなんたるか」を、身をもって教えられたように感じます。


この作業は、直接的な利益は生み出すに至らなかったのですが、


後々になって、計り知れない効果を生み出します。


「タンク底に帰れ」は今でも、


出光では、困難を乗り切る時の合言葉になっているのだそうです。


通常の会社でも、創業期は大変なものですが、


この会社は戦いの連続で、困難(と敵)が襲い掛かってくる量と質が尋常ではありません。


そして、ただでさえ困難な中、


佐三が社員に明言した言葉の中に、


「出光にいる限り、一生、金で困ると思え。進む道が違うなら出光を去れ」


という言葉があります。


にもかかわらず、数々の極めて優秀な男たちが、


文字通り命をかけて、この会社に骨を埋めました。


「黄金の奴隷たるなかれ」


今なお、出光に語り継がれる社訓です。


人は、黄金のためだけを目的に仕事すると、病んでいく傾向があります。


逆に、やりがいをもって、責任感と信念を持って仕事に取り組むと生き生きします。


本来、人間の善の部分は、真摯に職務や任務に取り組むことを楽しむものだと思います。


お金は、生きていく上で必要な便利な道具です。


ですが、この時代以上に、お金が全てで、


お金が力で、権力になっている現在、


「仕事はなんのためにするのか?」


「自分が生きる目的、意味」


を改めて感じさせさせてくれます。


そしてそれ以上に、


自身が目指す「あるべき姿」を妥協せずに「生きる」という事は、


これほどまでに、覚悟と戦いを強いられるものだということも突きつけられたように思います。


ここまで、会社の利益ではなく、真に国益のために尽力した


出光佐三という男…彼に触れることは、


あなたの中に眠っている、


日本人としての誇りと魂を呼び起こしてくれることでしょう。


日本人なら、ぜひ読んで欲しい名著です。