NHKスペシャル
「セーフティーネット・クライシス2」
~ 非正規労働者を守れるか ~
放送局 :総合/デジタル総合
放送日 :2008年12月15日(月)
時間 :午後7時30分~8時45分(放送終了)
<mimifukuから、一言。>
先ずは、下記のギリシャで起きている出来事についての記事を読んでいただきたい。
*6日に警官が少年を射殺したのを機に抗議デモが全国で発生。
首都アテネ中心部などで暴徒化している。
経済危機への不満も重なり、ゼネストとデモは反政府活動の様相を呈している。
アテネ郊外では9日、射殺された少年の葬儀が営まれ墓地近くや国会議事堂周辺で抗議デモの参加者数千人と機動隊が衝突。
AFP通信によると、10日も数千人が倒閣を要求する横断幕を掲げながら国会に向かうなど混乱が続いている。
(日本経済新聞:2008年12月10日/記事転載)
*警官の発砲で少年が死亡した事件を機に広がったギリシャの暴動が止まらない。
アテネでは12日も学生らが火炎瓶や石を投げ銀行などを襲った。
警官隊は催涙弾で対抗し中心部は紛争地のような様相。
いつまでもおさまらないのは、就職難や低賃金に苦しむ若者の怒りが爆発したためだ。
若者の苦境は欧州共通の現象で他国も事態を注視している。
ギリシャでは、中道右派のカラマンリス首相が、2004年のアテネ五輪前の総選挙で全ギリシャ社会主義運動(PASOK)を破り政権についた。
当時の経済上昇ムードに乗り財政赤字削減。
民営化推進では、欧州連合(EU)内で評価を得た。
一方、規制緩和で労働者への保護制度が減らされ貧富の格差は拡大した。
国全体の失業率は7~8%だが、25歳以下では21%。
特に高学歴の若者が行き場を失っている。
隣国イタリアでは、非正規雇用の広がりで月収千ユーロ(約12万円)以下で暮らす高学歴の若者が「千ユーロ世代」と呼ばれて社会問題化しているが、ギリシャではさらに収入が少ない「600ユーロ世代の若者」が話題だ。
スペイン28%。
フランス20%。
など同年代の失業率の高さは欧州に共通する。
(朝日新聞:2008年12月13日/記事転載)
欧州では、若者の失業率が軒並み20%を超えているようだ。
一人の少年の死亡事故(事件?)が引き起こした若者の暴動は、1992年にアメリカで起きたロス暴動のように、ひとつの事件をきっかけに大きなうねりとなって表面化してきた。
表面化した最大の理由は、ロス暴動同様の格差社会。
つまり、人権問題による差別意識を内面に蓄えた格差社会の底辺に潜む感情の爆発が大きなうねりとなって社会行動に変化していく様子は、過去の歴史においても多く見られた現象であり、不満の爆発を止める手段は、早期(暴動意識が高まる前)の問題解決以外に手はない。
今、日本で巻き起こる大量離職(リストラ)の現状を解決する手立ては、少ない。
しかし、問題解決の方策を行うためには、
大きな代償にともなう富の分配が必要になる。
*物は、売れない。
*企業は、存続させなければならない。
*減少する企業利益の配分の中で、満額の給与を支払うことは困難だ。
*給与は、売り上げの中から出されるのではなく、
企業利益の中から分配される性質のものだ。
*企業は、離職者を求めるか給与のカットを求めるかの選択をせまる。
*もう1つの選択肢として、生産調整としての長期休暇(工場閉鎖)。
いずれにしても労働者は、苦渋の選択に迫られる。
また、企業および個人の納税額が総定額より少ない場合は、当然のこととして公務員給与もバランスに応じて軽減されることは、致し方ないことなのだろう
しかし、現実はそうはならない。
守られるべき者は、国が借金(国債発行)してでも守られ、
守られない者は、長期間に渡って底の見えない生活を余儀なくされる。
また、減税措置を講じて消費の拡大を目論んでも、
税金すら払うことの出来ない多くの人々がいることに、
目を瞑る社会になりつつはないのか?
今、社会がイメージする政府の対策とは、そんな感じなのだろう。
また、そうした政府の対策が実行され、守られることもなく、
自己のアイデンティティを喪失していく若者を増やしてはならない。
そんなことを思いながら見ようかと思う。
しかし、論者も私同様に今の所、ヒモジイ現実の中に身を置くことない方々なので、
いつも通りの<実のない討論。>で、番組を締めくくるのだろう。
(だから、基本的にゲストがいる討論付きの番組は見ないようにしている。)
現実重視は、暫定的(期限付)な、富の分配の実施。
富める者が率先して血(手持ち資金の流動)を流さずに、
混乱を治めることはできない。
しかし、それも非現実的な選択肢である。
<追記:12月14日朝>
トヨタ自動車が2009年3月期(今期)の役員賞与について、全額カットも含めた大幅な減額を検討していることが14日分かった。
世界的な景気減速や円高の進行に伴い今期業績のさらなる悪化が確実な情勢下、経営陣の責任の明確化は避けられないと判断。
同社は既に今年冬の管理職賞与を1割カットしたほか、来春の春闘でも組合側に厳しい経営環境への理解を強く求める方針。
世界的な需要低迷に対し、これまでは主に期間従業員の削減などで対応してきたが今後は正社員や役員の処遇面への影響も顕在化しそうだ。
(時事通信:2008年12月14日記事転載。)
昨晩この記事を書きながら、
「富める者が率先して血(手持ち資金の流動)を流す。」の意味を考えた。
朝刊が休みの今朝、テレビのニュース報道で知ったトヨタの決定。
「富める者が率先して血(手持ち資金の流動)を流す。」への私の思いは、
決して社会主義への移行ではない。
指導的な立場の者が我慢(姿勢を示し行動すること)せずして、
人を指導することはできない。
また、
「富める者が率先して血(手持ち資金の流動)を流す。」の意味は、
この不景気の中で、個人が持つ余剰資金(預金など)を率先して消費に廻すことである。
資本主義経済下の中での景気上昇の最大原則は、
<資金の流動性を高め市場に潤沢な資金が流れるように誘導すること>
である。
しかし、残念ながら日本政府が先日打ち出した方針は、
*税金や国債により資金調達された富が、
*豊潤に一般市民(民間人)に流れることは少なく、
*従来型の予算編成(官僚主導による予算構造)の枠組みを擁護し、
*既得権の保護が目的とされていることが垣間見える。
多くの一般市民は、本能的にそのことに気付いているための、
内閣支持率の低下だと疑うのは、私の思い過ごしか?
世界同時不況の波は、今後益々深刻さを増していくのだろう。
意外ながら、世界で最も個人預金(余剰金)を持つとされる日本国民。
国内需要を高める方策は、
過酷な安売り競争(給与として支払われるべき企業利益)だけではなく、
抜本的な市場の構造改革を行わなければ、
内需拡大による企業業績が上昇することはないのだろう。
しかし、そのことに気付いている人がどれほど多いか?
特に報道機関の<安売り歓迎>のニュースには辟易を覚える。
朝早くから、そんな事を感じた。
<番組を見て感じたこと。>
昨晩既述したとおりの予想された展開で番組は終了された。
ふ~。
番組内の討論とは関係ないが、思ったことを少しだけ。
路上生活者に対する救済が急務なこと。
日増しに寒さが増すこの季節での路上生活者の身体に及ぼす影響。
年間900万トンに上る食品廃棄が行われていると言われるこの国が、
彼らを救えない訳がない。
生きることとは、
*食の摂取。
*排泄。
*保温。(衣と住)
の3大原則。
さらに
*清潔。
*健康(医療)。
*人との交わり(愛情の確認)。
の権利。
日本国憲法第25条には、
*すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び、
公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
とあり、この憲法を遵守することは国民の義務である。
大地震の際、家を失う方々に手厚い保護と支援(ボランティアや募金等)を躊躇しない誇るべき日本の国民気質は、国民の誰もが彼らに同情の念を抱いている。
おそらく、この都度の世界同時不況は、
<1929年~、の世界大恐慌に迫る歴史的な動き。>
になることは確実で、
それは、
大地震と同じ<災害の1つ>だとの認識を持たなければならない
大地震の時のように、
寒さをしのぐために公共施設を提供することも念頭に入れ、
速やかな対策を打たねばならない。
でなければ、
愛情の確認を失う国家の治安は乱れる。
それが、人間の本質的(本能的)な部分だあり、
生活の中でのアイデンティティの確認を示す事ができなければ、
我々国民は、憲法違反の重罪を担うことになるのかも知れない。
何もできないが、そんな事を感じた。
<関連記事:ブログ内リンク。>
*リストラとレイオフ/定額給付金よりも休業給付金はどうだろう?
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/5fa739e31760eaa67f2e6ba374575f5a
*雇用確保と治安維持、 ~アイデンティティの意味を考える。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20081225
~下記、NHKホームページより転載。
▽パートなどの「非正規労働者」が、若者を中心に労働者の3割を超えた。
収入が不安定なだけでなく、健康保険や雇用保険などのセーフティーネットが十分保障されず、いったん病気や失業になると生活が成り立たなくなるケースが続出している。
じつは欧米諸国でも、厳しい国際競争に巻き込まれた企業が“非正規”社員を増やし、問題となってきた。
そんななかヨーロッパでは、企業が望む“非正規”化を進めるかわりに、“非正規”社員の社会保障を充実させる「フレキシキュリティ」という新たな発想が生まれた。
企業と労働者が譲り合い、社会保障と経済成長を両立させようというこれまでにない取り組みだ。
番組では、日本の現状分析を出発点に、
「フレキシキュリティ」の模索を続けるオランダを取材。
各国の政府・財界・労働界などが、どのような議論を重ね選択を行ってきたのか、そのプロセスに学びながら、日本の非正規労働者の問題を解決するための手立てを探る。
【ゲスト】
厚生労働副大臣…大村秀章
日本総合研究所特別顧問…門脇英晴
反貧困ネットワーク事務局長…湯浅誠
東京大学教授…神野直彦
【キャスター】:町永俊雄
【語り】:中條誠子
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