、公的年金基金と日銀は大量の国内株式を買い入れています。年金基金と日銀が保有する株式は3月末時点、時価ベースで50兆円を超え、過去最高を更新しました。東証1部上場企業の3割以上で「公的マネー」が筆頭株主となる異常事態です。赤旗紙の調べでわかりました。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7月7日に公表した2016年度の業務概況書から計算すると、GPIFが保有する国内上場株式の時価総額は34兆5900億円に達しました。
また、日銀は「異次元の金融緩和」の一環として、株価指数連動型上場投資信託(ETF)を年間6兆円のペースで買い入れています。株式で構成されるETFを買い入れることによって日銀は間接的に株を保有しています。日銀が保有するETFの時価総額は3月末時点で約15兆7000億円。GPIF分と合わせると50兆円を超えます。14年3月末時点から2倍以上に増えました。
17年3月末時点で国内株式の時価総額は580兆8000億円。公的マネーが占める比率は8・7%となります。3年前の5・5%から急上昇しました。
日銀は、保有するETFの内訳を公表していませんが、ETFに含まれる株式銘柄の構成比などから、銘柄別保有株数を推計できます。GPIFの公表分と合わせると、各企業に投入された公的マネーはトヨタ自動車1兆5308億円、三菱UFJフィナンシャルグループ1兆75億円、ソフトバンク・グループ9968億円などと巨額にのぼります。
東証1部上場企業約2000社(3月末時点)のうち自社株を除いて公的マネーが筆頭株主になっている企業はトヨタや三菱UFJを含め618社。公的マネーが2割前後を占める企業もあります。
公的マネーが株式市場の1割近くを占め、“官製相場”をつくり上げている状況には市場関係者からも批判が上がっています。