只今FM放送ではバルトークのバイオリン協奏曲第2番。
五嶋みどりさんのバイオリンで3月18日にフランスで行われた、
東日本大震災のためのチャリティ・コンサートのライブ音源。
今週のFMクラシック・アワーはチャリティ・コンサート特集。
【Part1】
昨晩に続き今夜も美術の話から。
今夜9時からのBSプレミアムでは、
*知られざる在外秘宝:発見された桃山のジャパン
~スペイン・修道院で守られる蒔絵~
近年スペインの教会や修道院では、
日本で作られた華麗な漆の箱が次々と発見されている。
箱は遥か400年前に海を渡ったスペイン人が、
天下人の信長や秀吉と出会い、
彼らが愛する漆に魅せられたことから生まれたとも考えられている。
またフランス革命で断頭台に消えた王妃マリー・アントワネットが、
最期まで守り抜こうとした黄金の漆器やピアノの黒と漆との、
驚くべき関係などヨーロッパの人を魅了してきた漆の物語をひもとく。
以前に当ブログでは、
Japan(ジャパン)の語源を探る旅。
の中で、
蒔絵(=漆工芸)は、
日本に於ける最初の輸出産業品として大航海時代のヨーロッパに紹介され、
為替や貨幣が確立されていない時代の世界貿易の交換品(物々交換)として、
交換され世界へ流通していく。
オリジナリティの高い日本の精密細工技術は、
大航海時代以後のヨーロッパでも変わらず高く評価され
“日本の産業技術に対する高い信頼と評価は、
その後の、
世界の工場としての日本の未来を暗示していた”
のかも知れない。
情報のない当時(桃山~明治)の国際社会の中で、
地名や人種としての日本(Japan)に対する認識よりも、
中国(China=チャイナ)の陶器同様に、
西欧人にとっての輸入産業品(としての日本の技術)こそが、
Japanであったと推測することも容易だ。
と文字にしている。
織田信長の時代。
ポルトガルから種子島(鉄砲)が入ってきたのと同時期に、
日本からは日本の調度・工芸品としての漆工芸品(ジャパン)が、
日本にとっての重要な貿易品であった事実を窺い知ることができる。
また、
20世紀初頭の万国博覧会でも日本の工芸品(漆・彫金・磁器等)は、
ヨーロッパ人の趣向を刺激し多くの模倣が生まれた。
日本人なら誰もが知るルイヴィトンの“モノグラム”もまた、
日本の工芸品でよく使用される模様であることは有名だ。
東日本大震災を経験することで国家の意気も消沈し、
今後も起こるだろう大地震への不安も拭い切れず、
国際社会の中での日本の弱体化を近々よく耳にする。
“どうすれば日本が世界の一等国(先進国)として生き残る事ができるか?”
の答えは、
*世界が交換したいと感じる優秀で安全な商品を作り続ける努力。
であり、
そのためには、
*磨きぬかれた職人技術の堅持&絶え間ない新しい発想への模索。
その2点を守る続くける事ができれば、
今後どのような困難に見舞われようとも、
日本は世界の一等国であり続けることができる。
しかし、
“世界中が欲しいと願う憧れの製品”
を目指すべき世界の優等生・日本が、
“安価で安直な大衆消費財”
を
アジア諸国からの製品輸入を率先した国家戦略は、
グローバル経済推進の旗頭の下に行われた。
さらに、
官僚機構の誘導で行われたと考えられる、
*一極集中(=地方経済への黒船進出)と、
*安価大量販売(=コスト削減努力と合理化)は、
日本の税収悪化(=儲からないシステムの構築)と、
取り返しのつかない借金を国民に背負わせた。
1990年以後の凋落の本当の原因は何か?
そんなことも少しずつ見直されなければならない。
【Part2】
午後9時までにブログを閉じたいので手短に。
ビンラディン氏(54歳)の殺害をめぐるアメリカ国民の歓喜は、
映像を通して世界から顰蹙(ひんしゅく)を買ったばかりか、
イスラム教徒の怒りやアルカイダ組織の反発を生んだようだ。
日本人が同じ立場ならどのような行動をとっただろうか?
例えば新宿副都心に自国の旅客機が2機突っ込んでいたとしたら?
一部の人達は喜びながら繁華街を闊歩したかもしれない。
しかし、
凡その日本人は逮捕・拘留(=真実の追究)を望むだろう。
アメリカ側の言い分を紙面・Webなどで確認すると、
<ビンラディン容疑者・殺害命令の理由>
*逮捕拘束では人質交換のための自国民が誘拐される不安。
*裁判にかければ多額の費用がかかるための財政上(軽減)の問題。
*ビンラディン容疑者の主張(アメリカ批判)が世界に報道される懸念。
また、
<ビンラディン氏を水葬にした理由>
*ビンラディン氏の遺体はイスラム諸国に引き受け手がなかった。
*土葬することで墓地が“テロリストの聖地”になることへの懸念。
以上の理由がアメリカ政府の真意として伝わり、
国益や国民の安全を守る上で理解もできる。
しかし、
アメリカ国民の感情を優先した殺害計画(選挙利用との見方も)は、
イスラム諸国(イスラム教徒)の恨みを誘い、
混迷する中東情勢や北アフリカ情勢においてのデメリット。
せめて、
アメリカ国民の感情表現に、
死者(容疑者)への複雑な思いや、
テロの犠牲者への哀悼など、
沈痛な映像が含まれていれば、
世界の見方も変わったはず。
報道の正義。
人の死を歓喜する国民感情を、
世界に配信したアメリカのマスコミ報道。
この国(日本)も、
震災報道や原発報道など、
世界が注目するニュースに於いて、
自国が不利になるような自虐的報道の正義。
正しい事を伝える報道の正義(姿勢)は貫くべきだが、
正しい事が一方通行(=感情論)にならないための配慮。
ビンラディン氏の死に学ぶ報道機関の配慮。
テレビ画面の映像は新しい通信技術の発展により、
一瞬で(都合の良いように編集され)世界に配信される。
ビンラディン氏の死に学ぶ報道機関の配慮。
世界が感じる国家・国民・国土のイメージ。。
東日本大震災で“世界が伝えた日本”は、
日本への初期同情(=津波被害への支援)と、
その後の安全への不信(=原発事故への疑惑)は、
驚くほどの観光客の激減や日本パッシングを生んだ。
企業が消費者に向けてのイメージ戦略を一番に考えるように、
“高速情報化社会での国家のイメージ戦略の創造”
ビンラディン氏の死に学ぶ報道機関の配慮。
それは、
日本が世界の一等国であり続けるためのヒント。
ただし繰り返しになるが、
正しい事を伝える報道の正義(姿勢)は貫くべきであり、
何人も言論の自由を侵すことはできない。
そのためにも、
“正しい事が一方通行(思い込み)にならないための配慮”
時間がオーバーしたが、
今日はここまで。