昨晩の記事を文書化しながら“そうなのかな?”と思っていたのだが、
実際に目の前の現実を突きつけられると腹立たしさがわいてきた。
2009年5月17日。
世界中がこれだけ大騒ぎして対策に苦慮している、
新型インフルエンザ(2009/a/h1n1) が、
国内において野放しにされていた事実が明らかになった。
言いようない失望感を感じている。
その中で何よりも驚いた記事が(一例ではあるが)、
生徒9人の新型インフルエンザの感染が確認された大阪府内の私立高校では、
5月に入ってからの16日間にインフルエンザや発熱で欠席した生徒が、
併設の中学を含め計143人だったと発表。
欠席した143人のうち、
高校生が91人で中学生は52人。
(MSN産経ニュース:記事転載)
水際対策でゴールデンウィークを返上して毎日毎夜苦労された方々。
感染者が確認されたためにホテルでの隔離措置を受け入れた47名の方々。
その一方で新型ウィルスが関西の広範囲で野放しになっていた事実。
腹を立てるなと言う方が無理だと感じる。
必ずしも個人に責任を求めるわけではないし、
初めての事態であることから、
<個人攻撃は決してすべきではない。>
メキシコ(発生地)でも当初は、
季節性インフルエンザと見られていたことが発覚を遅らせた。
当地(関西)の関係機関も水際対策を信じすぎた挙句に、
一部報道機関が報じた、
5月の時点で20万人近くの季節性インフルエンザ感染者が、
国内に存在するとの情報も対処の遅れの原因となったのだろう。
おそらく、
対象地域の多くの人々が新型ではないかとの疑念を抱いただろう。
(罹患者、罹患家族、学校関係者、対応に当たった医師。)
情報過多と心の油断から生じた決断の誤り。
しかし新型インフルエンザの潜伏期間内(水際対策の限界)に、
国内への侵入が広く指摘されていたにもかかわらず、
学校、教育機関、自治体と組織として発熱者の存在に気付きながらも、
すくなくとも10日間近くなんの疑いを持たずに放置し、
毎日の業務を過ごしていたのかと思うと閉口するしかない。
危機感のない毎日と使命感不在の社会。
日本が世界に対しての信用を失墜したような気がしてならない。
この問題は同時に国家の問題としてとらえるべきだろう。
国立感染症研究所の田代眞人センター長は、
「感染が数百人に上っている可能性もある」として、
今後WHOが新型インフルエンザに対する警戒レベルを最高度の、
「フェーズ6」に引き上げる根拠ともなりうるとの認識を示した。
(NHKニュース:記事転載)
関西発の感染爆発(パンデミック)。
世界中が注目している。
決して避けなければならない。
それでも弱毒性だから大事(おおごと)にする必要がないとの意見は、
国際協調に背をむける発言だろう。
おそらく厚生労働省の内部は現在パニック状態だろう。
政府は関西地域に対し<非常事態>を宣言し、
速やかに<感染拡大期>に入ったことを明言し、
H5N1と同等の対策を少なくとも3日間は実行すべきである。
感染者の実数を把握をするためには地域隔離の必要性を感じる。
ただし国民について弱毒性でもあり大きな不安を持つ必要も無いし、
関西で感染の爆発が見られるからと言って、
東北で即座にマスクをする必要も無い。
国が示す行動計画に基づいて冷静に行動すれば必ず夏までに沈静化する。
この問題は、今夜改めて記事にしたいと思う。
~2009年5月17日午後2時記載。
<関連記事>
*関西発:新型(A/H1N1)インフルエンザ・パンデミック (その2)。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/86ac508be5275d02b3db1f09f603bca8
*新型インフルエンザ(2009/a/h1n1) 対策、特徴、考察(4)。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/4b36be1e1a48165f7b382efd365cc5ca
<資料Ⅰ:日本国内での警戒レベル>
1)海外発生期
海外で新型インフルエンザの人への感染被害が発生。
2)国内発生早期
国内において新型インフルエンザが限局的に発生している時期。
3)感染拡大期
国内において新型インフルエンザウイルスの人から人への感染被害が、
大きな集団で発生している時期。
3)蔓延(まんえん)期(パンデミック)
新型インフルエンザが大規模に発生している時期。
*回復期
新型インフルエンザの流行が終息に向かっている時期。
* 新型インフルエンザ対策について(厚生省ガイド・ライン:PDF)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/18b_0001.pdf
<資料Ⅱ:基本的対処方針>
~平成21年5月16日:厚生労働省発表~
1.はじめに
本日、新型インフルエンザ(A/H1N1)患者が国内で発生したが、
渡航歴もなくこれまでの患者や停留者との接触もないため、
地域での感染が始まった可能性が高い。
しかも今回は軽微な症状を呈する感染者が多いので、
国内での感染拡大のおそれがある。
これは、
新型インフルエンザウイルスが国内に侵入し国内における感染の状況が
第2段階(国内発生早期)となったということである。
今回の新型インフルエンザの感染力は、
季節性インフルエンザと同様に感染性は強いが、
諸外国において多くの患者が軽症のまま回復しており、
我が国のこれまでに確認された4名についても同様であった。
治療については、
抗インフルエンザウイルス薬の効果があると報告されている。
しかし、
基礎疾患(糖尿病等)のある人たちを中心に重症化する傾向があり、
死亡例も報告されている。
以上のことから、
Ⅰ 感染の更なる拡大を防ぐこと。
Ⅱ 特に基礎疾患のある者など重症化しやすい人が新型インフルエンザに、
感染して死亡することを防ぐことに努力を集中すべきである。
このため、国、地方自治体、保健医療関係者、国民全員が協力し、
1)国内発生早期においては、感染の疑いのある例についてはすべて検査し、
感染が強く疑われる場合には、軽症・重症を問わず措置入院し、
更なる感染の拡大を防ぐ。
2) 感染の拡大が進んだ段階においては多くの軽微な感染者が発生し、
医療機関に殺到する可能性がある。
したがって医療機関においては基礎疾患のある人が重症化しないよう、
医療供給体制の充実と各医療機関の機能の明確化を図ることが重要である。
また軽症の患者については、自宅での療養、医療従事者の訪問、
発熱外来への受診の徹底により一般の患者と接触しないような工夫など、
地域の実情に応じた対応を行う。
専門家諮問委員会としては、
現在知られている新型インフルエンザウイルスの性状等を踏まえ、
基本的対処方針の実施に関しては、
以下の点について柔軟で弾力的な運用を行うよう提言する。
2.社会生活上の取組みについて
以下の各項目については十分に留意し適切な対応をとるよう、
政府は関係者・国民に周知徹底するべきである。
○ マスクの着用等
→ 個人における感染防止策の徹底は極めて重要であり、
引き続き手洗い、人混みでのマスク着用、咳エチケットの徹底、うがい等を行う。
※屋外等の解放空間においては、相当な人混みでない限りマスクを着用する意味はない。
電車やバスの中等の換気が悪く閉鎖的な空間の中ではマスクを着用することで、
周囲の人の咳やくしゃみによる飛沫を防ぐ意味がある。
また他の人への咳エチケットとしてマスクを着用することが望ましい。
○ 外出
→ 現時点では一律に外出を控えなくてもよい。
個人は、人混みはなるべく避けることなどに引き続き注意する。
○ 通勤・通学
→ 現時点では一律の時差通勤等をしなくてよい。
個人は、通学も含めなるべくラッシュ時を避けるなど感染機会を減らす努力を行う。
また事業者・学校は、時差通勤・通学を容認するなど、
通勤・通学に際して従業員・生徒の感染機会が減るように工夫する。
○ 集会、スポーツ大会等
→ 現時点では一律の自粛は要請しない。
主催者は、当該イベントの趣旨・必要性等を勘案し総合的に判断すること。
○ 学校・保育施設等
→ 患者が学校・保育施設等に通う生徒・児童等の場合、
その地域(市町村の一部又は全域、場合によっては都道府県全域)の学校等については、
臨時休業することを原則とする。
ただし大学については、一律の休業を要請せず各大学において感染が拡大しないように努める。
一方、患者が学校・保育施設等に通う生徒・児童等でない場合、
2次感染患者が発生しさらに感染拡大のおそれがある場合には、
同様に臨時休業を行う。
また、
臨時休業の終了時期については新型インフルエンザの発生状況に応じ、
1週間ごとに検討を行う。
保育施設の休業に際しては、
保育所に子供を通わせている従業員の勤務について事業所は配慮する。
○ 事業者
→ 現時点では一律の事業の縮小については要請しない。
事業者は、事業を適切に継続できるようにするとともに、
感染ができる限り拡大しない事業運営を行うこととすべきである。
3.国内発生が見られた後の医療について
<医療機関への受診>
○第2段階(国内発生早期)からは、この時期最大の目標として軽症・重症を問わず、
すべて検査を行い感染が強く疑われた例はすべて措置入院とし感染拡大しないようにする。
同様に重症例の治療に全力を注ぐことが必要である。
そのために発熱や咳などのインフルエンザ様症状が見られた場合には、
まず「発熱相談センター」に相談のうえ、「発熱外来」を受診する。
○政府としては国民にこの趣旨を周知徹底し、
「発熱相談センター」や「発熱外来」の利用について、
理解と協力を求める努力をすべきであり、
国民も「感染により重症化しやすい人の命を守る」という、
政府の方針に積極的に協力すべきである。
○第3段階(まん延期)では、
多くの軽症例が発生するために病院における治療は重症例のみに集中すべきである。
更にこの時期では新型インフルエンザの患者を指定医療機関だけで治療することは、
収容能力の上からもまた感染防止対策としてもその意義は薄く、
一般の医療機関も含め全ての医療機関で新型インフルエンザの治療に対応する。
ただしこうした医療機関では新型インフルエンザとして収容されている、
患者と他の患者との接触を断つことに十分留意すべきである。
○ 多くの軽症患者が一般の医療機関に殺到すれば、基
礎疾患があり重症化しやすい人に感染の危険が及ぶことになる。
このため軽症の患者へは、出来るだけ医療機関への受診を控えて、
地域の実情にあった方法(例えば)自宅で療養するなど協力を求める。
その際、自宅待機する患者に対しては、治療薬の宅配、医療関係者の訪問など、
地域毎に患者の視点に立った対応が準備されているところもあり、
他の自治体もそのような事例を参考にして、
患者が協力しやすい医療体制を整備すべきである。
また、
病院と診療所はそれぞれの役割、及び責任分担を行い、
軽症者と重症者の治療に混乱のないよう連携を図るべきである。
<抗インフルエンザウイルス薬>
○第2段階(国内発生早期)では、
感染者に対して治療の目的でタミフル等の抗インフルエンザウイルス薬を投与するが、
更に濃厚接触者やウイルスに暴露した疑いのある医療従事者、
初動対応者等に対し抗インフルエンザウイルス薬の予防投与が行われる。
○もっとも感染の危険性があるのは患者の同居者であるが、
そのほかにも疫学調査で感染の危険性が高いと指摘された者
(同じ学校、同じ職場の濃厚接触者など)については、
患者の行動範囲を考慮して予防投与が行われる。
○ 第3段階(感染拡大期)では、
抗インフルエンザウイルス薬を治療として使用する事に優先した方が良いため、
予防投与は基本的に行わない。
ただし例外として、
家族等に感染により重症化しやすい人が含まれる場合等には予防投与があり得る。
○いずれにせよ感染拡大期以降では、
治療に必要な抗インフルエンザウイルス薬が十分確保されることが重要である。
予防投与は感染により重症化しやすい人などに例外的に行われるべきであり、
この点について国民の理解を深めていくことが必要である。
4.おわりに
新型インフルエンザ対策は、
国・自治体・医療関係者・国民が一体となって協力することにより、
はじめて成果が上げられる。
限られた医療資源を効果的に運用するためにも、
上記の医療体制について国民の十分理解な理解が得られるよう、
国・自治体・医療関係者はあらゆる努力をすべきである。