南英世の 「くろねこ日記」

西粟倉村へ取材旅行


いま、地方の人口減少が止まらない。そんな中で、都会から田舎へ飛び込んで新しい事業に挑戦し地方再生を目指す人々がいる。そんな人々を取材するために、岡山県、鳥取県に飛んだ。まずは、岡山県の北東部に家具作りを展開する「ようび」の大島正幸・奈緒子夫妻。「ようび」とは「用美」のことだという。http://youbi.me/

奈緒子さんは三国丘高校第53回卒で、私の教え子でもある。



彼らは9年前にここ岡山県英田郡西粟倉村に移り住んで、家具作りを始めた。村の大半を森林が占め、そこから切り出されるヒノキを使って家具を作る。ヒノキは神聖な木であり、また材質が柔らかいため、家具には向かないとされてきた。そこを新しい技術で乗り越えて家具として完成させたため、評価は非常に高い。夫正幸さんは海外からも注目されている職人である。




また、パン工房を営む渡邉格(いたる)さんも面白い。東京都出身で千葉大学農学部卒。31歳で突如、田舎のパン屋になることを決意し、2011年、奥さんの麻里子さんと一緒に岡山県真庭市に移住。パン工房「タルマーリー」を開く。現在は鳥取県八頭郡智頭町に拠点を構えて店を営む。



渡邉さんのパンは天然麹菌を使って作る世界でここでしか食べられないという一品だ。遠く、海外からもこのパンを食べるためにこの片田舎にやってくる。値段はもちろん通常の数倍。でも、客は来る。

https://www.talmary.com/

1週間のうち3日は休み、年に1か月は長期休暇を取る。店の経営理念は、利潤を出さないことだという。利潤獲得に振り回されないためだ。渡邉さんはその著『田舎のパン屋が見つけた腐る経済』(講談社)の中で次のように書いている。

「田舎はユルい場所でもなければ、のんびり暮らすための場所でもない。もちろん都会から逃げ込むための場所でもない。田舎には都会の理不尽さはないけれど、その分、便利さもない。生活を成り立たせるための条件は都会よりも厳しい。」


一方、あわくら温泉元湯を営む井筒さんも外からやってきた人の一人だ。

http://motoyu.asia/about

彼は、西粟倉でとれた間伐材を使って、専用のボイラーでお湯を沸かす。年間で使う材木は90トンほどだという。特別にボイラー室を見せてもらった。




3人に共通するのは、地元でとれたものを使って経済を回し、地方を活性化させることである。地方には都会にはない「資源」が豊富にある。こうした取り組みがどこまで成功するか。彼らの挑戦を心から応援したい。


せっかく鳥取まで来たのだからというので、もう少し足を延ばして出雲まで行く。以前から出雲大社を一度見たかったからだ。その夜はぶらりと玉造温泉に投宿。いいお風呂だった。


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