特に韓国の場合、儒教の影響もあり、昔から「中華思想」の下で中国が1番で韓国が2番、日本はその下の3番という序列意識がある。そのうえ、古代にあっては日本にさまざまな文化を「教えてやった」という自負もある。ところが近代に入って国力をつけた日本が韓国をリスペクトしなくなった。それどころか植民地にして、ひどい扱いをした。弟分のくせに生意気だ「許せない」と、こうなるのである。同じ日本の植民地となりながら友好的な台湾とは全く違う思考回路を持っている。それが韓国である。
今回の日韓関係悪化の発端は、2018年の「徴用工問題」をめぐる韓国最高裁の判決にある。判決は、1965年の日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないとして、日本企業に損害賠償を払えと命じた。
この判決を聞いた私は次の日の授業で、「韓国の最高裁は国際法を知らないのか」と生徒に話した。日韓請求権協定とは、日本が韓国政府に対して無償3億ドル、有償2億ドルを供与することなどで、両国及びその国民の間の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」とする文書である。当然、この請求権の中には日本の徴用工への補償も含まれるし、これまで韓国政府もそのように理解していた。それにもかかわらず、韓国最高裁はそれを無視する判決を下した。
なぜ、今になって蒸し返すのか?実は、この背景には韓国の国内事情がある。
一つは、民政への移行である。日韓請求権協定が結ばれたときは軍事独裁政権の朴正煕大統領時代だった。ところが、1990年代に民政に移行して市民が強くなった。しかも、韓国政府は教科書を通じて「反日教育」を煽ってきた。被害者意識を煽ることによりナショナリズムが高まり、政権の求心力が増す。慰安婦問題が蒸し返されてきたのも1990年代以降である。
民主主義である限り世論は無視できない。政権が世論を尊重するのは当然である。ところが、韓国の場合、最高裁の上に「世論」が位置するというから穏やかではない。最高裁も世論を無視した判決は出せないお国柄だというのである。その世論を政府は学校教育を通じて「反日」に仕向けて行く。
韓国という国は、大統領が失脚したとたんに裁判にかけられ死刑判決が下されるお国柄である。文在寅(ムンジェイン)大統領にやましいところがあるかどうかは知らないが、権力者は一般に、自らの政権を維持するためには何でもする。文大統領が、自らの支持を高めるために、国際法を無視した韓国最高裁判決を支持し、反日を煽ったとしても不思議ではない。
そもそも、文大統領は最高裁判決に対してどう対処すべきであったのか。三権分立の建前上、最高裁判決を覆すことはできない。しかし、最高裁判決を受けて、「日本企業に対する損害賠償は、すでに日韓請求権協定で日本側から受け取っている。だから、韓国政府が日本企業に代わって支払う」と政治的決着をはかればよかったのである。
しかし、これでは文政権はもたない。過去に行なってきた反日教育のために、国民から「弱腰外交」とののしられ、政権の座から引きずり降ろされるのは間違いない。
日本と対立し、アメリカから見放され、頼みの北朝鮮からも相手にされなくなった文政権。まさに八方ふさがりの状況に追い込まれてしまった。日韓米関係がぎくしゃくする中で、中国やロシアがほくそ笑んでいる。
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