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南英世の 「くろねこ日記」

資産運用あれこれ

 資産運用で大切なことは一獲千金を狙わないことである。様々な投資対象について簡単にまとめてみた。

 

①外国為替投資・FX

 長期的な為替レートは2国間の相対的な物価水準で決まるといわれる。しかし、短期的には様々な要因よってレートが変動するので予測は難しい。個人的にはFXは絶対にやらない。資産分散のために外貨を持っておくのは「あり」かもしれない。

②金

 金価格も予測が難しい商品の一つである。そもそも、妥当な金価格がいくらかということは誰にもわからない。おまけに金市場は非常に小さいため、わずかな資金移動で価格が乱高下する。しかし、いついかなる時代にも一定の価値を持つという意味で、資産分散のために金を保有しておくのも悪くはない。

 

③暗号資産

 代表的なものとしてビットコインがある。しかし、価格変動があまりにも大きすぎる。2021年4月から5月に1BTC=700万円台から300万円台まで半減したことがある。本質的な価値が計算できないから予測は不可能である。丁半ばくちに近い。

④不動産投資

 不動産の価値は理論的に計算できる。建物を貸して家賃収入を得れば、債券や預金よりも高い3~4%程度の利回りを得ることができる。価格変動もゆったりしているので、株式投資のように一喜一憂する必要もない。借金をしてまでやるべきではないが、資金的に余裕があれば長期的な運用としては悪くない。個人的にはいい物件を安い時期に仕入れれば、株式投資よりははるかに安全で確実に利益を上げることができると感じている。

私が株式投資から都心のマンション投資にシフトしたのは2013年だった。高齢者が郊外の戸建て住宅を売り都心に回帰するだろうと予測したことに加えて、アベノミクスが始まり金融緩和によってバブルが起きると予測したからである。読みは当たった。しかし、相場はもう過熱しているというべきかもしれない。下のグラフから戸建て住宅が一貫して値下がりしていることも読み取れる。

(資料の作成は竹中正治龍谷大学教授による)

 

 

 

⑤銀行預金

 バブル崩壊(1991年)まではかなりの金利が期待できた。しかし、現在の預金金利は年0.002%程度とめちゃくちゃ低い。100万円を10年間預けたとしても、返ってくる利息は200円。しかも、そこから20.315%が源泉課税される。

 

⑥債券

 債券は国や地方公共団体、企業が資金調達を目的として発行される。国債・地方債・社債などがある。満期まで持てば必ず元本が戻ってくる。ただし、たとえば現在の10年物国債の利回りは、マイナス0.2%からプラス0.2%。超低金利で収益面の魅力はまったくない。

⑦投資信託

 投資信託は、投資家から集めたお金を、運用会社のファンドマネジャーなどがまとめて株式や債券などに投資するものである。最近は「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などの非課税制度を利用する個人も増えている。しかし、①手数料が高い、②元本割れのリスクがあるということも知っておく必要がある。

 手数料については、購入時に3~4%の販売手数料がかかるほか、持っている時は信託報酬、解約する時には信託財産留保額がかかる。しかも、市場環境が悪ければ元本割れすることもある。

一般的に投資信託を購入する人は、プロが運用するから「確実」に値上がりするだろうと思って資金を預ける。しかし、この考え方は間違いである。投資信託の基本的な運用方針は、市場を上回るパフォーマンスをあげることである。したがって、たとえば「TOPIXは30%下がりましたが、こちらのファンドは20%しか下がりませんでした」となれば、投資信託の運用者としては立派な成績を残したことになる。預けた側としては「え、20%も下がったんでしょ?」と言いたくなるが、それは投資信託に対する理解不足というものである。

⑧株式

 株式投資は一番ポピュラーな資産運用方法である。一般的に株を買う人は短期売買を繰り返す人が多い。しかし、短期的な株式投資で利益を上げている人は1割程度、2割の人がトントン、あとの7割は損をしているといわれる。私も50年間株式投資をしてきたが、しっかりと7割の仲間である。

 短期売買は儲からない。投資のプロの「情報量」と「分析力」に勝てるはずがない。情報は事前に漏れていると考えるべきであり、情報が表に出たころに買い出動してもすでに遅い。そのうえ最近の売買はコンピューターによる高速売買で、AIを使えば1秒間に1000回とか2000回の取引をして負けなしの成績を残す。株式投資とは一部のプロ集団が素人から合法的にお金を巻き上げるシステムであるくらいに思っておいたほうがよい。(注)AIのすごさは、例えば囲碁でいうと1秒間に数万局の対局をし、1兆局もの猛勉強をすることにあらわれている。

 しかし、株式投資にはもう一つの方法がある。配当を目的に長期保有するのである。こちらのほうが株式投資の王道である。長期的には平均5%前後の利回りが期待できるとされる。ちなみにピケティによれば、資本収益率(r)と経済成長率(g)の間には次の不等式が成り立つという。

  r>g

 すなわち、資産 (資本) によって得られる富は、労働によって得られる富よりも大きい(露骨い言えば、働いて稼ぐよりも金に稼がせた方がもうかるということである)。個別に見れば株価が半値になったり3分の1になったりするから、市場連動型のETFを株価が下がった時に購入しておくのも一つの手かもしれない。

 また、銘柄を選べば株価が比較的安定していて、しかも利回りが4%程度のものも散見される。600万円を投資すれば、年間24万円(1か月2万円)の配当を得ることができる。年金生活者としては月2万円は大きい。もちろん実際にはここから20.315%の税金がとられるが、銀行に預けておくよりははるかにお得である。
 株式投資は資本主義の果実にあずかる代表的運用方法である。かつての銀行預金に替わる分散投資の一つとして、今ひそかに狙っている株がある。次に「ガラッ」が来たら仕込んでみたい。

(出典 野村総合研究所 竹端克利氏に加筆)

 

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 資源問題、紛争リスク(さしあたりはウクライナ問題)、パンデミック、財政赤字など、今の時代は何が起きるかわからない。だから、自分の性格に合ったものに分散投資をしておくのが基本であろう。

 

 

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