民主主義は簡単には割り切れない。たとえば、民主主義とは多数決だから少数者も従えという考え方がある。その一方で多数派に抑圧されないように少数者の意見も尊重しなければならないとする考え方もある。いみじくもトックビルが看破したように、民主主義には多数者による少数者の諸権利の剥奪という事態を招来する可能性がある(多数者の専制)。 また、現代の民主主義にはいくつかの危機があるとも主張する。そのうちの一つはポピュリズムの台頭でありイギリスのEU離脱、トランプの当選などはその例である。その背景にはグローバルから取り残された人々の不満があった。 グローバル化によって得をしたのは発展途上国、先進国の富裕層であり、先進国の中間層は取り残された。彼らはそこを上手に掬い取った。 そのほかにも独裁的指導者の増加という危機が指摘されている。プーチン、習近平、金正恩、ドゥテルテ(フィリピン)、エルドアンン(トルコ)といった人物である。