minaの官能世界

今までのことは、なかったことにして。これから考えていきます。

蒼い星の伝説 第3章 その3

2005年03月21日 | 官能小説「蒼い星の伝説」
ケンはどうやら会社に間に合った。イリヤもぎりぎりで遅刻せずにすんだ。全くエクスプレスラインは速い。ただし、2千万エクスもエネルギーを使ってしまった。2億エクスもあれば、半年は楽に生活できることを考えると勿体なかった気もするが、まだ、4千万エクスも残っているのだから、よしとしなければならない。そんなことより、彼の突然の変化の方が気になる。どうして、あんなに大量のエネルギーを放出できたのか、イリヤは考え込んでしまった。
イリヤは、会社の自分のディスクでそんなことを考えていたから、仕事が全くはかどらなかった。集中もしていなかったし、気もどこか緩んでいたのだろう。ぴっぴっぴっという、体内エネルギー切れの警報がなったのに気付かなかった。気付いたのは、肩をポンと課長に叩かれてからだ。
「イリヤ君、エネルギーが切れかけてるよ。だめじゃないか、早目に僕に言ってくれなくちゃ。そう言えば、しばらく、してなかったね。」
「えっ?」
イリヤは、正直言って何のことだか、しばらく理解できなかった。今朝、充分過ぎるほどのエネルギーを得たばかりだった。だが、すぐに事情が判明した。うっかりと電子機器のモードを充電モードにしていたため、せっかくのエネルギーが全部、電子機器に吸い取られてしまったのだ。
「さあ、充電してあげよう。」
課長はうれしさを隠さず、イリヤに迫った。課長はイリヤにぞっこんなのだ。仕事にかこつけてセックスできるのは、役得に違いない。見れば、課長のペニスはビンビンに勃起している。もちろん、イリヤに拒否権はない。それどころか、お礼のひとつも言わねばならないのだ。イリヤは、のろのろと立ち上がって、尻を課長の方に差し出した。
「切れてしまう前に、声をかけてくださってありがとうございます。」
「うん、僕はかわいい部下のことをいつも気にかけているからね。」
課長は遠慮なく、イリヤの尻を両手で抱えた。入口にペニスを擦り付けてくる。やがて、深々と中に押し入ってきた。
「いい感じだ。君は締まりがいいからね。」
せわしなくピストン運動を続けながら、課長は言った。仕事中の同僚もたくさんいる職場の中で後ろから貫かれるのは、いつものこととは言え、馴染めない。会社は、仕事中の者の気が散るということで、各職場にセックスルームを設けているのだが、この課長はそれを利用しない。効率化を理由に、その場でセックスをするのだ。特にイリヤは長い間、課長を拒絶していたから容赦なかった。一度、セックスされてしまうと、もう止めようがなかった。快感も何もなかった。ほかの女性社員も月に一度位は、こうして尻を差し出さないと勤務評定が悪くなってしまうから、特定の彼がいたとしても、厭々、応じていた。イリヤの勤めている会社は大手食品会社であり、中小の企業と比べれば、よほど男性職員数が多く、学生時代の友人からは羨ましがられるが、それでも男性職員は女性職員の十分の一でしかない。その中では贅沢は言ってられないのだ。同僚の中で相手を獲得するためには、熾烈な競争に打ち勝たねばならない。そうして得た男もいつ奪われるか判らないのだ。全くひどい時代になったものだ。エネルギー問題の改善と男性不足の解消に、政府は一夫多妻制を法制化しようとしているらしい。今のカップル制だって、従来の婚姻制度ではセックスが停滞し、性エネルギーが確保できないという理由で生まれた制度だ。男女の数のアンバランスの問題のほかにも、性欲の減退は社会問題になっていて、出生率の極端な低下や未婚者の急増は憂慮すべき事態となっていた。全国民統一の全裸に近いセックスウェアも省資源の目的よりは、性欲の高揚を狙ったものだった。なかには、このエロ課長のように、性欲を保ち続けている者もいる。だが、いまやそのような者はごく少数になっていた。彼はその希少価値から、大した能力もないのに課長にまで昇進しているのだ。しかし、強制や義務でのセックスはどこまで可能なのだろうか。
 うっ、といううめき声をあげ、ようやく課長が射精した。なかなかイリヤの中から抜こうとせず、余韻を楽しんでいる。イリヤは自分から身体を動かして、課長のものを抜いた。
「ありがとうございました。」
イリヤは事務的にお礼を言い、座席の計測棒をさっさと体内に収めてしまった。
 「こっちのほうが数倍いいわ。」
イリヤは胸のうちで悪態をつきながら、モニターの数字をみた。
「えっ・・・」
イリヤは息を呑んだ。課長は回数をこなすだけが取り柄のCクラスの下のはず。せいぜい7~8百万エクス。それが2千万エクスを超えているのだ。どうしたというのだ。課長も意外な数字に言葉を失っている。
 今朝、ケンとセックスしてからおかしくなった。どういう訳なんだろう。そのことが気になって、仕事が手につかなくなった彼女は会社を早退した。
自分の部屋に入ると、既にケンが戻っていた。登録したカップルは同棲し、セックスすることが義務づけられているのだ。
「どうしたんだ。早いね。」
「どうしたの。こんなに早く。」
二人は同時に同じことを言い、それに気付いて苦笑した。
「あなたから先に言って。」
 ケンは彼女の求めに応じ、話しだした。
「今朝は、エクスプレスのおかげで、やっと間に合ったんだ。配属された課に行くと女性課長だった。」
 「まあ、めずらしいわね。」
 性エネルギー法ができて以来、男性の地位は女性からみると不当とも思える位、優位なものになっていた。企業や公官庁の主要な地位はほとんど男性に占められ、女性は次々に排他されていった。それというのも、絶大な権力を持つに至った性エネルギー局が少数の男性により牛耳られていたからである。そうでなければ、圧倒的に少ない男性が全体の主導権をとることはできなかっただろう。
「彼女はBクラスのそれも上級なんだ。」
イリヤは厭な予感がした。
「彼女の下に配属された新人は全員、彼女の試験を受けなければならないきまりなんだそうだ。それで、僕は課長室で彼女から面接を受けることになった。」
「何をされたの。」
「いや、セックスをさせられただけさ。」
イリヤは、頭に血が上った。むちろん、勤め先で上司や同僚とセックスをするのは、今や常識となっていた。エネルギー法で明確にその義務がうたわれているのだ。しかし、わたしというものがありながら、とイリヤは思い、再び、その感情を持て余していた。そうなのだ、なぜ、こんなことでわたしが動揺しなければならないのか。彼は、わたしとカップル契約を結んだ。その意味で彼はわたしのものだ。しかし、それはわたしが彼と常にセックスする権利があるというだけのことで、彼が誰とセックスしようとそれをとやかく言うことはできない。それは、彼にとってもそうで、わたしが誰とセックスしようと自由なのだ。
「でも、許せないわ。」
イリヤは口に出して言った。
 「えっ?」
ケンは、びっくりしたように言った。
「判っているけど、なぜだか、とても腹がたつの。」
イリヤはケンににじり寄って言った。
 「どうしたんだい。こんなこと、よくあることじゃないか。」
「そうよ。判っているわ。でも、あなたに対してだけ、感情が違うの。」
イリヤはケンの唇にむしゃぶりついた。
 「どうしても、わたしのものだけでいて欲しいの。ねえ、その女課長って、わたしよりきれいなの? わたしよりセックスがよかったの? わたしより感じた?」
イリヤはだだをこねるようにケンに迫り、ベットに追い詰めた。そして、ベットに押し倒すと、ケンの上に覆い被さった。
「判ったよ。判ったから、話もきいてくれよ。」
イリヤはケンのものを愛撫している。ケンのものは充分、可能になっていた。
「いいわ、セックスしながらなら、きいてあげる。」
イリヤは騎乗体位で繋がった。
「ああっ。いいわ。こうしてないと、安心できないの。」
イリヤは、ケンのものを深々と咥え、何度もその感触を確かめる様に身体を上下させ、ぎゅっと締上げた。
「さあ、何があったか、話して。」
「う、うん。まず、課長室に通されて、クラスなんかを確認された。Cクラスということで、期待してるって言われた。その後で、実際にセックスしたんだけど、彼女の中に入れた途端、彼女があーっとか叫んで・・・。ねえ、きいてる?」
「ええ、もちろん。少し感じてきただけだから。」
「それから、すこし出し入れをしただけなのに、彼女は失神してしまったんだ。」
「失神・・・。」
「だから、感じすぎて気を失ってしまったんだよ。」
「うーん。」
イリヤは、持て余している感情を振り切るかのように、激しく腰を打ち振った。その感情の昂ぶりのせいか、イリヤはいつになく簡単に絶頂に近づいていた。イリヤは自分だけでなく、ケンにも一緒にアクメを感じて欲しかった。
「ねっ。一緒にいって。わたしの中に出してっ。そしたら、許してあげる。」
「その後も大変だったのに・・・。」
「それはイった後できいてあげるから、もっと、強くっ・・・・」
イリヤの腰のグラインドはさらに激しくなった。ケンも話は諦めて、セックスに没頭することにした・・・。

「その女課長が目覚めてからが大変だったんだ。もちろん、僕は彼女が失神している間、必死で介抱したよ。ベットに横にして、頭を濡れタオルで冷やしたりしたんだ。十分くらいして、やっと気が付いてくれて、それから、計測したんだ。」
ベットでケンに寄り添ってセックスの余韻に浸っていたイリヤは、話題が計測のことになったので、少し動揺した。
「彼女の思い違いに違いないんだ。僕とのセックス前と比べると1億エクスも増えてる、なんて言うんだ。そんなはずはないよね。」
「・・・。」
「ねっ、おかしいだろう。それで、もう一度してほしいと言うから、断って帰ってきたんだ。」
「ねえ、ちょっと来て。」
イリヤはモニターの前にケンを連れて行った。そして、彼女はモニター前の座面に生えている2本の計測棒を体内に挿入した。直ちに、彼女の体内に蓄積された性エネルギーがカウントされ始めた。数字はどんどん跳ね上がっていく。
「5億6千万エクス・・・。」
「すごいわ・・・。」
「こんな数字はAクラスでも無理だ。」
「あなたが、会社で出した数字は、間違いでもなんでもなかったのよ。あなたの実力なのよ。すごいわ。もう、それだけで、濡れてきちゃうわ。」
イリヤはケンの腕にしがみついて、そう言った。
「でも、この数字は、それだけじゃ説明がつかないよ。会社ではこんなにもいかなかったんだ。」
「そう言えば・・・。」
イリヤは、うっかりしてせっかくケンに貰ったエネルギーを吸い取られてしまったこと、そのせいで、エロ課長に充電してもらわねばならなくなったことをケンに話した。
ケンは黙って聞いていたが、ポツリと言った。
「君が許せないと言った気持ちが判ったよ。僕も君が会社で他の男とセックスしたのを聞いて、胸が苦しくなった。こんなことは今までなかったのにね。」
「あなたもそうなのね。なんだか、うれしいわ。」
「でも、あしたからどうしよう。」
「どうしようって・・・。」
「勤めのことさ。」
「なんだ。大丈夫よ。これだけの性エネルギーを生み出せるのよ。憧れのAクラス以上なのだから、勤めになんて行く必要ないわ。」
イシス星では、性エネルギーで全てのものが賄えるシステムが確立していた。いわゆる性エネルギー本位制である。全ての価値が性エネルギーを基準に成立していた。1億エクスあれば、贅沢に1ヶ月生活できた。したがって、1回のセックスで5億エクスも生み出せるなら、生活に困ることはないのだ。実際、Aクラスの人間は、1回に5千万エクスを生み出せることから民間企業には勤めていなかった。
「それに、わたし、来月から妊娠可能月なの。二人で休暇を取りましょう。」
イシス星人の受胎期は一年のうち1ヶ月だけで、地球人の様に毎月あるわけではない。それこそが、イシス星人の生殖能力の弱点であった。地球人と比較して、妊娠機会の少なさは明白である。出生率の極端な低下を憂慮したイシス星政府は、妊娠可能月の休暇を無条件で認めていた。政府は出産前後の支援福祉制度を充実させ、人口維持に躍起となっているが、事態は全く好転していなかった。
受胎休暇の場合、政府から専用の施設が無料で貸与される。イリヤはそれを利用するつもりだった。利用条件は1日3回以上セックスをすることと検診を毎日受けることだけだ。条件を満たすことができなかった場合は、ペナルティとして高額の規定料金を支払わねばならない。それほど、政府は出生率の向上に躍起となっていたのだ。
勿論、彼らの科学力をもってすれば、人工授精も可能だろうが、彼らには生命に関して非常に根強い宗教観と倫理観があり、例え、イシス星が滅びるような事態になろうとも、それを許していなかったのだ。
したがって、妊娠はあくまでも自然のセックスにおいてのみ許されていた。だからこそ、手厚い保護政策がとられていたのだ。幸運にも妊娠できた場合は、さらに出産後6ヶ月まで、施設に留まることができる。全ての費用は政府持ちであった。
「こんな気持ちになったのは初めてだし、どうしてだか判らないんだけれど・・・」
 「どうしたんだい。」
「あなたの子供を生みたいの・・・」
(続く)

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