「歩くZ旗」みね姉のひとりごと ~矜持 国を護るということ~

私たちを護ってくれている自衛隊を、私が護りたい!そんな気持ちで書いてきました。今は、自衛隊との日々の大切な記録です

『空母いぶき』の映画について

2019年06月03日 | 映画の感想
『空母いぶき』第二弾予告映像【30秒】(5月24日 全国ロードショー)



最近、首相役の佐藤浩市氏の発言がネットで炎上しておりますが、ぶっちゃけそんなことよりも、かねがね吠えたかったことを吠えます。


一足早く試写会に行って以来、レビューを書きたくてうずうずしておりました。


なぜなら…期待外れもいいとこ。


不愉快でしかなかったからです。


色々言いたいことがありますが、まずは良いところから褒めましょう(←俳句の夏井先生方式)


戦闘シーンはそれなりに迫力ありましたよ。


特に、潜水艦の戦闘シーンは、最近、メディアでご活躍の、元潜水艦艦長である伊藤元呉総監が監修されているので、


そこはさすがと言うべきでしょう。


秋津艦長役の西島秀俊、新波副長役の佐々木蔵之介、アルバトロス隊の隊長・迫水役の市川隼人の配役は良かったです。


特に、市川隼人は、自衛隊に対するリスペクト、国防に対する熱意が演技を通して伝わってきました。


やはり、こういう映画には、こういう役者さんを使ってほしいものです。


秋津艦長のクールな感じもよかったですね。


原作は無表情ですが、映画は柔和な表情で「何を考えているのかわからない感」がより伝わってきました。


対する副長は…まぁ、佐々木蔵之介だからいい、という感じですが。


作品内の


新波「自衛隊は発足以来1人の戦死者も出していない。」

秋津「誇るべきは自衛隊員に戦死者がいないことではなく、ひとりの一般人も戦争で死者を出していないことだ。」

新波「我々は戦争をする能力は持っているが、絶対戦争はしない。」

秋津「戦わねば守れない平和もある。」



こういうやり取りは良かったです。


自衛隊が抱える矛盾。


平和憲法下での攻撃に対する対応の困難さ。


この辺は「かわぐちかいじ作品」の真骨頂というべきやり取りですね。


様々な制約下で国を守ろうとする秋津、熱い思いで護ろうとする迫水。


基本的に、役者さんには非はなく、皆さん、いい作品にしよう!とがんばられてるんですよね。


だからこそ、余計に許せない気持ちが沸き起こってくるんですが…。








さて、


私個人のこの映画についての評価は


「☆1つ」


圧倒的に「がっかり」「げんなり」の方が多く、何なら軽く「怒り」が込み上げてきたくらいです。


「原作レイプ」という言葉がありますが、この映画はまさにそうだと思いますね。


そもそもですが、人気漫画の実写映画化は、安易にやらない方がいいんです。


これまで多くの実写映画がされてきましたが、成功した作品って数えるほどです。


成功した実写映画化と言える作品は、「20世紀少年」「デスノート」「るろうに剣心」「銀魂」最近では「翔んで埼玉」「キングダム」…


くらいかと、私は思います。


分母に比べて、成功した実写映画はかなり少ないです。


比べて、原作の人気に反して大コケした作品の代表は「進撃の巨人」です。


まともな分析能力があれば、実写化の成功要因と失敗要因は簡単に分かると思いますが…残念ながら「空母いぶき」の制作陣には、


ろくな分析能力がなかったと思わざるを得ません。


実写映画化に絶対に欠かしてはいけない要素があります。


それは、


原作の世界観を守る・原作へのリスペクト・原作ファンの期待を裏切らないことです。


原作無視して、制作陣都合で改悪してしまえば、原作ファンを期待を裏切ることになってしまい、まずヒットしません。


「制作陣都合の改悪」として、最も行っていけないことに、


原作にはない設定を加える事、さらには、原作中には登場しない女性を登場させること。
があります。


この「空母いぶき」の映画には、最悪なことにそのどちらも当てはまっています。


…映画業界も男性主導だからでしょうか。


若い女性が出ていないとつまらい、見に来る人がいないんじゃないか?と安易に考えてキャスティングするんでしょうね。


出演女優に罪はありませんが、本当にこういうのが出てきた瞬間げんなりします。


私が見た時は当然、クローズ上映でかつマスコミ未発表の時点でしたので、この映画に関する何の前情報もなしに見てしまったのですが、


「中国」が「謎の諸島国家」になっていた点、原作にいない女性ジャーナリスト本田翼の存在、謎のコンビニシーンと中井貴一…


この3つに非常にげんなりしました。


「やっちまったなぁ…」


って感じです。


中国を謎の国にした理由は分からないでもないですが、そもそも、この「空母いぶき」という作品は、


中国と戦うからリアリティがあって、そのリアリティが支持されてるわけです。


もうね、ここを変える時点で「空母いぶき」という作品たりえないのですよ。


意味ない。


この時点でもう、別の作品になってしまうんです。


そして、そんなことに気づかない制作陣…。


原作者が何も言わないからいいんじゃないの?という意見もあるでしょうけど…私が原作者なら、それなら映画化やめてくれって言いますね。


作者自身、自分の作品に愛情がないのかな?とすら勘ぐってしまいます。


そして、本田翼・・・・一番いらない。


上司役の斉藤由貴も、いらない。


女性を出さないといけない部分はあるでしょう。


男性しか出てない映画なら、女性差別だなんだと言われかねない昨今です。


それならね?変なオリジナル女性キャラ出すくらいなら、原作同様、女性艦長を一人入れればよかったんじゃないの?!


個人的には、吉田羊なんか、女性艦長役にぴったりだったと思うけどな。


なんで「キングダム」がヒットしているか考えてほしい。


要素の一つとして、余計なオリジナルキャラを加えてない事があります。


(そして、こういう余計なキャラは、たいてい演技の下手な新人だったり若いアイドルとかその類…なんで余計な事するかな…)


長澤まさみの凛々しい美しさに賞賛が集まっているのが答えです。


ここで、凛々しく美しい女性艦長を出していれば、まだしもいい作品になってただろうに…。


演技力のない、若いだけの女の子を意味なく出すのはやめてほしいですね。


しかも、その役柄もほんっとにウザいだけの存在。


何しに乗艦してきたんだ…。



そして、コンビニのシーン…


コンビニ店長に中井貴一が出てきたせいで、いやでも「亡国のイージス」を思い出してしまったのは私だけだろうか?(笑)


そして、このコンビニのシーン自体、必要??????


平和な日常と戦闘シーンの対比を描きたかったんだろうけど、わざとらしすぎて陳腐なシーンになってるだけ。


こういう対比は、かわぐちかいじ先生自身は巧いだけに、非常に残念。


はっきり言って、全く違う作品なんですよ。


「空母いぶき」と一部登場人物の名を借りた、「空母いぶき」を参考して作った二次作品です~って感じ。


それも、なんか「亡国のイージス」の後編?続編?みたいな感じの。


一体、何の作品なんだろうか?って感じです。






あとね、レビューなんかでもちょくちょく書かれてますけど、これ、防衛省は一切協力してません。


エンドロールに名前がなくて、「えっ?」ってなりました。


まぁ、なぜ協力していないか、分からなくもないですが…だからなのか、制作陣に半島の方の名前が散見されたせいか、


この映画の「海上自衛隊」とされる艦艇には、一切自衛艦旗がありません。


日の丸もない、国籍を表す旗は一切掲げられていません。


乗員たちが来ている戦闘服には、自衛艦旗ではなく、一応、日の丸がぬいつけられてますけどね。


ですが艦艇に国籍を表す旗が何もなく、謎の諸島国家と海上自衛隊を模した国籍不明の艦艇かがなんかやってる作品、ということになります。


防衛省が認めていない…のは政治的な面から分からなくもないけど(というか、そもそもそれも変ですが)、


自衛艦旗もないそれで、「海上自衛隊」を名乗って、国防の映画だというのはどうにも納得できません。


さらに嘆かわしいのは、そこに気づく国民も少ないという現実です。


アメリカのこういう映画で、誇らしげに国旗が翻らない映画があるでしょうか?


海上自衛隊が日本を守るために出撃しているというのなら、自衛艦旗がその艦艇に翻るのは当たり前のことなんです。


あの作品はただの国籍不明艦艇…そうさせてしまっている中で、どんなメッセージを込めても希薄でしょう。






さて、最後に…


時々私の知人の中で「かわぐちかいじの思想は、右なのか左なのか?」と疑問を持ちかけられる時がたまにあります。


ご本人とお話したことがないので、作品から感じただけの印象では、「どちらでもない」と思います。


この方は、単に「自虐史観」から抜け出ていないだけの、どちらでもない人かな?というのが、私の印象。


単純に「戦争は人を殺すことだから悪いこと」だと考えていらっしゃるのではないのでしょうか。


だから、彼の作品中では、やたらと「攻撃すると敵兵を殺すことになってしまう…」と苦悶するシーンが出てきますね。


こういうシーンを読むたび、かわぐちかいじ先生は、自衛隊の取材はたくさんさせてもらっているけど、


自衛官たちと、きちんと話をしたことはほとんどないんだろうな、という事が分かります。


私が知る限り、そういう迷いを持った自衛官とは会ったことはありません。


もちろん、自衛隊に実際の戦闘はありませんが、実際の戦闘に際して、そういう迷いは起こるものなのか?と質問をしたことがあります。


答えは


「全くないとは言わないが、ここで自分が攻撃を迷うと、仲間がやられる。

 ひいては、日本を守る戦力が低下する。
 

 そんなことで迷っている暇はない」



というものでした。


これが、実際に日本を護っている人たちの意識なのです。


………まぁ、原作のあり得ない点では、


海自悲願の空母の初代艦長に


空自パイロット出身がなる、


という点が1番かとは思いますが(笑)





いろいろ書きたいことは他にもありますが、話も逸れて長くなりそうなので、この辺にしておきます(笑)


一言で感想を言うなら、原作を好きな人は見ない方がいいんじゃないかな?ということです。


見るなら、別の作品だと思ってみた方がいいでしょう。
















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