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南英世の 「くろねこ日記」

地球寒冷化論

 
 1960年代から80年代は寒冷化論が流行っていた。ところが1988年にジェームズ・ハンセンという人が地球温暖化ということを言い出し、これに原発推進派が便乗し、温暖化・温暖化の大合唱となった。
 
 だいたい恐竜が生息していた中生代白亜紀(1億4500万年~6500万年前)の地球は今よりずっと温暖で、局地でも氷床が発達しないほどだった。おそらく火山活動が活発で当時の二酸化炭素濃度が高かったためではないか。人間が何をしようがするまいが、放っておいても地球の気温や気候というのは変動するものなのである。

 東京工業大学の丸山茂徳によれば、気温を決める最大の要因は雲であるという。雲が1パーセント増えれば気温は1度C下がるという。その雲の量を決めているのは宇宙線の飛来量で、それに干渉しているのは太陽の活動と地球の磁場だという。この二つは現在、ともに弱くなっており、従って地球はこれから寒冷化に向かうと丸山は主張している。

『ほんとうの環境問題』(養老猛司 池田清彦 新潮社 2008年)という本がある。マスコミは地球が温暖化し氷河が溶けているとか、ホッキョクグマが絶滅するとか、マラリアが北上するとか、温暖化のマイナス面ばかりを報道するがプラス面だってある。たとえば、カナダなんかは温暖化によって穀物の収穫高が増加し、喜ぶのではないか。地球の気温が3度や4度上昇したってたいした問題は起きない。生物にとって一番怖いのは寒冷化である。新生代に入って大型生物の大絶滅が起きたが、原因は急激な寒冷化による。

とまあ、こんな調子で現在の世間の常識に正面切って疑問をぶつける。そして、あとがきで、「新潮社もこんな本を出して、どういうつもりなんだろうなあ」と、とぼけてみせる。しかし、これは大まじめな本といってよい。

 もちろん、地球は寒冷化に向かっていると主張する学者は少数派である。しかし、温暖化を主張する人々にもいろいろいる。たとえば、東北大学の元学長である西沢潤一は、地球温暖化によって海にとけ込んでいる膨大な二酸化炭素がまるでビールの栓を抜いたときにできる泡のように大気中に放出され、人類はあと80年で窒息死すると警告している。

 学問には流行がある。今世界をあげて地球温暖化の大合唱がおこっているが、一つのカラーに染め抜かれた報道ばかりがなされている点では、第二次世界大戦前の日本のマスコミ状況に似ているのかもしれないとふと思う。いろんな意見が出されることはいいことである。今の報道が流行に流されすぎている可能性があることも忘れてはいけない。
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