*この記事は、2008年の7月27日~28日に北陸から近畿で起きた、
想定外の天候変化についての情報を掲載しています。
掲載写真は、ウェザーニュース携帯サイトの転載です。
<被害状況:豪雨>
<mimifukuの考え。>
台風8号の記事を書きながら日本の天気を気にしてはいたが、このような特殊な気象状況になることを予測して人はいないのではないかと思う。
7月28日の朝6時ごろ雨音の強さで目を覚ました。
ただし、私の住む石川県加賀南部では強い雨ではあったが激しい雨ではなく何気なしに携帯電話に登録してある雨雲レーダー(ウェザー・ニュース:有料)に目をやった。
金沢のほうで強い雨が降っているのは確認できるが(写真:金沢1)、別段気にも留めなかった。
金沢写真1(6:00)の細い線上に長く延びる雨雲は、北陸では梅雨の末期によく見られる典型的な豪雨をもたらす雨雲の形なのだが、写真2(7:30)では、金沢の雨雲は次第に南(福井県側)へと南下しているのが分かる。
この長く延びる線上の前線(雨雲)が同じ所に停滞すると、平成16年7月に起きた福井豪雨や新潟豪雨のような被害が起きることは知られている。
しかし、今回の場合は1~2時間ほどで前線は南下しており、個人的見解では被害は出ないと思っていた。
だが予想に反して、スポット的(局地的)であれ金沢市内で、時間雨量114ミリもの雨が、2時間に渡って降る事を、上記の雨雲レーダーから推測することは難しいと考える。
ただし、金沢で降ったような局地的な大雨が、前線の移動する地域で、同じように降る可能性を予測することはできるだろう。
例えば敦賀の写真1(12:00)を見ていただければ分かるが、敦賀湾に向かって強い雨雲が近づいているのが確認できると思う。
この雨雲こそが、楽しいはずのイベントを大惨事に変えた雨雲(積乱雲)なのだ。
注:この敦賀のレーダーは、金沢の写真の前日7月27日のもので、事故は12時50分頃に起きた。
敦賀:写真1に写る真っ赤な雨雲(時間雨量30~50ミリ)が、
写真2(13:10)では、福井県南部の山間部に到達しているのが分かる。
さらに、写真3(14:20)では、雨雲が北上したことが確認でき、この時間前後に石川県の小松市で、瞬間的に35㍍の強風を吹かせている。
雨雲レーダーでは、突風についての予測をすることは、困難だ。
前線の移動と突風との関係を関連付けるには、専門的な機関で、風が起きる仕組みの解析(気圧の変化と分析等)をしなければならないし、そうしたデータを配信している情報機関はないだろう。
ただ、<青天の霹靂>との言葉があるように、それまで快晴であったのに、突然真っ黒な雲が現れ、体感温度が低下していると感じる時は、経験的に急激な気象変化や突風が吹くと伝えられている。
しかし、突風の予測は困難にしても、雨に対してや、雷に対しては、ポケットに雨雲レーダー(携帯電話)を入れておけば、ある程度の予知ができる。
雲行きがおかしくなってきたら、まず、雨雲レーダーを確認する。
雲の大きさや、雲の移動方向を把握し、今後観測点(観測者のいる場所)にどのように雨雲が流れてくるのか?
レーダーの観察を習慣付けておけば、
大雨の可能性があることを、
少なくとも30分前には予知し、
例えば、
神戸での河川の増水による被害を予測し、
河川にいる人達に注意を促すことは、
街往く人の誰にでもできたのだ。
私が、掲載した5件の写真を保存できたのは、加賀南部でもそれなりの雨が降り出したことでチェックする習慣ができていること。
雨雲レーダーを保存し、1時間後にまたレーダーを見れば雲の動きが確認でき、比較の中で雲がどのように観測点(自分の居場所)に近づくか想定ができる。
このことから、
何らかの行事の責任者や引率者は、夏の急激な気象変化等に対して、雨雲レーダーをポケットに入れておくことが望ましいと感じる。
私が使っているものはウェザー・ニュースの有料登録(月額:105円の使用量+通信料)を使用している。
*国土交通省:無料サイト→ http://www.i.river.go.jp
~携帯でアクセス後に自分の住むエリアを決めBookmarkに登録。
ボタン1つで、写真のような情報が手に入るので、外出時には、何時間後に雨雲が近づくか確認できるので便利。
気象に強くなるには最新の情報をポッケに入れて、小まめにチェックすることをお薦めする。
それと、デジタルテレビの情報(データ放送)でも、雨雲や台風の動きが確認できるチャンネルが数多くあるのでこれも要チェック。
このブログ内で、
私が、雨雲レーダーにこだわっているのは、
(カテゴリ欄を参照:東西の雨雲レーダをクリック。)
一番信頼できる情報とは、
最新の情報を知り、
自分の力で読むこと。
真っ赤な雨雲=危険の接近を肝に銘じて素早い伝達が求められる。
つづき→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/873581235111d0180307d221ba3e0f92
*石川県
2008年7月28日(月曜日)。
北陸地方を早朝襲った強い雨の影響で、金沢市中心部を流れる浅野川が氾濫。
浅野川が氾濫したのは1952年以後、55年ぶり。
同市は午前8時50分に、川沿いに住む約2万世帯(5万人)を対象に避難指示を出した。
(避難指示解除は、同午前11時45分。)
被害としては、床上・床下浸水が565世帯にのぼった
金沢地方気象台によると、市内最大値で、時間雨量110㍉の雨量を観測。
(注)ただし、金沢市内でも100ミリ以上の雨が降ったのは、限られた空間であり金沢市の市街地の降雨量は少なく、山沿いの芝原橋付近のみが114ミリと突出。
その他の地点は、20ミリ~50ミリ程度の観測雨量になっているようだ。
この点で、テレビをはじめ、多くの大衆伝達機関の情報の曖昧さは、
スポット豪雨(局地的豪雨)の真実を伝えきれていない気がする。
<追記:8月3日夜記入>
県のまとめでは、29日午後5時現在、
全壊家屋1棟、
住宅の床上浸水が541棟、
床下浸水が2141棟
と被害が拡大した。
金沢市では、物販や飲食店などの商業施設167軒、製造業などの15軒が浸水した。
また、浅野川上流の湯涌温泉に近い県の観測地点(金沢市羽場町)では、午前6時半からの1時間降雨量が、138ミリを観測。
同日午前5時~9時の4時間では254ミリを記録している。
資料:金沢市防災情報センター
:観測雨量・日表・県央土木・7月28日を選択(期間限定)。
http://ishikawa.wni.co.jp/
*富山県
富山県も同様に28日未明からの記録的な大雨により南砺市や高岡市で150戸以上が床上・床下浸水した。
富山市八尾町の県道トンネル付近で、同日午前6時50分ごろ、土砂崩れが発生。
乗用車一台が巻き込まれ、運転者の男性が病院に搬送された。
*新潟県
28日未明から一部で局地的に激しい雨となった。
同日午前11時現在、三条市などで3戸が床上浸水し、床下浸水は同市などで計72戸に上った。
出雲崎町では土砂崩れが発生した。
新潟地方気象台によると、1時間当たりの降水量は三条市で同日午前5時に50㍉観測。
長岡市寺泊では、同5時に43㍉と観測史上最多を記録した。
*兵庫県
28日午後、近畿地方に激しい雷雨があり各地で被害が相次いだ。
神戸市灘区の都賀川が、突然の大雨により増水により遊んでいた児童・生徒の内、大人1人と児童2人の計3人が流されている。
別の場所で子ども3人と女性1人を発見したが、まもなく死亡が確認された。
<追記:8月3日夜記入>
MSN産経ニュース:2008年8月1日へのリンク。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080802/dst0808021145007-n1.htm
*上記の記事を下記に転載しました。
神戸市灘区の都賀川で発生し、5人が亡くなった水難事故で、事故発生時刻に都賀川上流の市街地で、10分間に24ミリの、短時間での局地的な豪雨を記録していたことが、国土交通省六甲砂防事務所の観測データからわかった。
都賀川の上流、六甲川近辺にある鶴甲観測地(標高約250メートル)では、同30~40分の10分間で2ミリ、40~50分の10分間には24ミリの降雨があった。
鶴甲観測地は山間部と住宅街の境目で、1時間当たり最大降雨量は、午後2時30分からの44ミリ。
1時間44ミリの降雨量は、死者・行方不明者695人を出した<昭和13年の阪神大水害>に匹敵する降雨量で、六甲砂防事務所は「山で降らず、市街地でこれほど降るのは珍しい」との見解を出している。
阪神大水害後、阪神間では雨水が短時間で川下に流れるよう護岸と河床の改修工事が進められた。
関西学院大学の室崎益輝教授は、
「勾配の急な都市型河川の付近で、局地的な大雨が降れば、水のかたまりが坂道を転げ落ちていくようなもの。都市型河川ではどこでも起こりうる。」と指摘。
▽局地的な降雨量から上昇水位を割り出す情報システムの整備。
▽退避経路の確保。
▽水害に対する防災教育。
の3点を再発防止策として挙げている。
<被害状況:突風>
*福井県
27日の午後0時50分頃、福井県敦賀市港町の金ケ崎緑地公園で開催中のイベントで、大型テントが突風にあおられて飛ばされた。
テント内にいた男性が死亡、9人が重軽傷を負った。
大型テントは約10メートル四方、高さ5.3メートル。
4張りがつながる形で設置されていた。
柱にはそれぞれ、コンクリート製の重り(約300キロ)が計16個付けられており、中では飲食店などが営業していた。
福井地方気象台によると、敦賀市ではテントが倒壊した時刻に、最大瞬間風速29.7メートルが観測された。
その他、福井県では、
越前市の草刈りの慰労会場では、テントが飛ばされ2人が軽傷。
大野市のイベント会場でもテントが飛び、1人がラーメンの汁で火傷を負った。
*石川県
27日、午後2時~3時半の間に、強風で木造の物置1棟が倒れ、同市内の住宅や納屋約70棟で瓦が飛んだり窓ガラスが割れたほか、電柱2本や、神社の灯籠が倒れるなどの被害があった。
けが人はいないという。
航空自衛隊小松基地では、最大瞬間風速35メートルを観測した。
*滋賀県
27日、彦根市の琵琶湖岸で、日本テレビ系列で放送される、「第32回鳥人間コンテスト選手権大会」の滑走台の木製床板が突風でめくれ、終了後に会場を撤去していた男性作業員3人に当たり軽症を負った。
同市では午後1時19分、最大瞬間風速21.4メートルが観測された。
*静岡県
静岡県西部で28日の昼頃に突風が発生し、浜松市浜北区でプレハブ小屋が倒れた。
また、落下した看板が、乗用車に直撃するなどして、計5人が負傷した。
クローズアップ2008:温暖化よ、やっぱりお前か?
局地に異変、気象ゲリラ。
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080730ddm003040075000c.html
*上記リンク先、毎日新聞の記事を転記。
◇豪雨、突風なぜ?急激な積乱雲の発達。
気象庁は今回の集中豪雨の原因について、
<上空の寒気>
<地表付近の暖気>
<流れ込む暖かく湿った空気>
を挙げ、「天気が突然乱れる3要素がそろっていた。」と説明する。
28日は、日本列島上空(約5000~6000メートル)に、この時期としては強い、氷点下6度以下の寒気が流れ込んでいた。
水難事故が起きた神戸市の最高気温は33度、平均湿度は80%で、地表付近は日中、夏らしい蒸し暑い日だった。
日本付近の下層(上空約1000~1500メートル)に、暖かく湿った空気をもたらしたのは、台湾付近にあった台風8号だ。
上空の寒気は重いため下降気流となり、
下層の湿った暖気は軽く上昇気流になる。
両者が混ざり合って大気が不安定になり、北陸地方西部から近畿地方を中心に積乱雲が急激に発達。
山の斜面など湿った空気が上昇しやすい地形では、局地的に1時間に100ミリに達する猛烈な豪雨となった。
日本気象協会によると、スーパーコンピューターで20~30キロ四方ごとに気象状況を把握する気象庁のシステムでも予測できないほど、狭い地域での異変が相次いだという。
この時期は例年、太平洋高気圧の張り出しが強く、北からの寒気は南下しにくい。
◇インド洋高温影響も。
現在、地球温暖化の影響と見られるインド洋の海水温が全体的に高く、
インド洋東部では海水温が下がり、
西部(アフリカ東方沖)で上昇する、
「ダイポールモード現象」が、今夏で3年連続で発生している。
この現象は、太平洋赤道域から南米にかけての海水温が高くなり、世界中に異常気象をもたらすエルニーニョ現象と同様、地球温暖化との関連が指摘されている。
この現象が起きると、日本では西日本が猛暑になるほか、世界各地に大雨や干ばつなどをもたらすことが知られている。
また、温暖化が進むことで、北極海の海氷が減少すれば、東アジアに寒気が入り込みやすくなるとの研究もある。
◇「親水護岸」裏目に。(神戸)
4人が死亡した都賀川は全長1・8キロ。
普段の水の深さは数十センチで、子供たちの格好の遊び場だった。
国土交通省によると、高度成長期ごろまでは、
「危険な河川には人を近付かせない」との考え方が主流だった。
しかし、河川行政への理解を深めてもらうことなどを目的に、国は80年代以降、水辺に遊歩道を整備したり、水遊びできる環境を整えたりし始めた。
事故は、こうした施策の盲点を突いたともいえる。
親水的な考え方とは別に、国と都道府県は水防法に基づき、管理河川を2種類に指定しはんらん対策を行う。
1、「洪水予報河川」は、雨量に基づいた増水予測を事前算定しており、気象庁の予報を基に水位変化を予測する。
2、「水位情報周知河川」は、予測はできないが観測水位を基に危険性を判断する。
いずれも避難判断水位(特別警戒水位)を設定しており、国や自治体による避難指示・勧告の目安となっている。
国交省河川局によると、6月末現在、
「洪水予報河川」は、計333本。
「水位情報周知河川」は、計1237本。
浅野川、都賀川は共に水位情報周知河川だ。
都賀川の水難は、避難指示や勧告を出す間もなく起きた。
同局河川計画課の担当者は、
「流域すべての監視は不可能だが、事故の教訓を少しでも生かしたい」と話す。
*局地的な大雨に対する気象庁の対処について。
<2008年8月14日発表>
http://www.jma.go.jp/jma/press/0808/14a/ooame080814.html