日本共産党、民進党、自由党、社民党の野党4党は26日、国会内で国対委員長会談を開き、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐる疑惑の真相解明のために(1)文部科学省の前川喜平前事務次官の証人喚問(2)衆参予算委員会での首相出席の集中審議を求めることを確認し、与党に申し入れました。
日本共産党の穀田恵二国対委員長は会談後、前川氏が「総理のご意向」などと記された内部文書を本物だと証言していることなどをあげ、「総理をめぐる疑惑が増している。証人喚問への対応で、真相解明の立場があるのかないのかが問われる」と強調しました。また、「共謀罪」法案についても「衆参一体で廃案のために力をあわせていく」と述べました。
民進党の山井和則国対委員長は「安倍総理が身の潔白を証明したいなら、証人喚問に賛成してもらいたい」と発言。自由党の玉城デニー国対委員長は「不退転の決意で(真相を)明らかにする」、社民党の照屋寛徳国対委員長は「与党に喚問を拒否する道理はない」と強調しました。
4野党国対委員長会談後、民進党の山井氏は、自民党の竹下亘国対委員長に4野党の要求を伝達。竹下氏は証人喚問には拒否の姿勢を示し、予算委員会の集中審議については、「調整させてほしい」と回答しました。
文書は本物 行政歪める
加計ありき「共通認識」 前川前文科省事務次官が会見
文部科学省の前川喜平・前事務次官は25日、東京都内で記者会見し、安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」による獣医学部新設は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と記した内部文書について、「いずれも本物だ」と同省が作成したことを認めました。また国家戦略特区で加計学園が獣医学部を設置できるよう各府省が「共通認識」ですすめたと証言。「公平公正であるべき行政が歪(ゆが)められた」と述べ、国会の証人喚問に応じる用意があると表明しました。(会見要旨)
前川氏は2016年6月から今年1月まで、文科省の事務方トップの事務次官として、この問題に関与しました。
赤旗紙が独自に入手し、日本共産党の小池晃書記局長が国会審議で示した「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」などとする8枚の内部文書については、「文科省の高等教育局専門教育課から、次官室で報告、相談をうけた際に受け取った文書に間違いない」と明言。「あったものをなかったものとすることはできない」と語りました。
内閣府が文科省に、国家戦略特区で18年4月の獣医学部開学を求めたことは、加計学園ありきが「暗黙の共通理解」だったと説明。「内閣府も文科省も、(愛媛県)今治市で設置しようとしている加計学園の獣医学部だという共通認識のもと仕事をしていた」と述べました。
安倍首相が議長の国家戦略特区諮問会議は、獣医師が不足するかどうかの需要を判断しないまま、獣医学部新設を認定しました。前川氏は、獣医学部新設に必要な人材需要について、所管する農林水産省と厚生労働省が「見通しを示さなかった」と強調。「薄弱な根拠で規制緩和し、公平公正であるべき行政が歪められた」「(各府省が)政権中枢の要請に逆らえない状況がある」と指摘しました。
一連の文書を菅義偉官房長官は、「怪文書」と否定。山本幸三地方創生担当相は「今治市ありき、加計学園ありきではない」と国会で答弁しており、政府による虚偽の説明だった疑いも強まりました。