身の程知らずの独り言

音楽的にも文学的にもダメダメな♀が、身の程もわきまえず、好き勝手な戯言(主に、中島みゆきさん)を記しております。

みゆきさんの声、その47「予感」B面、「あの娘」、「波の上」

2019-06-17 01:05:54 | 中島みゆきさん(声)
お久しぶりです。f(^_^;

世間は、「糸」の映画化で盛り上がっている時に、"何だ?"と思われた方もいらっしゃると思います。

逆に、タイトルだけで、ピンとくる方もいらっしゃるかと思います。

タイトルにあげた曲は全て、昨年(2018.5.2)ご逝去された井上堯之氏がアレンジされた楽曲です。

その井上堯之氏ご逝去間もない
2018年5月6日の月イチ最後のリクエストは、井上氏アレンジの
「ファイト!」(「予感」)でした。

曲紹介の時、みゆきさんは静かな口調で、
「井上堯之さん、亡くなられたばかりです。
この曲のアレンジをしてくださいました。
あたたかい方でした」
と。

そして、アウトロまで、フルバージョンかかった後に、改めて、
「井上堯之さん、いっぱいありがとうございました」
と、感謝とリスペクトを込めて静かに語られたのでした。

そんなことを思い出したのは、
"みゆきさんの声、その46「糸」と「縁」(天女の声と大地の声)"
https://blog.goo.ne.jp/mihana223/e/3aa69ea2f604ad7819338ce061b93635
を書きはじめてからなんです。

一周忌にむけて書くには、微妙に時期が過ぎていましたし、「JASRAC賞」の話題もあったので、"「糸」と「縁」"では触れませんでした。

しかし、miyaさんから、
"「縁」(「予感」)の間奏でウルウル状態になることがある"
とコメントをいただいて、
"私も!"って。

その思いを書いてみようと、思ったのでした。

みゆきさんの歌声と井上堯之氏のアレンジの両方に、涙腺が刺激されるんですよっていうことを。

と、私の個人的な思い入れは、後回しにして、まず、井上堯之氏と「予感」について簡単にまとめておきます。

井上堯之氏。

1941.3.15生まれで、師匠と同じ兵庫県出身です。

ザ・スパイダースを皮切りに、PYGや井上堯之バンドなどで活躍された、ミュージシャンでギタリストで作曲家で歌手で音楽プロデューサーです。
 
兵庫県出身以外にも、師匠とは共通点があって、吉田拓郎氏のバックバンドをされています。

勿論、みゆきさんのアレンジもですね。 (笑)

次に、みゆきさんの10枚目のアルバム
「予感」(1983.3.5)。

このアルバムは、色んな意味で特徴的なアルバムでした。

まず、LPレコードから一月遅れの1983.4.5に、はじめてのCD盤が発売されたアルバムです。

更に、みゆきさんが本格的なアレンジをした最初で(たぶん)最後のアルバムでもあります。

ただ、みゆきさんのアレンジは、アルバムA面(CDなら前半)4曲です。
 ↓

「予感」(1983)

A面(アレンジ:中島みゆき)
1.この世に二人だけ
2.夏土産
3.髪を洗う女
4.ばいばいどくおぶざべい

B面(アレンジ:井上堯之)
5.誰のせいでもない雨が
6.縁
7.テキーラを飲みほして
8.金魚
9.ファイト!

上記のように、A面4曲のアレンジが、みゆきさん。

B面5曲のアレンジが、井上堯之氏です。

このように、A面、B面でアレンジャーがハッキリ別れているのも、
「予感」の特徴でしょう。

ハッキリ別れているので、A面とB面が独立して聴けるような気がします。

正直に言いますと、私は、A面よりB面の方が昔から好きだったんです。

アルバム発売後すぐは、フルで聴いていたのに、いつからかレコードのB面ばかり聴くようになっていた昔を
"「糸」と「縁」"を書きながら思い出していました。

そんな昔を思い出して、久しぶりにアルバムをフルで聴いたら、5曲目の
「誰のせいでもない雨が」のみゆきさんの歌声を聴いて、泣きそうになったんです。

みゆきさんの歌声が、愛しくて。

最近は、比較的新しいアルバムか、特に好きな曲を集めたブックマーク(「縁」も抜き出して)しか聴いてなかったので、久しぶりの衝撃でした。

あくまで、私の個人的な印象なんですが、みゆきさんアレンジの前半(A面)4曲は、何となく緊張して聴いてしまっているようなんです。

それが、窓外の雨音のような優しいギターのストローク(イントロ)を聴いた瞬間、スッと消える気がしたんですね。

そして、ホッとした次の瞬間に聴こえてきた、みゆきさんの少しウェットで可愛いい歌声に、胸を突かれた感じです。

この声の感じ、トーンが、凄く好きなんです。

そして、後半(B面)5曲は全部好きなトーンなんですよ。

それが、この後半(B面)を偏愛している一番大きな理由だと思います。

ついで、「縁」。

"「糸」と「縁」"でも書いたように、
井上堯之氏のアレンジとみゆきさんの声、どちらともに、胸が揺さぶられます。

緊張感のあるイントロから、万里の道が見える、悠然と流れる大河が見える(あくまで、私のイメージ)間奏。

そんな雄大さと、対照的なちっぽけな人間のままならない想い。

井上堯之氏のスケールの大きなアレンジと、みゆきさんの切々と訴える歌声に、心が揺さぶられます。

7曲目、「テキーラを飲みほして」。

「夜会VOL.20 リトル・トーキョー」では、石田匠さんが歌われてました。

この曲は、ブログをはじめたキッカケともいえる曲なんです。

"みゆきさんの声、その3"のタイトルは、ズバリ"「テキーラを飲みほして」"でしたから。

その時の記述です。↓

"全体に、ハスキーで、愛しくなる歌声なんですが、サビの
『♪テキーラを飲みほして、テキーラを飲みほして~』
のかすれ方が、ツボです。
最初に聴いた時から、抱きしめたくなるほど、愛しく思える歌声です。
後のガナリに繋がるのかなあ~?"

印象的なイントロから、みゆきさんの少しハスキーな歌声。

この歌い出しも愛しいのですが、先にも書いたように、
『♪テキーラを飲みほして テキーラを飲みほして』
の少ししゃがれた歌声が、ツボです。

ホントに、抱きしめたくなるほど愛しい気持ちは、全く変わりませんねぇ。

8曲目、「金魚」。

この長いイントロの後に、歌われる歌の短さに、最初に聴いた時は失礼ですが、笑ってしまった曲です。
 
そして、幼な児が歌うよな可愛い歌声で、ポツリポツリと歌われる不器用な女性の描写。

幼な声のはしりですね。

ホントに、最初に聴いた時は、
"えっ???"
っていう曲だったんです。

でも、聴くうち、生きるのに不器用そうな女性と、それを見守る優しい眼差しにホッコリとした愛しさがわきあがってきます。

女性がみゆきさん自身で、一歩引いて自分自身を納得させるために歌っているようにも思える曲ですね。

最初"?"と思った長いイントロも、女性の決して平坦ではなさそうな、それまでの人生のようにも感じられてきます。

井上堯之氏のアレンジは、「縁」や「金魚」のような短い曲では、曲の背景を補うドラマが見える気がします。

ラスト、「ファイト!」。

蛇足ですが、この曲の発表当時、みゆきさんは評論家達に
『この歌には"自分"がいない』
とボロカスに言われたそうです。

糸井重里氏との対談で、その頃のこととかを語っています。↓

"当時、メチャクチャ言われたんですよ。
特にあれが出たころって、まだフォークソングからニューミュージックにどうたらこうたらって時期だったから、本人の生活から歌まで一貫して、人格を丸出しみたいなふうに曲が成立する感じがあったでしょう。
けれど「ファイト!」は自分の言いたいことをなにも言ってないで、人の言葉を借りて、ただ歌っているだけじゃないか。
オールナイトニッポンに来たハガキとか、あれをそのままパクって書いているだけじゃないのかと" 

それが、人生の応援歌と言われて認知されるようになったことについて。

"アルバム出した時は、ボロッカスにしか言われなかったのが、なんかの世の中の流れで、ボーンとはまったゃうときってあるのね。
突然、いいって言う評が出てくる。
でも前は、ボロカスに言ったじゃなーい、って。
これ、わかんないよ"と。

これぞ、手のひら返しですね。

みゆきさんの悔しさが、伝わってきます。

また、リズムを刻むドラムが印象的なイントロも、賛否あったみたいです。

このイントロは、心臓の鼓動を表しているときいたことがあるんですが、出典を見つけることができませんでした。

不確か情報で、すみません。m(_ _)m

「歌旅」のドラマチックな「ファイト!」も胸に刺さりますが、少し弱々しく、トツトツと語りかける「予感」の「ファイト!」は、胸に沁みてきます。

非力な少女が、精一杯の気持ちを込めて、発する
『♪ファイト!』。

すぐ側で、寄り添ってくれてるような歌声に、
"ああ、わかってくれる人はいるんだ"
と思えて、昔も今も涙腺が刺激されますね。

「ファイト!」は、「空と君のあいだに」(1994)のカップリング曲としても有名です。

このカップリングの時は、何とも思ってなかったんですが、井上堯之氏のアレンジのままカップリングされてるんですよ。

これって、今思うと凄いことのように思えてくるんです。

瀬尾師匠と組んでから(1988~)、シングルとして発表された曲で、師匠以外の編曲者名が記されている唯一の曲だから。

コンサートでは、師匠アレンジの「ファイト!」を歌われているし、「いまのきもち」のようなアルバムもあるのですから、師匠バージョンでもよかったはずなのに、敢えて井上堯之氏バージョン。

そこに、みゆきさんと師匠の井上堯之氏へのリスペクトを感じるのですが、考え過ぎでしょうか?

ただ、井上堯之氏のWikipediaの楽曲提供欄に、
「ファイト!」中島みゆき
が入っているのは、納得できないんですが、、、(-_-;)

アルバム「予感」以外の井上氏アレンジが、タイトルにあげた
「あの娘/波の上」(1983.10.21)。

対照的なカップリングが、印象的なシングルでした。

コミカルなアレンジと、少し乾いた感じの可愛い歌声の「あの娘」。

『♪私じゃ駄目ネェ』の語尾の色っぽさが、ツボの曲です。

そして、「波の上」。

みゆきさんのハスキーな歌声が切なくて、切なくて。

その歌声に、静かに寄り添うような演奏。

胸の奥が、キュッと締め付けられるような切なさと愛しさに、ウルウルしてしまいます。 

「波の上」は、みゆきさんの歌声すべてが、ツボの曲です。

以上、私の好きな井上堯之氏のアレンジとみゆきさんの声でした。

井上堯之さん、ステキなアレンジをありがとうございました。

後れ馳せながら、ご冥福をお祈りいたします。

久々の更新にも関わらず、お付き合いいただき、ありがとうございました。(^^)

では、また。(^-^)



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4 コメント

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「予感」・・・・ (aishotaai)
2019-06-17 21:50:52
こんばんは、今回のコメントじっくり読ませてもらいました。そうかぁ~、なるほど~、う~ん?とか思いながら読ませてもらいました。
今から「予感」・・・・じっくり聴いてみますね!
短いコメントで失礼しました。
Unknown (mihana223)
2019-06-18 00:00:00
aishotaaiさん、早速のコメント、ありがとうございます。(^^)

今回は、いつにも増して、個人的な好みと思い入れで書いていますので、
"こんなヤツもいる"程度に軽く流していただければ、、、(((^^;)
人の好みは様々ですから。
井上堯之氏のアレンジとその曲のみゆきさんの歌声が、私の好みなだけなんです。
それに、屁理屈付けた、みたいな感じですかね。f(^^;

本当に、いつもありがとうございます。(^-^)
予感 (miya)
2019-06-18 14:28:23
井上堯之さん、独立した沢田研二さんのバックバンドとして活躍していた印象が強いのですが…
Wikipediaをみると 本当に多方面でご活躍だったのですね。

『予感』、じっくりと聴き直してみました。
レコードでは持っていないので
A面・B面として味わうことができないのが残念です。
「縁」はいつ聴いてもウルっとします。
井上氏のアレンジも最高です!
「この世に二人だけ」と「誰のせいでもない雨が」は
中国語でもカバーされているようですね。
台湾にいる知人がカラオケで歌っていました。
どちらも みゆきさんの作品の中ではそれほどメジャー曲ではないので意外でした。


Unknown (mihana223)
2019-06-18 22:43:25
@mihana223 miyaさん、コメントをありがとうございます。(^^)

私も、沢田研二さんのバックのイメージが強いので、吉田拓郎さんのバックをやられていたのに驚きました。
ただ、拓郎さんのバックをされてたから、みゆきさんと相性が良かったのかなと、納得したりしましたが。
「予感」を聴けば聴くほど、井上氏とみゆきさんの相性は良かったような気が、勝手にしています。
まあ、私の好みだから、そう感じるんだと思うんでしょうけど。f(^_^;

「この世に二人だけ」と「誰のせいでもない雨が」が、中国語でカバーされているのですか?
知りませんでした。
貴重な情報をありがとうございます。(^^)
台湾の方が歌われるのは、嬉しい驚きですね。(^^)v
みゆきさんの曲は、国境を越えて広がっているのですね。
本当に、嬉しい情報をありがとうございました。(^.^)ノ 
そして、いつも、本当にありがとうございます。(^-^)

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