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mimi-fuku通信

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『定額給付金』についての考察、~困惑する政策と不安の増幅。

2008-11-14 00:00:00 | 政治・社会・時事

 気が重い。
 どのように書くべきなんだろうか?
 まず、今回の定額給付金についてのWeb記事を記載する。

 *麻生首相が10月30日発表した新総合経済対策は、「生活対策」と銘打ち、
 <生活支援定額給付金>などを盛り込んだ。
 直接の財政支出にはならない中小企業向け支援で総事業規模は26.9兆円と膨らみ、小渕政権が98年に実施した「緊急経済対策」の23兆円超を超える大型になった。
 <朝日新聞:2008年10月30日>
 
 *自民、公明両党は12日、政府の追加経済対策の目玉である、
 <総額2兆円の生活支援定額給付金>について、給付額を1人当たり1万2000円、18歳以下と65歳以上には8000円を加算することなどで正式合意した。
 懸案だった所得制限は給付窓口となる各自治体が実情に応じて有無を含めて判断し、制限する場合は所得1800万円(給与収入概算2074万円)を下限とすることを決めた。
 <MSN産経ニュース:2008年11月12日>

 本来の目的は、アメリカで起こり世界を巻き込んでいる金融危機の経済対策として考えられ浮上した計画案のはずだ。
 しかし、蓋を開けてみれば選挙の思惑も絡み、迷走に次ぐ迷走。

 この迷走ぶりを、見事に表現した読売新聞の社説。

 *定額給付金は、福田内閣が公明党の強い要請で打ち出した定額減税が姿を変えたものだ。
 減税だと、税金を払っていない所得の低い世帯には恩恵が及ばない。
 給付金なら所得に関係なく支給でき、景気刺激にも即効性がある、というのがその理由だ。
 だが、政府・与党内から、高額所得者は対象外にすべきだ、という声が出て迷走が始まった。
 当初は「全世帯が対象」と明言した麻生首相も、党内の声に押され、
 「高額所得者には辞退してもらう」などと軌道修正した。
 ところが閣内からさえ「辞退というのは制度ではない」との指摘があり、結局、高額所得者の扱いを市町村に委ねる中途半端な手法を取らざるを得なくなった。
 選挙対策として華々しく打ち出し、詰めは衆院選の後でやればいい。
 そう考えていたが、解散先送りで予定が大いに狂った。
 (11月13日付・読売社説)

 困ったことになってきた。
 世界中が震えあがっている、<大恐慌への危機感>がまるで感じられないこの国の政府与党の動き(他の政党も含め)には、呆然とするばかりである。
 
 このブログでは、先週のアメリカ大統領選挙に関連して、アメリカの大統領の言葉やキング牧師の言葉を記事にしている。

 大統領選挙戦後、何度も登場している、
 
バラク・オバマ氏の<勝利宣言スピーチ>の中に下記の一説がある。

 There are mothers and fathers who will lie awake after the children fall asleep and wonder how they'll make the mortgage or pay their doctors' bills or save enough for their child's college education.

 多くの父親や母親達は、子供達が眠った後に、
 どのように住宅ローンを支払い、
 どのように医療費を支払い、
 どのように大学に進学する学費を確保するか、
 を眠れずに思案している。

 今、多くの日本人が求めている言葉を上記のスピーチは端的に示している。

 しかし、
 日本の政府(あるいは官僚機構)は、
 「誰が困っているのか?」
 
を認識していない。

 今後起きるだろう大リストラ計画に不安を抱く多くの家庭。
 意に反して、派遣社員やアルバイト労働者として働かなければならない若者達。
 金融危機の煽りを受けて借り入れがままならない多くの中小企業とその労働者。
 
進出してくる大手量販店の価格破壊に人生を狂わされた地方商店街。

 失業の恐怖や、就業格差の問題に何の配慮もないこの都度の計画に、
 良識ある国民は<自分の身に置き換え>、不安を増幅している。

 “たぶん、彼等は、私達が困っていても何もしてくれない”と。


 例えば、
 ある石川県の家庭、Aさんの場合。

 91歳の新聞社勤めだった父と、一部上場企業の事務職をしていた87歳の母。
 Aさんは65歳で、学校の校長を務め、妻は職場で知り合った同僚の教師。
 息子は38歳で、都会で就職して所帯を持っており、
 33歳になる娘は、市役所に勤めながらこれまた同僚と結婚し、
 車で10分の市内に嫁いでいる。
 91歳の父は、7年前から身体の具合を悪くし、医療機関に入っている。
 Aさんには、持ち家があり、家族4人でコツコツと貯めた数千万円の預金を持っており、
 Aさんが手にする、
 国から支給される4人分の年金は、月額100万円に近い。
  娘は、そんなAさんを頼りにしており、5歳と2歳の2人の孫を妻に預け、毎日の勤めに出かける。
 そんなAさんの目下の不安は、
 「国が税金の無駄遣いをせず、年金が安定して支給されること。」
 である。

 

 次に、
 同じ市内に住むBさんの場合。

 今年、55歳になるBさんは、母と妻と子供の4人暮らし。
 もともと父の家業を継いで電気屋をしていたBさんは、バブルがはじけた1990年頃までは、何の不安も持たず毎日を暮らしていた。
 1994年、父が死に少しの得意先を失ったものの、
 息子2人を養うに困らないほどの収入はあった。

 1999年頃、長男が大学に通いだす頃に家計が圧迫。
 妻は、事務を中心に家業の手伝いをしていたのだが、支出に対する収入不足から、外にアルバイトに出るようになった。
 長男も都会の大学でアルバイトをしながら、家計の負担を減らそうと努力した。
 ところが2001年。
 町の郊外に、大型の家電量販店が進出してきた。
 それも年をまたいでの、2店舗の進出に経営が困窮。
 その年、次男も大学進学を控えていたのだが、次男は家計への配慮から近くの専門学校へ進学。
 Bさんは、自分への情けなさを感じる間もなく、量販店との価格競争に太刀打ちできず、さらに逼迫した経営状態に銀行からの貸し渋りにあい経営を断念。
 上の子が大学を卒業した2003年のことだった。
 50歳になったBさんは、就職する当てもなく、55歳になった今でも派遣登録をして、その日、その日をしのいでいる。
 母は、父の国民年金の内、わずかばかりの給付を受け、
 妻のスーパーでのパートは、10年目を向かえる。
 長男は、都会の中堅商社に就職。
 次男は、地元の中小企業に就職したものの長続きせず、
 今はコンビニでアルバイトをしながらも将来を夢見る。
 2人が卒業したことで、生活は困窮とは言えないまでも、
 先の見えない暮らしに光明が見えない。

 ただ、息子2人を育てるための数百万円借り入れの返済がいまだ未納である。
 そんなBさんは言う。
 「あの時、意固地になって家業を続けていれば今頃この家も取られていたかもしれない。1990年には3000万円していたこの家の地価も、商店街の衰退と共に今では800万円でも買い手が付かない。勿論、この住宅も担保には入っているが、畳の上で眠れる幸福を感じる。」

 2つの話をフィクションととらえるか、実話ととらえるかは、読まれる方の地域差もあると感じる。
 しかし、おおよそ<閉じられたシャッター>が多いとされる市町村では、誰もが一度は、耳にする話ではないだろうか?

 今回の定額給付金が支給される額は、
 *Aさんの家族は、4人分=8万円。
 
Bさんの家族は、4人分=5万6千円。
 
これが、この都度の政府の決定である。

 もう一度、同じ言葉を記載する。

 つまり、
 日本の政府(あるいは官僚機構)は
 「誰が困っているのか?」
 
を認識していない。

 今後、次々と起きるだろう大リストラ計画に不安を抱く多くの家庭とその家族。
 意に反して、派遣社員やアルバイト労働者として働かなければならない若者達。
 金融危機の煽りを受けて借り入れがままならない中小企業と、その労働者。
 進出してくる大型量販店の価格破壊に人生を狂わされた地方の商店街。

 失業の恐怖や就業格差の問題に何の配慮もない政府の計画に、
 良識ある国民は<自分の身に置き換え>、不安を増幅している。

 “たぶん、彼等は、私達が困っていても何もしてくれない”と。

 

 下記、10月31日:
 <中日新聞>のWeb記事を転載。
  http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008103102000050.html

 麻生太郎首相は30日、首相官邸で記者会見し、世界的な金融危機の影響を緩和するための新たな総合経済対策「生活対策」を発表した。
 給付金の支給と政策減税を柱に、生活者や国内企業へのさらなる支援を行う狙いだ。
 同時に、将来的な社会保障費の財源確保の重要性も強調し、景気回復を条件に「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と表明した。
 首相は「現在は100年に一度の暴風雨」と危機感を訴えた上で、消費税を上げるまでの3年間は減税など景気対策を優先する方針を示した。
 首相が消費税の引き上げ時期を明言するのは異例。
 2011年度以降、段階的に税率を引き上げる方向とみられる。
 年末の税制改正議論で、自民党の税制調査会(税調)を中心に、所得税や法人税、相続税も含めた税制改革の全体像をまとめ、
 「2010年代半ばまでに段階的に実行する」と明記した。

 総合経済対策の事業規模は過去10年で最大の約27兆円で、国の財政支出は5兆円に上る見通し。
 費用を手当てするため、麻生首相は08年度第2次補正予算案を編成する方針だ。
 財源には、特例措置として「霞が関埋蔵金」といわれる特別会計の準備金の一部を充てる。赤字国債は発行しない。

 生活者対策の柱となる「給付金」は、全世帯を対象に年度内に実施。総額2兆円で「4人家族で6万円程度」(首相)になる見通し。
 証券優遇税制は現行のまま3年間延長。
 今年で期限切れになる住宅ローン減税も延長し、減税幅も過去最大規模に拡大する。

 企業向けにも、省エネ設備などを購入した場合などに税制を優遇する「成長力強化税制」を導入する。
 また中小零細企業の経営は特に厳しさを増しているため、法人税の優遇措置をさらに緩和するなど支援策を広げる。

 このほか、地方公共団体への支援として、国の道路特定財源約3・3兆円のうち1兆円を地方に配分する。
 これまでも地方の道路整備促進のために約7000億円を交付してきたが、別枠で支給する。

 【 追加経済対策の骨子 】

 ▼事業規模は26・9兆円、国費は5兆円。

 ▼総額2兆円の生活支援定額給付金、
   4人家族で6万円程度を本年度内に支給。

 ▼雇用保険料引き下げ。

 ▼住宅ローン減税を過去最大規模に拡充して延長。

 ▼中小企業向けの融資や保証枠を前回対策と合わせて30兆円に。

 ▼金融機関への予防的な資本注入枠を拡大。

 ▼高速道路料金の大幅引き下げ。

 ▼道路特定財源から1兆円を地方に。臨時交付金も支給。

 ▼赤字国債は発行せず、特別会計の準備金を財源に活用。

 ▼消費税を含む税制改革の全体像を年末に提示。

 

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オバマ大統領誕生/ 歴史的な1日。 ~2008年11月4日。

2008-11-05 22:39:00 | 政治・社会・時事

 
 <勝利宣言:要約>

 シカゴの皆さん、今晩は。
 アメリカの持つ可能性について、まだ疑問を持っている人はいるでしょうか?
 アメリカの建国の精神について、まだ疑問を感じている人はいるでしょうか?
 いまでも、民主主義のパワーに疑いを持つ人がいるとするなら、
 今夜、あなた方は、その答えを得られたはずです。

 その答えを出してくれたのは、教会や学校の前で、
 3時間以上も並んで投票してくれた人達です。
 彼等は、信じたのです。

 若い人も、年配の人も、豊かな人も、貧しい人も、
 民主党支持者や、共和党支持者の人達も、
 白人、、黒人、ヒスパニック、アジア、ネイティブ・アメリカの人達も、
 同性愛者(ゲイと表現)も非同性愛者も、身障者やそうでない人達も、
 世界に(民主主義の持つ可能性について)強いメッセージを発信しました。

 私達は、ただの個人の集まりではありません。
 赤い州(共和党)と、青い州(民主党)の集めりでもありません。
 私達は、アメリカ合衆国であり、これからもそうあり続けるのです。

 長い時間を要しましたが、
 今日、皆さんが成し遂げた決定的瞬間こそが変革(change)
であり、
 その変革への強い意志が、この国に訪れたのです。

 少し前に共和党のマケイン大統領候補から、丁重なお電話をいただきました。
 マケイン氏は、愛する国のために長い時間、懸命に戦ってきました。
 マケイン氏は、この国のために多くの犠牲を払い、苦難を経験し、
 その苦難の道こそが、現在我々が住む<豊かな国>へとつながっているのです。
 そして、マケイン氏とともに戦ったペイリン氏(副大統領候補)の成し遂げた姿勢にも敬意を表します。
 これから先、私達が国民の方々のために打ち出した約束を、
 より良くするために、両候補と協力することを楽しみにしています。

 私を支持してくださった、多くの方々の支援に感謝します。
 多くの方々の支援によって勝利することができました。
 しかし、これがあなた方の勝利だということを決して忘れません。

 勝てないと言われた私が勝てたことは、あなた方の勝利です。
 多くの方が、私達に寄付をしてくれました。(インターネット募金)
 若者達もボランティアとして活動してくれました。

 「人民の、人民による、人民のための政治」の精神が、
 まだ生き続けていることが、ここに示されたのです。

 今こうして、私達はお祝いをしていますが、
 明日から多くの課題に取り組まなければなりません。

 環境汚染は進行しています。
 100年に一度の金融危機に見舞われています、
 イラクの砂漠やアフガニスタンの山岳地帯では、多くの兵士が戦っています。
 住宅ローンや、雇用の問題。
 今後の道のりは、長く険しいでしょう。
 後退することや、つまずくこともあるかも知れません。
 1年、もしくは1期(4年)では、たどり付く事はできない道かも知れません。
 しかし、私は、約束します。
 私達が、共に目標の地点に到達するということを。
 私は、皆さんの声に耳を傾けます。
 そして、皆さんが共にこの国を再建してくれることを願っています。

 21ヶ月前の冬に始まったこの戦いが、
 この秋の夜に終わることはありません。

 この勝利が、私達の求めた変革ではなく、
 変革を起こす機会(の始まり)に過ぎないのです。

 私達は、愛国心を持ち、犠牲の精神を持ち、
 互いに奉仕の精神を持たなければなりません。

 私達は、対立する敵ではなく友人です。
 今夜、私はあなた方(マケイン氏に票を投じた)の票を得られませんでしたが、
 あなた方の声にも、私は耳を傾けます。
 私には、あなた方の助けが必要なのです。
 私は、あなた方の大統領にもなるのです。

 世界は、この瞬間を共有しています。
 多くの方々が、ラジオやテレビで立ち会っています。

 世界を破壊しようとする者は、打ち倒さなければなりません。
 平和と安定を求める方々を(私達は)支持します。

 私達のアメリカの真の強さは、経済力や、武力によってのみではなく、
 創造性(アイディア)、民主主義、自由、機会(チャンス)、大いなる希望
 によって、もたらされるのです。

 それが、アメリカの真髄なのです。

 今、私の心に浮かぶのはアトランタに住む、ある106歳の女性のことです。
 その方は、多くの人々と同じように列に並んで投票しました。

 彼女は、2つの理由のため長い期間、投票できませんでした。
 *女性であること。
 *肌の色が黒いこと。
 Yes, we can(我々は、できる。)

 大恐慌の時代、ニューディール政策を通して共通の目標を持ち、
 恐怖を克服していくこの国の姿を、
 彼女は見てきました。
 Yes, we can(我々は、できる。)

 真珠湾が爆撃された時も、
 そして世界大戦の時代も、
 アメリカが立ち上がる姿を、
 彼女は見てきました。
 Yes, we can(我々は、できる。)

 バス・ボイコット運動や、ワシントンでの大行進の折、
 キング牧師が主張した、
 「我等は、勝たん。(公民権運動のスローガン)」
 との訴えを、
 彼女は見てきました。
 Yes, we can(我々は、できる。)

 人類が月面に立ち、
 ベルリンの壁が崩れる時も、
 彼女は、見てきました。
 Yes, we can(我々は、できる。)

 そして、今年彼女は、
 スクリーン画面をタッチして投票することができました。
 彼女は、多くの歴史を見てきました。
 Yes, we can(我々は、できる。) 

 もし、
 子供達が22世紀まで生きることができたなら、
 子供達はどんな進歩を見るのでしょう。

 そして、今私達はそれに答えることができるのです。
 人々に機会(チャンス)の扉を開き、繁栄と夢を取り戻すことができるのです。
 Yes, we can(我々は、できる。) 
 
 神のご加護が、アメリカにありますように。


  <関連記事>

 *「大統領のことば(言葉)」 ~歴史に残る3つの演説。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/2d898ebe7b942721cf4a5d38b9a4e390

 *キング牧師のアメリカ市民革命、~私には夢がある。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/228c9f072d95aed31661b0966c2b1873

 *バラク・オバマ氏の2004年7月27日:民主党大会演説。
   ~ OhmyNews:オーマイニュースへのリンク。 ~ 
  http://news.ohmynews.co.jp/news/20080222/21306


 <ニュース>

 2008年11月4日。
 投票日(即日開票)のアメリカ大統領選挙で、民主党のバラク・オバマ上院議員が勝利しました。
 オバマ氏の地元イリノイ州シカゴでは、現地時間:午後11時(日本時間:5日午後1時)7万人を超える支持者達が、アメリカ史上初の黒人大統領の誕生に歓喜しました。
 オバマ氏は、同会場にて多くの支持者の前で<勝利宣言>をし、会場の高まる熱気と高揚は、最高潮に達しました。

   
 <プロフィール>

 バラク・オバマ: 1961年8月4日ハワイ生まれ。
 父親は、ケニア出身の黒人。
 母親は、アメリカ出身の白人。
 インドネシアやハワイで幼少期を過ごし、29歳でハーバード大学、大学院を卒業。
 卒業後、シカゴで人権問題を取り扱う弁護士として活躍。
 1997年、イリノイ州議会上院議員に選出され、
 2004年の民主党大会で頭角を表わす。



 <mimifukuの戯言。>

 今日は、世界にとって歴史的な一日になった。
 黒人でありながらアメリカの大統領に当選されたオバマ氏の吉報を世界中の有色人種が歓喜したに違いない。
 特に、南半球に暮らす多くの人々に夢と希望を与えた今回の結果は、日本に暮らす私たちには想像もつかない快挙なのだろう。

 黒人と言って、思い出すのは政治家ならキング牧師とマルコムX。.
  Popの世界で、スティービー・ワンダーや、マイケル・ジャクソン。
  Jazzの世界のマイルス・ディビスや、ジョン・コルトレーン。
 スポーツの世界では、マイケル・ジョーダンや、カール・ルイス。
 古い所で、モハメド・アリやハンク・アーロン。
 誰もが思いつく名前の不滅のスーパースターとして語り継がれる人物も多い。

 しかし、1968年。
 キング牧師が暗殺されて40年目の今日、アメリカの大統領に黒人が選出されたことの驚きは、オバマ次期大統領(就任は2009年1月20日)の言葉通り、民主主義の勝利に他ならない。

 1973~74年。
 ハンク・アーロンが、白人社会の英雄:ベーブルースのホームラン記録を破る時に受けた、心無い白人からの反感や嫌がらせの報道は、子供心に強い記憶として残っている。

 マイルス・ディビスの自伝の中にも、警察官に不当な扱いを受け、有名になっても何も変わらない絶望感を綴った文面が見られる。

 このブログ内の記事にある、ビリー・ホリディの「奇妙な果実」の歌詞に込められた凄絶は、言語に絶する。

 スティビー・ワンダーの1980年のアルバム「ホッター・ザン・ジュライ」に込められたキング牧師への想いは、二十歳前の私にとって公民権運動を知るきっかけのひとつになっている。

 1967年に作られた映画「招かざる客」のずっと以前に、
 オバマ氏のご両親が結婚されている事実を知り、
 白人であったオバマ氏の母親の強さを感じる。

 ロバート・メープルソープの1986年の作品「トーマスとドヴァンナ」の衝撃も、
 白人と黒人のタブーを扱った禁断の一枚として強く印象に残っている。

 この選挙は、ブッシュ政権への不信任の意味合いもあり、
 オバマ氏にとって、幾つもの強運が重なった。

 しかし、選んだのはアメリカの国民であり、民主主義である。
 そんな、民主主義国家で生きる国民の責務を感じる、
 今日は、そんな一日だった。

 最後に、
 キング牧師の歴史的なスピーチを記載する。
 45年前の戦いは、今日の礎となる。


  マーティン・ルーサー・キング牧師(1929年~68年暗殺)
 ~1963年8月28日:ワシントン大行進におけるスピーチ(抜粋) 

 友よ!
 私は今日、みなさんに申しあげたい。

 今日も明日も、多くの困難や挫折に直面しているが、
 それでもなお、私には夢がある。

 *私には夢がある。
 それは、いつの日かこの国が立ち上がり、その信条である
 <すべての人間は、平等に造られている。>
 の意味を貫くことである。

 *私には夢がある。
 それは、いつの日かジョージア州の赤い土の丘の上で、
 かつての奴隷の子孫と、
 かつての奴隷主の子孫が、
 ともに兄弟愛のテーブルに着くことだ。

 *私には夢がある。
 それは、いつの日か不正義と抑圧の暑さにうだるミシシッピー州でさえ、
 自由と正義のオアシスに変えることだ。

 *私には夢がある。
 それは、いつの日か、
 私の幼い4人の子供たちが、彼らの肌の色によってではなく、
 人格の深さによって評価される国に住めるようになることを。

 *今日、私には夢がある。
 いつの日か幼い黒人の男の子と女の子が、
 幼い白人の男の子と女の子とともに手をつなぎ、
 兄弟姉妹として、歩けるようになることである。

 出典:日本基督教団出版局 「キング牧師の言葉」
 キング夫人著 梶原寿・石井美恵子訳

 

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BS特集 「大統領のことば(言葉)」 ~歴史に残る3つの演説。

2008-11-04 22:44:33 | 政治・社会・時事

 
 BS特集「大統領のことば」

 放送局 :NHK-BS1
 放送日 :2009年1月18日(日)
 放送時間 :午後7時10分~午後9時(110分)
 番組HP:
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-01-18&ch=11&eid=3962
 
~2008年11月3日にBS1で放送された番組の再放送です。
 

 【番組で紹介された、歴史的名演説。】

   *トマス・ジェファーソン(1776年:独立宣言。)

  我々は、次の心理を自明のものだと考える。

  すなわち、
  すべての人間は、皆平等につくられており、
  その創造主によって譲渡できない権利を与えられている。

  その権利とは、
  『生存』、 『自由』
  そして、
  『幸福を追求』
  する権利である。

   これらの権利を保障するために人類は、
  『政府』という機関を持つ。

  その(政府が持つ)正当な権力は、
  統治される者達(国民)の同意に基づいている。

  そして、
  いかなる形態の政府であっても、
  こうした目的(生存、自由、幸福)を損なうようになった時は、

  国民の権利として、その政府を変え、あるいは廃止し、
  『新しい政府』を設立することができる。 

 

   *エイブラハム・リンカーン(1863年:南北戦争時代の演説。)

  世界は、ここで我々が言った言葉に対し、
  注意を払いもしなければ、
  後世まで記憶することもないだろう。

  しかし、
  勇敢なる彼らがここで成し遂げたことは、
  永遠に世界の記憶にとどめられる。

  この地で戦った人々が、
  これまで気高くも進めてきた未完の仕事を完遂するために、
  我々生きている者は、むしろ自らの身を捧げるべきなのだ。

  我々の前には、大いなる責務が残されている。

  *その責務とは、
    名誉ある戦死者達が、
    最後まで完全に身を捧げた大義へと、
    我々自身の身を捧げることである。

  *その責務とは、
        これらの戦死者の死を無駄にしないようにと固く誓うことである。

   *その責務とは、
    神の庇護(ひご)のもと、この国に、
    新たな自由が生まれるようにすることである。

   *その責務とは、
    『人民の、人民による、人民のための政治』
       この地上から、決して滅びないようにすることである。
 

 
   J・F・ケネディ(1961年:就任演説。)
   ~冷戦下の米ソの対立と核兵器問題について~

  今日我々が祝うのは、政党の勝利にではなく、自由にである。

  ものごとの終わりと始まり、再生と変革なのだ。

  今日の世界は、大きく変化している。
  人類は、貧困を根絶させる力を手にした
  (しかし、)
  人類は、生命をも根絶できる力も手にした

  巨大な東西の両陣営が、現在の道筋に満足するわけにはいかない。

  双方とも、
  近代兵器の過大な出費に苦しみ
  恐るべき核兵器の拡散におびえている。

  恐怖のバランスと言う危うい状況を改めて、
  人類の最終戦争を避けようとしている。

  ここで、
  新しいスタートを切ろうではないか。
  長い歴史の中で、
  自由の危機を守る役割を与えられた世代は少ない。

  私は、
  この責任をひるまず喜んで引き受ける覚悟だ。
  この場所、この時代に背を向けるつもりはない。

  それゆえ、アメリカ国民の諸君。

  祖国が、自分達に何をしてくれるかを問うことをやめ、
  自分が、祖国のために何ができるかを問うていただきたい。


 
<関連記事>

 *オバマ大統領誕生/ 歴史的な1日(勝利宣言:要約)
   ~2008年11月4日。

  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/de439377552312306b97bab0d8f9b6c9


 <番組内容:HPより転載>

 大統領選挙を迎えるアメリカ。
 アメリカ国民だけでなく世界が注目するのが、大統領候補や選ばれし大統領の言葉(演説)だ。 黒人初の大統領を目指す民主党オバマ候補は、雄弁な演説の魅力でその道を切り開いてきた。
 また、歴代の大統領の演説は、そのままアメリカ民主主義の歴史となってきた。
 多彩なゲストとともに、歴代大統領の名演説をじっくり鑑賞し、ことばこそが武器となるアメリカ民主主義の神髄を探る。


 【ゲスト】リサ・ステッグマイヤー,  ダニエル・カール,  中山俊宏, 
      松尾弌之,  遥洋子,  マーティ・フリードマン,  ビビる大木。

 【司会】 三宅民夫
 【朗読】 平泉 成

 
 【歴代アメリカ大統領一覧】

 
赤色:共和党、青色:民主党、黒色:その他

     1 ジョージ・ワシントン
   2 ジョン・アダムズ
   3 トーマス・ジェファーソン
   4 ジェームズ・マディソン
   5 ジェームズ・モンロー

   6 ジョン・クインシー・アダムズ
   7 アンドリュー・ジャクソン
   8 マーチン・バン・ビューレン
   9 ウィリアム・ヘンリー・ハリソン
  10 ジョン・タイラー

  11 ジェームズ・ポーク
  12 ザッカリー・テーラー
  13 ミラード・フィルモア

  14 フランクリン・ピアース
  15 ジェームズ・ブキャナン

  16 エイブラハム・リンカーン
  17 アンドリュー・ジョンソン
  
18 ユリシーズ・グラント
  19 ラザフォード・ヘイズ
  20 ジェームズ・ガーフィールド

  21 チェスター・アーサー
  22 グローバー・クリーブランド
  23 ベンジャミン・ハリソン
  24 グローバー・クリーブランド
  25 ウィリアム・マッキンレー
 
  26 セオドア・ルーズベルト
  27 ウィリアム・タフト
  28 ウッドロー・ウィルソン
  29 ウォーレン・ハーディング
  30 カルビン・クーリッジ

  31 ハーバート・フーバー
  32 フランクリン・ルーズベルト
  33 ハリー・トルーマン
  34 ドワイト・アイゼンハワー
  35 ジョン・F・ケネディ

  36 リンドン・ジョンソン
  37 リチャード・ニクソン
  38 ジェラルド・フォード
  39 ジミー・カーター
  40 ロナルド・レーガン

  41 ジョージ・ブッシュ
  42 ビル・クリントン
  43 ジョージ・ブッシュ
  44 バラク・オバマ  

 

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麻生内閣発足 <首相指名選挙と、閣僚名簿。>

2008-09-24 12:46:28 | 政治・社会・時事

 
 2008年9月24日】

 福田内閣が、同日午前に総辞職したことを受け、衆議院は、午後の本会議で首相指名選挙を行った。
 記名投票の結果、麻生太郎自民党総裁が、首相に指名された。

 <衆院:投票総数/478票>

 麻生太郎自民党総裁:337票
 小沢一郎民主党代表:117票
 志位和夫共産党委員長:9票
 綿貫民輔国民新党代表:7票
 福島瑞穂社民党党首:7票
 無所属の平沼赳夫元経済産業相:1票
 
 衆議院での指名選挙後、参議院でも本会議を開き首相指名選挙を行った。

 1回目の投票で、

 <参院:投票総数/240票>

 小沢一郎民主党代表:120票
 麻生太郎自民党総裁:108票
 志位和夫共産党委員長:7票
 綿貫民輔国民新党代表:5票

 この結果、過半数の121票に達したものはおらず、上位2名の決選投票になった。

 <参院:決選投票/240票>

 小沢一郎民主党代表:125票
 麻生太郎自民党総裁:108票
 白票:7票

 衆参両院で議決が異なったが、衆院の議決の優越を定めた憲法の規定で、
 麻生太郎氏が、第92代/59人目の首相に選出された。

  その後、即日に下記の閣僚が決まり、自らが読み上げ発表した。


 麻生内閣:組閣名簿

 ▽総務相:鳩山邦夫 60歳(津島派)

 ▽法務相:森英介 60歳(麻生派)

 ▽外務相:中曽根弘文 62歳(伊吹派)

 ▽財務・金融担当相:中川昭一 55歳(伊吹派)

 ▽文部科学相:塩谷立(りゅう) 58歳(町村派)

 ▽厚生労働相:舛添要一 59歳(無派閥)再任

 ▽農林水産相:石破茂 51歳(津島派)

 ▽経済産業相:二階俊博 69歳(二階派)再任

 ▽国土交通相:中山成彬 65歳(町村派)

 ▽環境相:斉藤鉄夫 56歳(公明党)再任

 ▽防衛相:浜田靖一 52歳(無派閥)

 ▽官房長官:河村建夫 65歳(伊吹派)

 ▽国家公安委員長:佐藤勉 56歳(古賀派)

 ▽経済財政担当相:与謝野馨 70歳(無派閥)再任

 ▽行政改革担当相:甘利明 59歳(山崎派)

 ▽消費者行政担当相:野田聖子 48歳(無派閥)再任

 ▽少子化担当相・男女共同参画 小渕優子 34歳(津島派)


 補足:
 【 2008年9月24日】

 自民党は、22日午後に総裁選挙を実施。
 新総裁に麻生太郎氏を選出した。

 <総裁選:投票数525票>

 麻生太郎 (68):351票
 与謝野馨 (70): 66票、

 小池百合子(56): 46票、
 石原伸晃 (51): 37票、
 石破茂   (51): 25票

 *党役員人事

 幹事長 :細田博之
 政調会長:保利耕輔政調会長
 総務会長:笹川堯総務会長
 石原元 :幹事長代理 

 古賀誠選挙対策委員長(再任)

 

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福田総理の辞任会見を読み解く、 ~2008年9月1日。

2008-09-01 22:55:00 | 政治・社会・時事

 昨日の夜に録画した「帝国のオーケストラ」を見終えて、ビデオを閉じたら福田総理の辞任会見の模様が放送されていた。
 NHK総合の他、日テレ、TBS,フジ、朝日、BS7と、番組中でありながら差し替えがあったり、割り込みがあったりで放送されていた。

 噂どおり麻生幹事長との禅譲の形で総理の交代が行われるらしい。
 昨年の安倍さんの辞任劇と似ているようにも見えるが、国会前の時期であり辞任のタイミングは絶妙だと思う。
 
 今日は防災の日であり、朝の訓練の時の福田首相の宣言が、最後の仕事になったようだ。
 前国会での福田総理の仕事が民主党に合わせ過ぎた事もあり、心情から強行採決をするタイプの人でないので時期国会での対応に苦慮しての事だろう。
 ただし、最近の福田総理の口調に震える部分があり、健康面でも大きなダメージを負っているだろうことは、容易に感じ取ることができる。
 70歳を過ぎた年齢での激務は、何時倒れてもおかしくないような状況で、その前に辞任されたことに仕方のなさも感じる。

 現代の国会運営は困難を極め、誰が総理になっても苦渋の選択を迫られる状況で、できればタフで若い人が望まれるのだろうが良い人材も見当たらず、人気の高い麻生幹事長を立てて解散総選挙に雪崩れ込む形をとるのだろう。
 
 福田総理と小沢代表の大連立構想の破綻が、この国の政治を少なくとも5年は遅らせる結果になった。
 官僚独走(公務員主体)のこの国の体制を変えるには、一番の近道は大連立であったと私は考えている。
 しかし、それは目先の選挙(参議院大勝を受けての)のことで頭がいっぱいの民主党議員達(勿論それぞれ方々の思惑や正義も理解した上で)の反発を受けてご破算になる。

 以後は、例の<ねじれ国会>でゆらりたらりと審議を進めず今日の日(福田首相の退陣)を迎えた。
 
 新しい時代への変革には速度性が要求されるが、運営を止めてしまう現在の均衡状態を解消するには、総選挙が必要となるのだろう。

 そこで、総選挙を戦うためには自分の存在では<勝つことが困難>と見極めた福田総理が、人気のある麻生幹事長に禅譲する形(自民党の総意)で内閣を引き継がせ、年内に解散総選挙に打って出るのだろう。

 安倍さんの辞任とは違うのは、
 <精神的な自滅>ではなく、
 <選挙の為の思案>の結果と考えられる。

 個人的には福田総理の人柄を好ましく思っていただけに残念だが、混迷の時代の中では推進力の強い人でなければ次期国会(開催されるのか?)を乗り切ることはできないし、今回の辞任で総選挙の時期が早まったことだけは確かなようだ。

 民主党の小沢代表も政権奪取に強い意欲を示しておられるような発言をされているが、その実、健康状態は芳しくないように見受けられ、新しい人が前面に立たれることが望ましいのだが、望むべく人材は見当たらないように思うし、大連立の交渉破綻以後の小沢代表の無秩序で投げやりとも取れる政治姿勢にも疑問を感じる。
 

 いずれにしても政治に絡む人材不足(世襲か著名人で固めた)は顕著で、世界の変化に即した政策運営ができる人材を育成することに疎かであった近代政治の歴史が、各省庁の官僚達の思惑に即した政治運営を作り出した事実には、私達国民にも大きな責任があることも認識すべきだ。

 「分かりやすい政治。」なる言葉をよく耳にするが、
 政策運営に分かりやすい事例はなく、複雑な政治を理解する姿勢が国民にも求められている。
 
 と書き出すと長くなるので、この辺で記事を閉じる。

<ブログ内:関連記事へのリンク。>

小沢代表と福田総理のこと。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/1d6ff72950553e2e23f7a06a5c6731d0

安倍首相の辞任について。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/c25efb8d20a0d06743fb7d7e6d4a2d74

 

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携帯電話と防犯ブザー、<市民の協力と、犯罪の抑止。>

2008-07-05 07:25:20 | 政治・社会・時事

2008/07/05記入

*JR東日本車内で、女性乗務員が連続暴行(2008年)

 JR東日本の電車内で女性乗務員を相次ぐ暴行事件があった。
 2008年の3月下旬と4月上旬、走行中の電車内で、女性乗務員をトイレに連れ込み首を絞めて「静かにしろ。殺すぞ」などと脅し、1人に暴行、もう1人は未遂に終わったが約2週間のけがをさせた。
 いずれも乗客の少ない早朝が狙われた。

*JR北陸線、特急「サンダーバード」の車内で女性客が暴行(2006年)

 2006年8月3日、6両目にいた女性客の隣に座り、「逃げると殺す」、「ストーカーして一生付きまとってやる」などと脅し、車内のトイレに連れ込み、暴行。
 JR西日本によると、車両の連結部付近には、通報ブザーをつけられており、トイレ内にも体調悪化などに備えたブザーを設置。
 いずれも車掌に連絡が届くようになっていたが、認知されていなかった。

<mimifukuの考え。> 

 私は以前に、
 「緊急地震速報」と携帯電話。 ~危機管理、未来への期待。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/15801aa6be12d7f938a78535c62f357b
 の中で、
 「携帯電話本体にも大音量(段階的な)で緊急音を出せる機能を備えて欲しい。個人が危機を発信するシステムは、有効に感じるし、それは、自動車が危険をクラクションで伝えるシステムと同じで、大声を出せない個人が危険を周囲に伝えるシステムと考えていただければ理解しやすいと感じる。この携帯電話の<危機伝達システム>は、痴漢行為や迷惑行為等、犯罪行為の抑止にも有効と考えられ、メーカー各社は妙案を検討していただきたい。」
 と書いています。

 調べてみると、2005年にNTT、2007年にKDDIから、防犯ブザー付の携帯電話が発売されているようです。

 いずれもGPS機能が併設されており、販売目的は子供の誘拐を前提にしたもののようです。
 GPS機能を働かせるためには、別途通信料が必要です。
 おそらく、両者の音に共通点はないものと思われ、仮にブザーが鳴らされても何の音か市民が確認できないようでは意味がありません。

 危険や迷惑行為にさらされた時に、弱者が自分の身を守る方法は、他者への伝達しか手段はありません。
 <共通認識の音>が発せられない限り、防犯の役には立たないと感じます。
 私達は、「パトカーの音。」や、「救急車の音。」、「消防車の音」を、誰もが認識しているからこそ、その音を耳にすることで、何があったのかを推測し、知ることができます。

 個人の<危険伝達システム>にも同じ事が言えて、どの音が助けを求めている音か共通認識がなければ、誰も行動に移すことはできないでしょう。

 行動といっても、
 個人ができる行動は、犯罪者捕獲機関への伝達が主になるでしょう。

 電車内の発信では、車内の乗客と連動し、車掌への連絡。
 (ただし、車掌の安全確保のための対策も考慮しなければなりません。)

 街中や隣人宅からの発信には、110番通報。
 (悪戯音に対しても当面は出動し、悪戯音に対して指導。)

 そのようにして、市民が音に慣れる必要があるでしょう。
 なぜなら、音に慣れなければ、抑止効果を得られないからです。
 音=通報→即時の出動。
 この連携が上手く機能しなければ、弱者の取って、<危険伝達システム>に、何の期待も持てないからです。

 北陸線の電車内事件の場合は、同座席に並んで座る男女の場合、知り合いなのか、他人なのかを判断する材料がなければどのように行動してよいのか私でも悩むと思います。
 明らかな悲鳴や拒絶姿勢を目にしない限りは、車内の通報ブザーに手を掛けて良いものか迷うと思います。
 ただし、こうした犯罪の場合は蛇に睨まれた蛙の例えのように、身体が凍りつき言われたままになってしまうのが常で、暴行の後に勇気を出して申告するか、泣き寝入りするかの選択に心身とも疲労してしまいます。

 仮に、防犯ブザーを所有していてもアクションを起こせないかもしれません。
 しかし、すべての市民が認知した共通の<ヘルプ音>を耳にすれば行動は起こしやすいでしょう。
 また、痴漢行為に対しても被害者が声を出した場合、名指しされた犯人が逆上するリスクに対し、音に反応した市民が目をやるだけで加害者に対する抑止になると感じます。
 「誰かに助けて欲しい瞬間」は、誰にでも経験があるはずです。
 例えば山菜取りで山で道に迷った時や、熱中症で立っていられない状況になった時など、色々と思い当たることがあると感じます。
 キッチンで突然フライパンが燃え出した時でも良いのです。
 些細なことでも連絡して助け合うシステムがあれば、誰もが心強いと感じます。

 個人が所有する、
 <危険伝達システム=携帯電話に常備される防犯ブザー>は、他者からの犯罪行為や、迷惑行為だけではなく、高齢者の身体の異常や、災害救助にも大きな役割を果すと感じます。

 ただし、そのシステムが認知されるには、すべての機関の足並みをそろえる必要がありますし、どのように音を発信するのが効率的かの意見をまとめる必要があるでしょう。
 また、携帯電話についての常備化とともに、安価の防犯ブザー機能のみの機器に対しても共通の発信音にする必要があるでしょう。
 どれほどの効果があるかは分かりませんが、共通認識を作ることが犯罪の抑止となると考えます。

 
*現在の問題点は、下記リンク先で検討されていますのでご覧ください。
  特に機能アンケートは、段階的な音量等、改善すべき点に注目してください。

携帯電話の防犯ブザー機能:アンケート
http://news.cybozu.net/myvoice/10103/index.html

防犯ブザー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%B2%E7%8A%AF%E3%83%96%E3%82%B6%E3%83%BC

<KDDIの機能概略。>

防犯ブザーを鳴らした場合には、自動的に端末のカメラで写真を撮影、登録先の携帯電話に電話を発信する。
その後、端末の位置を1分間隔で記録し、専用サーバーに送信。
登録した携帯電話に位置確認用のURLと共に写真をメールで送信する。
位置情報はパソコンからも確認できる。


<NTTドコモの機能概略。>

防犯ブザーのスイッチは背面にあら、スイッチ部に付けたストラップを引くなどすると、100dBの大音量ブザーが鳴ると同時に緊急事態の発生と位置情報を通知する。
特徴の中でも重要な“防犯ブザー連動機能”と“電源OFF連動機能”は、内蔵GPSと通信サービスを連携させて、緊急事態発生時には端末の現在位置を、保護者の携帯電話に自動通知することができる。
また犯罪者側が携帯電話の電源を切る可能性を想定し、パスワードを入力せずに電源を切った場合は、電源オフ直後と指定された時間ごとに、自動で現在位置を通報できる。
バッテリーを外される可能性も考慮し、内蔵バッテリーは特殊なネジで固定されており、簡単には取り外せなくなっている。

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アイヌ民族地位向上決議/国会で全会一致( 2008年6月6日 )

2008-06-06 22:30:40 | 政治・社会・時事

 夜のニュースを見ていたら、大きなニュースが入っていたので記入します。

 歴史認識を変えるこの決議は、日本史上重大な事項として、この日の主要:ウェブ・ニュースの記事をそのまま転載することにしました。
 洞爺湖サミットによる世界の注目が、このような重大な決議を引き出したのだとしたら(あるいは、サミットが行われていなければ・・・、)日本の政治の課題は、まだ多くの闇の部分があるのだと認識すべきかも知れません。
 国内に於ける民族問題があることに驚く方も多いと思われます。
 北の問題と、南の問題。
 先住と国土の問題は、全ての国にとって、共通の課題であることに目を向ける機会になればと思います。
 このニュースを場末の扱いにせず、トップ・ニュースとして国民に問う社会の実現こそが、国際認識を理解する近道になると感じます。
 ただし、国内においては、現在のあらゆる差別意識が、おそらく歴史上の民族への迫害の事実とは異なる時代変化の流れの中にあると信じたいと思います。

 民族の優劣はありません。
 あるのは、環境格差と教育格差に過ぎない。
 私は、そう信じています。


 アイヌ民族:先住民族認定を求める決議(全文)

 参院本会議で6日採択された、
 「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」の全文。

 昨年9月、国連において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が、我が国も賛成する中で採択された。
 これはアイヌ民族の長年の悲願を映したものであり、同時に、その趣旨を体して具体的な行動をとることが、国連人権条約監視機関から我が国に求められている。
 我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない。
 全(すべ)ての先住民族が、名誉と尊厳を保持し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは、国際社会の潮流であり、また、こうした国際的な価値観を共有することは、我が国が21世紀の国際社会をリードしていくためにも不可欠である。
 特に本年7月に環境サミットとも言われるG8サミットが、自然との共生を根幹とするアイヌ民族先住の地、北海道で開催されることは、誠に意義深い。
 政府は、これを機に次の施策を早急に講じるべきである。
 1 政府は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を踏まえ、アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。
 2 政府は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されたことを機に、同宣言における関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組むこと。
 右決議する。(毎日新聞 2008年6月6日 北海道夕刊)


 「アイヌ民族地位向上決議」、国会で採択

 国会は6日の衆参両院本会議でアイヌ民族を独自の宗教や文化を保持する日本の先住民族と位置づけ、地位の向上に総合的施策を講じるよう求めた決議を全会一致で採択した。
 アイヌ民族に関する国会決議は初めて。
 政府は近くアイヌ民族の地位向上策を検討する有識者懇談会を設置する方針だ。
 決議は「多数のアイヌの人々が差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を受け止めなければいけない」とかつての同化政策などへの反省を明記した。昨年の国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」を踏まえ、超党派の北海道関係国会議員がまとめた。( NIKKEI NET 14:02)


 「アイヌは先住民族」と認定…官房長官談話

 政府は6日、国会が「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を採択したことを受け、「アイヌ民族を先住民族と認識する」とした官房長官談話を発表し、初めてアイヌ民族を先住民族と認定した。
 官房長官談話では「アイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識の下、総合的施策の確立に取り組む所存だ」と明記した。
 また談話は、アイヌ民族の権利や施策のあり方を審議する有識者懇談会の設置を検討するとしている。
 懇談会は官房長官の私的諮問機関とし、メンバーは北海道の高橋はるみ知事を含め7人前後とする方向だ。
 町村長官は同日夕の記者会見で、懇談会について、「先住民族の権利に関する国連宣言を参考にしながら、今後どのようなアイヌ政策を展開するかを考えてもらう」と語った。(2008年6月6日20時20分  読売新聞)


 「アイヌの人々は先住民族」官房長官、決議受け表明

 アイヌ民族を先住民族として認め、関連する政策をさらに推進するよう政府に求める国会決議が、6日の衆参両院本会議で全会一致で可決、採択された。
  町村官房長官は決議を受けて所信を表明し、アイヌ民族について「先住民族」との認識を表明した。
 町村官房長官は「アイヌの人々が日本列島の北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識のもと、国連宣言における関連条項を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む」と述べた。
 政府は96年の有識者懇談会報告書でアイヌ民族の先住性と民族性は認めた。だが、「先住民族」の表現は、定義がはっきりしないなどとして使ってこなかった。昨年9月に日本も賛成して国連で採択された「先住民族の権利に関する宣言」では、先祖伝来の土地の権利など幅広い権利を認めており、明確に先住民族と認めた場合、土地補償などの権利の主張が頻発しかねないとの懸念があるためだ。

 決議は、
(1)アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認める
(2)高いレベルで有識者の意見を聴き、アイヌ政策をさらに推進する。
 の2点を政府に求めており、町村氏はこの決議文を引用する形で、「先住民族」と言及した。
 ただ、この発言がどの程度、アイヌ民族の権利の保障につながるかは不透明。
 政府関係者は町村氏の発言について政府方針の転換ではないと説明している。
 町村長官は、決議文で多数のアイヌの人々が「我が国が近代化する過程において、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされた」とした部分について「政府として改めてこれを厳粛に受け止めたい」と語った。政府は6日午後、官房長官談話を発表し、アイヌ民族の尊厳回復のあり方を検討する有識者会議を新設し、アイヌ政策に取り組むことを表明する方針だ。(稲垣直人)

2008年06月06日13時27分 アサヒ・コム


 アイヌ民族:国会決議採択 
 「苦難」歴史かみしめ 民族衣装で傍聴「大きな一歩」

 ◇「アイヌ、先祖も涙」

 アイヌ民族の歴史に新たな1ページが加わった。
 6日、先住民族認定を政府に求める国会決議が参院で採択された瞬間、色とりどりの民族衣装をまとって傍聴していたアイヌの人たちは笑顔に包まれ、苦難の歴史と未来への希望をかみしめるように目頭を押さえた。
 多くのアイヌが住む道内からも「大きな一歩」と評価する声が上がる一方、いまだに正式な認定に踏み切らない政府への不満や警戒感も広がった。
 【千々部一好、金子淳、高山純二】

 午前10時に開会した参院本会議の傍聴席では、北海道ウタリ協会や首都圏在住の関東ウタリ会のメンバーら約20人が民族衣装を着て審議を見守った。
 決議案が全会派一致で採択されると、道ウタリ協会の加藤忠理事長(69)らは仲間と一緒に握手を交わし、喜びを分かち合った。
 加藤理事長は「本当に感動した。涙が出て止まらなかったが、この涙は苦しい歴史を強いられてきた先祖のもので、これからも頑張っていきたい」と興奮した様子で話した。
 ユーカラ(叙事詩)の研究・伝承に取り組む滝地良子さん(56)は釧路管内白糠町の勤務先で決議の朗報を聞き「祖父母の時代から求めていたことだから、すごくうれしい」。
 中村斎・アイヌ民族博物館館長も「これまでのアイヌの苦悩は計り知れない。望ましい決議になった」と評価した。
 アイヌ初の国会議員となった故・萱野茂さんの次男志朗さん(50)は「かつて父は『私は苗木を植える。育てるのは後進の人たちだ』と言っていた。少しだけど、苗木が育っている。父もいい方向に向かっていると思うんじゃないかな」と話した。
 評価と歓迎の声の一方で、今後の政府の取り組みには注文の声が相次いだ。先住民族としての認定や具体的な権利確立は、政府が設置する「アイヌ有識者会議」(仮称)で議論されることになる。
 日高管内平取町の元町議、貝沢薫さん(71)は「国会決議が骨抜きにならないよう、政府の動きを注意深く見守りたい。今回のチャンスを逃したら、永久にアイヌの権利はなくなってしまう」と警戒する。萱野志朗さんも「このタイミングで決議されるのは北海道洞爺湖サミットがあるからだろう。『ジェスチャー』で終わったら困る」とクギを刺した。(毎日新聞 2008年6月6日 北海道夕刊)


==============

 ■解説 ◇国連宣言の「外圧」で動く

 アイヌの先住民族認定へ向け、ようやく国会の意思が一つになった。
 昨年9月に国連で採択された先住民族の権利宣言、7月にアイヌの先住地・北海道で開かれるサミット(主要国首脳会議)という「外圧」が国会を動かしたとも言える。
 今後は政府がサミットまでに先住民族認定に踏み切るかが焦点となる。
 決議の動きは国連宣言を受けて始まった。
 自民党の今津寛衆院議員や民主党の鳩山由紀夫幹事長ら北海道選出議員が中心となり、7月の北海道洞爺湖サミットまでに先住民族認定を実現しようと超党派の議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」を3月に結成し、政府と水面下で調整しながら決議の文案をまとめた。
 ただ、政府・自民党内には過去のアイヌ政策を否定することへの抵抗感や、先住権として土地などの財産権、国会議席の民族枠などの政治的権利を要求されることへの警戒感が強い。
 同会が作成した当初の原案にはアイヌの歴史に関し、
 「労働力として拘束、収奪された」
 「『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」
 などの記述があったが、自民党内の反発で削除された経緯もある。
 国連宣言は土地権や自決権、教育権など、先住民族の権利として46項目を挙げている。
 政府は、有識者会議で具体的な先住権の中身を検討することになるが、国連宣言に賛成しながらアイヌの先住権を認めない「内と外の使い分け」はもう許されない。
 【毎日新聞:千々部一好】

 ◇アイヌ民族

 北海道や千島列島などに住む独自の文化、言語を持つ民族。
 かつては主に狩猟や山菜の採取に従事し、明治政府の同化政策で人口が急減したと言われている。
 北海道庁が06年に行った調査では、道内に2万3782人が居住。
 北海道ウタリ協会は1946年に「北海道アイヌ協会」として発足したが、アイヌ語で「人」を意味する「アイヌ」の呼称は差別された歴史を思い起こすとして、「同胞」を意味する「ウタリ」を使ってきた。
 拒否感が薄れたことなどから、来年4月から名称を「北海道アイヌ協会」に変更する。

 

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56年ぶりの「みなし否決」と、暫定税率再可決。

2008-04-30 22:07:40 | 政治・社会・時事

 
 ガソリンにかかる揮発油税の暫定税率を復活させる税制改正法案は、2008年4月30日午後、衆議院での本会議場で、ガソリン税の暫定税率維持を盛り込んだ
<租税特別措置法改正案>を、与党の3分の2以上の賛成多数で再可決しました。

 衆議院本会議では、民主党、社民党、国民新党は欠席。
 共産党は出席して反対票を投じました。
 よって、ガソリン税の暫定税率維持法案の衆議院本会議での投票結果は、
 賛成:337票、反対:12票でした。
 
 これにより、暫定税率は5月1日に、1カ月ぶりに復活することによって、
 4月1日より値下げしていたガソリン価格は、1ℓ当たり約25円値上げされます。

 同改正案は、2月29日の衆議員本会議で一度は可決しましたが、参議院では多数を占める野党からの審議拒否により、法案審議がいっこうに進みませんでした。
 これは、期限切れを狙った野党の政策で、このことにより、周知のガソリン価格の値下げが実行されました。
 仮に、野党が3月31日までに参議院で法案を否決してしまえば、
 即日中に、与党が多数を占める衆議院での再議決をされるために、
 審議を拒否することで時間を稼ぎ、ガソリン価格を一度下げることが、野党の狙いでした。
 参議院での審議が進まない以上は、政府与党にも手を出すことができず、今日までが過ぎていきました。
 (ねじれ国会。)


 そして今日、政府は憲法59条の規定(第4項)により、衆議院での議決から60日間たった4月29日以降、参院での可否が示されなかったことにより、「みなし否決」であると判断し、再び衆議員での再議決の手続きが取りました。

 これが、今回の騒動のあらましです。

 「みなし否決」を経て、衆院再可決による法案の成立は、1952年の<国立病院特別会計所属資産譲渡特別措置法>以来、56年ぶり2例目となるそうです。

 今後の展開としては、
 政府、与党は、道路特定財源を今後10年間維持する、
 道路整備費財源特例法改正案を5月12日に再可決する方針を示しています。
 (ただし、福田総理は、1年後、2009年4月1日をメドに、道路特定財源を一般財源化するための姿勢を明言しています。)

 民主党は、5月12日の政府与党の出方を確認後に、福田首相への、問責決議案を参議院に提出し、対抗するとの見方が有力です。

 「ガソリン価格の値上げに反対する声が多いということは、十分承知しております。しかし、一方で医療や少子化対策など社会福祉の充実を求める切実な声もある中で、果たして現在の歳入不足の状態をそのまま放置してもよいものでしょうか?国全体の財政をあずかり、国民の福祉、地方の景気にも責任を持つ私としては、歳入不足が継続するという無責任な状態を解消することは必要であると判断し、本日(2008年4月30日)、衆議院において歳入法案を可決し成立させることといたしました。」
 (福田総理の弁:4月30日、午後6時半頃)


資料/日本国憲法第59条(法律案の議決、衆議院の優位)

 第一項:法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

 第二項:衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
 
 第三項:前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
 
 第四項:参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる(みなし否決。)

 *以上、今日のニュースのみを記載します。
   できる限り分かりやすく書いたつもりですが如何でしょうか?


ブログ内の関連記事へのリンク。

4月 2日 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/f644cff7723fc8d5f9a82cd862a8d635

3月30日 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/2ed7d2ca9acec34bb05cc9903bd8ab96

1月25日 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/4d5fd825c6733d352f3b10c38a8c6593

 

コメント (2)
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暫定税率再可決の時期と、その本質。 ~mimifukuの戯言。

2008-04-02 23:00:32 | 政治・社会・時事

 
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/2ed7d2ca9acec34bb05cc9903bd8ab96 ←続き。

 暫定税率について、一昨日の続きを少しだけ、思いつくままに。

 一昨日は、4月末にはガソリン価格が元に戻ると書きましたが、ちょっと待てよ?

 4月29日からは、国民にとってのビッグ・イベント<ゴールデン・ウィーク>が始まります。
 自民党は、4月末に衆議院を通過させる予定のようですが、それでは民主党の思う壺?
 ガソリンが値下げされるのは、各スタンドの思惑もあり、足並みが揃わなかったことで混乱はしませんでした。
 
 しかし、暫定税率法案の再可決の翌日から、いっせいに価格を元の高い値段に戻せば、混乱は必至です。
 それが、ゴールデン・ウィーク前であれば、供給不足が起こりかねない状況になるかも知れません。
 ガソリン価格が安くなる時は、タンクに余裕のある状態の時に給油をあせる必要はありませんが、価格が高くなるとなれば、仮に10ℓの不足でも満タンにしたくなるのが人情でしょう。
 明日から、価格が高くなると分かっていれば、その前日にガソリン・スタンドに長蛇の列が並ぶかも知れません。
 ゴールデン・ウィークを前にして、供給不足が起きることは、どうしても避けてください。

 60日ルールにこだわって、4月末に法案を可決するよりも、自民党としては、国民の混乱回避のために、5月7日前後にずらした方が、民主党の戦略(思惑)をかわし易いような気がします。

 この先、税収についての事務処理がどのような問題をもたらすのかを予想することはできませんが、税収不足を36~37日にした方が、一年365日の10%として計算できるので、事務処理がしやすいはずです。(考えすぎのような気もしますが。)

 自民党が、この問題で民主党の抵抗を最小限に留めたければ、混乱無く、ガソリン価格を元の状態に戻す戦略と、国民に対して「採決と実施の期日。」の伝達は必須です。
 また、強行採決の際に、暫定期間の期日を10年か5年か、それ以下か。
 できる限り、短い期間で法案を可決し、本当に必要な歳出について再度検討すべきでしょうし、今後の課題と自民党の方針を民主党に提示すべきです。
 

 テレビ報道では、ガソリンの値下げばかりを取り上げ、本来のこの問題の本質については、あまり語られていないように感じます。

 暫定税率失効による道路特定財源の不足と、
 減額となる地方への国庫からの補助金。 
 地方行政の歳入不足と道路整備にかかる交付金の凍結。
 国からの歳入の欠陥を補うための、地方財政による一般財源の確保。

 1ヶ月位だからと比較的軽く考えられていますが、 借金まみれのこの国で、1ヵ月分の歳入不足をどのように補填するかを考えることは並大抵のことではありません。

 本当に道路が必要なのかは、確かに考えなければなりません。
 余り、問題になりませんが地方の道路事業と道路整備には、用地買収が付き物です。
 新しい用地を必要とする道路に、私は疑問を持っています。
 道路の補修や用地買収が完了した道路は優先的にすべきでしょう。
 特に、既存の道路の安全性の確保については、充分に検討すべきでしょう。
 公共工事の事業部分は、雇用の確保にもなりますし、政治手法として誤りで無いと感じています。
 しかし、土地の買収に掛かる、特定の人への多額な財源使用には疑問を感じています。

 道路整備のことを深慮しますと、今後の社会において、<日本での人口の減少>や、<地球温暖化対策>に相応しい、効率の良い自動車製造が日本の責務であると仮定するなら、大規模道路の建設に疑問を抱くのは当然のことです。

 民主党の行動は、私の目には円滑な社会行動に対しての暴挙に見えますが、暫定税率と道路特定財源という、時代の変化の中で根拠もなく守られてきた法案に、一石を投じたことは、国民にとっては快挙なのかも知れません。

 ただし、性急な行動は、必ず被害者を出しますし、そうした配慮のない政党に政権をとって欲しくは無いと感じます。

 な~んてね。
 今日はこの位で・・・。

 

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暫定税率期限切についての所感。 ~3月30日、最近の話題を少しだけ。

2008-03-30 21:03:53 | 政治・社会・時事

 ず~っと、クラシック音楽の話題ばかりに集中してしまって・・・。
 今日は、少し気分を変えて。

 3月の17~18日東京にいたのですが、心地の良い暖かさで、桜もあと少しと思っていたら、今日あたり上野公園は、満開のようで。
 上野公園の満開から、5~8日後に京都の桜(ソメイヨシノ)は満開になります。
 来週の土日が見頃でしょうか?  ~行きたいな。無理だろうな?
 その約5~8日後が、大阪造幣局の桜(多種多様な)が、見頃を迎えます。
 今年も多くの人で賑わうといいですね。

 暫定税率の行方は、どのようになるのでしょうか。
 いろいろ言われていますけれど、福田さんは、辛抱強く対処していると思います。
 その、辛抱強さが、指導力の弱さにうつるのが残念です。

 4月1日から、ガソリンが安くなっても4月末頃の、衆議院での強行採決で5月のGW(ゴールデン・ウィーク)前には元の価格に戻ることが確実なのに・・・。

 民主党も意固地にならず、暫定の期限を短期間(2年程度)にして、審議を今後も続けるといった手法の方が混乱は無いと思うのですが。
 強行採決で5~10年を可決されるよりは、審議継続で1~3年の方が、民主党にとって自分達の主張が受け入れやすいような気がします。
 
 この1ヶ月間の中で、税収が不足する地方自治体の中で、予定している公共事業の一部が止まってしまった場合に起きる事態は、深刻なものになるかも知れません。
 準備のない中で、アテにしていた事業収入が不足することで、零細企業の舗装会社や、下請け業者が不渡りを出す可能性はないのでしょうか?

 勿論、ガソリン小売業種の価格設定も過熱するでしょう。
 廉価に廉価の価格競争。
 企業収益が良くなるわけがありません。

 民間人にとっては、ガソリン価格が安くなるのは嬉しいことですが、専業従事者の方々(及びその社員とご家族)にとって、憂鬱を越えて死活問題になるでしょう。
 さらに、税収に係わる公務員の方々はもちろん、一般会計や道路の事業計画を立てている部署は大変な混乱に陥るのではないかと心配しています。

 民主党のやろうとしていることは、旧社会党の「代案を持たず、何でも反対。」に見えるのは私だけなのでしょうか。
 一度ガソリンを安くして、4月末の強行採決に党を挙げて自民党の横暴を国民に問うのが、民主党の戦略でしょうが、この見え見えの手法に諸手を挙げて賛同する国民はどのくらいいるのか疑問です。

 福田さんの手法としては、暫定税率の期限切れ起きたとしても、4月末までには、速やかに衆議院で可決する旨をハッキリと国民に向かって説明した上で、やむを得ず強行採決に臨む姿勢を示すべきです。

 前回の安倍さんの時のように、数の力でろくに審議もせずに強行採決したのとは違い、今の福田さんは、我慢に我慢して、駄々っ子のような民主党の意見に耳を傾けている姿勢は、評価されると感じます。

 安倍さんのように「またかよ。」って思わせない説明をして、
 「これが自民党の方針です。」と、その必要性を国民に説くべきです。
 その説明の上での強行採決に下す国民の心証は、安倍政権の時とは違うと思います。
 真面目な対応だけでは、国民の心を動かすことはできません。
 時には、強い姿勢も見せなければ優柔不断で信用できない総理の印象に終わってしまうでしょう。

 民主党の出方としては、道路特定財源については、今後も審議を継続することで国民の理解を求め、期間短縮の主張を代案とし採決に望み、改めて今後の道路特定財源のあり方を国民に問う、といった手法で望むほうが、政党として真摯な態度にうつると考えますが如何でしょうか?
 道路特定財源に対する国民の不信感は確かですし、修正案を提示して審議を重ねることが民主党にとって最良の手段に思えますが、掲げた拳を下ろすことは難しそうですね。

 あと一日です。
 まるで、ゼネストの一日前のように感じます。


 ・・・でも、1ヶ月分の歳入不足と、専業従事者の方々の生活圏の保障の手段を民主党が提示し、責任を持って対応できるのなら話は別ですが。
 財政不足の中の財政。
 1ヶ月間だけ大勢の消費者に対してガソリンが安くなることで支払う代償がどれだけ重いものになるのか?
 それを考えることも政治です。

 そんな妙案はありますか?


 過去の記事へのリンク。
 ~暫定税率の行方~
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/4d5fd825c6733d352f3b10c38a8c6593

 

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