日々思うこと

日常と、
日常につながるもの。

op.21 脱毛よりも数段辛かったこと

2020-06-26 | 闘病記に名を借りた自分語り

予想外でした。脱毛そのものよりも地獄だったのは「掃除」。

お風呂に入る前、ある程度髪の毛を落ち着かせておこうとブラッシングすると、ブラシにも服にも床にも抜け毛の山。

やっとの思いで掃除して、お風呂に入っていざシャンプーすると、さっき落としたばかりなのに手が見えないくらいに絡みつく。コンディショナーのあとも同様。すすいでもすすいでもきりがない。

ふと見れば、万全に準備を整えたはずの排水口もゴミかごも、キャパからあふれてしまっている。

体を洗うタオル、風呂上がりのバスタオル、バスキャップ、洗面台、床...ものというものすべてに細かい毛がつきまくる。

ドライヤーをかければパラパラと雨のように髪の毛が落ち、風にのって部屋のあちこちまで散乱する...

深夜に一人で抜け毛の嵐と格闘していると、孤独感と徒労感で気が狂いそうでした。

しかも、終わりのないように見えるこの闘いにも終わりが来ることは分かっていて、それは「抜けるものがなくなるとき」なのです...こんなに辛い闘いはありません。

しかし、唐突に終わりは来ました。

ある日を境に、抜け毛の量は以前(抗がん剤開始前)と同じくらいで落ち着くようになりました。

ちなみに髪は、薄くはなりましたがまだ結構あります。どんだけすごいんだ私の細胞たち😅

ともあれ今は、つかの間訪れたこの平和な均衡状態を有難くかみしめています。


op.20 大丈夫

2020-06-25 | 闘病記に名を借りた自分語り

誰に言われなくても
本人長生きする気満々なのに
最近、なぜか気が急いて仕方がない

早く、早く、今のうちに...
今のうちに、何を?

「見るべきほどのものは見つ」などと
悟りきったことを言うつもりはないけれど
それなりに年月を重ねて
甘さも、苦さも経験してきたはず、なのに
何かやり残していることがあるような気がして仕方ない

いや、もしかしたら
他の人に向かって言いたいのかもしれない
あなたの人生はもっともっと素晴らしいものにできるはず
やることがあるでしょう?
ぼやいてるひまがあったら、と

寝て、すべて忘れてしまおうと思うときにかぎって
眠れないのはよくあること

誰かに大丈夫と言ってもらいたい
でも大丈夫ってどういうことだろう

すでに私は大丈夫といえば大丈夫

大丈夫じゃないといえば大丈夫じゃない


op.19 境目

2020-06-21 | 闘病記に名を借りた自分語り

毎日毎日、かつて自分の体の一部であった大量のものを拾い集め、処分し続けていると、意識が否応なく「死」に向かいます。

まるで自らを少しずつ火葬に付しているような...

一方で、

私という存在はこんなにも「なくても困らない(生命維持には支障ない)もの」とともに生きている(きた)んだな...という不思議な感慨にとらわれます。

私が纏うもののうち

いったいどこまでが私で

どこからが私ではないのか...

あなたが認識する「私」という存在は

いったいどこまで・どこからなのか...


op.18 抗がん剤二回目投与終了

2020-06-17 | 闘病記に名を借りた自分語り

昨日抗がん剤二回目の投与が終わりました。

今日は一日中だるくて眠気に負けっぱなしの一日でした(笑)前回は翌日も普通に仕事ができたのに、不思議...

実は二回目投与直前の週末に、息子の内定祝いということで(←とってつけたような口実なんですが笑)急遽家族でイベントを入れたりして楽しみました。(脱毛が本格的に始まる前に...というのもありまして)

とはいえ、二回目投与が近づくと、どうしても気分が沈んでしまいがちでした。片道45分ほどの病院へのドライブ中はほとんど無言...。

エコー診察の結果、良いニュース(&ちょっと残念なニュース?)が。
乳ガンもリンパ転移のも、少しですが明らかに小さくなっていました。
「抗がん剤の効果出てますね」とのこと🎵
残念なニュースは、そのあとに続けて当然のように「年内くらいには結果出しましょう、8月以降もこの治療で」言われたこと。
4回目の7/28で終わると思っていましたが甘かったです😂

しかしこれも取りようによっては手術は回避できるかもしれないということかも?と気を取り直したりしています。


op.17 病気になったときに一番役に立つこと

2020-06-11 | 闘病記に名を借りた自分語り

役に立つ闘病記といっても、いろいろあると思います。

こんなグッズが役に立ったよ!というものもあるでしょうし、仕事を続けるのにこういう制度が役に立ったよ!と紹介するものもあるでしょう。

私が「一番役に立った(助けられた)ものは何でしたか?」と聞かれたら、こう答えます。

「感謝の心」(言葉にすると月並みこの上ないですが...笑)

とにかく出会うこと一つ一つに対して、驚くほど感謝の気持ちがわくのですが、それに他でもない自分自身が助けられています。

素敵なお医者さんに出会えたこと。

心強い友人の存在。

採血のとき、上手で優しい看護師さんばかりであることに感謝したり、自分の腕が血管太めで見つけやすいことに感謝したり...(笑)

私はたまたま運がいいのかもしれませんが、もしかしたら感謝できるからこそ幸運に気づけるのかもしれない、と思うのです。

ダンナの存在にも、あらためて感謝しています。

たとえばゴミ出し。わざわざウィッグを付けるのも億劫、しかし近所の人と顔を合わせる確率が高い、こういうちょっとした家事を、全面的にお任せできるのは本当に有難いです。

あと、適度に鈍感なところも...(笑)

髪をショートにしたときに、試しにショートのウィッグも買ってみたのですが、

食事時に「どうかな、これ!?」と聞いてみたら「...お、おう、いいんじゃないか?」と微妙な反応が...

「これウィッグって気づいてた?」と聞いてみたら案の定「そ、そうだよね😅😅」と動揺していて笑いました。

あまり細かいことにこだわらない(気づかない)ダンナを持ったというのは、私の幸運の一つかも、なんて思っています。

(...ん?最後はノロケっぽくなってしまった😅失礼~❤️)


op.16 自分の性格に合わせて

2020-06-10 | 闘病記に名を借りた自分語り

私にだけは来なければいいな~なんて心のどこかで願っていたのですが(笑)

ついに来ました。

脱毛に備えてショートにしたときからウィズウィッグ生活(笑)に入っているので、実質的には生活習慣はほとんど変わらないのですが、抜けた毛の処理などが気になるところです。

ネット上では、脱毛の過程を写真などで逐一報告している闘病記も見ますが、私はそれはしません。

なぜなら、そうしたいと思わないから。

感性も人それぞれです。それぞれが自分にとって最も心地よいと思うやり方で、病と向き合うのが一番だと思います。🤗

それはそれとして、同じ病になった人のために多少役に立つ情報も書いておこうと思います。

 

・通販を使いこなそう

外出がままならないとき、通販は最強の味方になります。楽天でもアマゾンでも構いません、どこか一つお気に入りの総合通販サイトがあると、必要なものをすぐ手に入れることができて便利です。

私の場合、ウィッグや帽子、下着類の調達に重宝しました。

通販活用のポイントは、(買うもの)すべてが「当たり」というわけにはいかない、と割り切ることです。

特にウィッグがそうだったのですが、使っているとどうしても不満な箇所が出てきて、もっと良いものがないだろうか?とネット空間をさ迷い続けることになりがちです。

いくつか手に入れて比較したら、あとは多少妥協して、使用するものを決めたほうがよいです。

そして大切なことは、「レビュー」を丁寧に書いてフィードバックすること。

本当に良心的な企業なら、それをより良い商品の開発へと繋げてくれます。私はそう信じています。


op.15 フィエスタ

2020-06-09 | 闘病記に名を借りた自分語り

私の体は、新陳代謝が盛んなほうなのではないかと思っています。

普段から抜け毛の量は半端なく、なのに髪は多くて丈夫、しかも伸びる速さときたら...😂

美容院で、少しカットしてすいてもらっただけで、足元に子犬がいる!?と見まごうほどの毛の量に驚いたりもしました。(笑)

おそらくですが、常在菌や腸内細菌とかも質量ともに豊かなのではないかと思っています。

私という人間は、生きているだけでまさに小生命のフィエスタ状態!?😆

 

皮肉にも、それは私に宿ったガン細胞の性質にも受け継がれてしまい、浸潤力・増殖力(正式には何というか知らないのですが)ともに最強ということでした。

私の体は、抗がん剤によってかつて経験したことのない「フィエスタ休止」の状態に導かれているのだろうと思います。

今まで突っ走ってきたけど、ひとときの間みんなでスローダウンしようね...

自分で自分を抱いて、そんなふうに語りかけたい気持ちです。


op.14 聖書と車

2020-06-07 | 闘病記に名を借りた自分語り

とりあえず、聖書と車を買いました。

聖書はともかく、なぜに車!?と思われていると思います(笑)

最近、髪のことと同じくらいに私の心に重くのしかかっているのが「死」です。

あるサイトで、乳ガンステージⅡbの5年生存率が「78.6%」*とあるのが目にとまりました。

この、喜ぶべきか悲しむべきか微妙な数値を前に、私は否応なく人生の残り時間を意識するようになりました。

そこへやってきた車検の案内🚗(笑)

今乗っている車は、必要にして十分な装備のついた、綺麗な赤い車です。私にしては思いきって買った色で、とても気に入っていました。

しかし、人気なだけあって街で同じ色の車種に出くわすことが多く、また高速で走ると音楽もろくに聞こえない静粛性の低さにも疲れが来ていたところでした。

今買い換えるか、それともあと2年我慢して乗って買い換えるか?

どちらの選択をするにせよ、ここで決めた車が人生ラストの車になるかもしれないのだ、ということに気づいてしまいました。

新型車に試乗させてもらい、贅沢な機能(私にとって笑)のあれこれに感動...✨

買い換えを決めるのに時間はかかりませんでした😍

納車はまだ先になりますが、久々に不安を忘れた楽しい一日となりました。

 

*その後見た別のサイトでは「88%」とあったので、私が見たのは古い情報だったようです。医学の進歩は素晴らしいですね。


op.13 嫌い

2020-06-06 | 闘病記に名を借りた自分語り

昨夜、いろいろな思いがこみ上げてきて、ちょっとだけ泣いてしまいました。

案の定眠れず、やっと寝たと思ったらなんと髪が抜け始めるリアルな夢を見てしまいました。

最近、心から安らいでるな~と感じられる時間が少なくなりました。

地味にきついのが、「お風呂の時間」がもはや癒しタイムではなくなってしまったことです。

嫌でも自分の体に意識を向けなければならないお風呂タイム...

お気に入りの入浴剤を使ったり、音楽をかけてみたり、いろいろやってみても今のところ効果なしです。

当分は義務感で入ることになるだろう、と覚悟を決めようとするのですが、心は重いままです。


op.12 あなたの小さな仕事が誰かの救いになっている

2020-06-05 | 闘病記に名を借りた自分語り

天秤座のヒトは、美に対するこだわりが強いらしい。

ご多分に漏れず、私もそうです。

美しくありたいと願う...というよりは、そう願う気持ちを大切にしながら生きてきました。

その私がここに来て、女性にとって大切な美の要素をいくつも奪われる病を得たことについて、ある種の啓示めいたものを感じたりしています。

美について、まだまだ学ぶべきものは豊かにあるようです。

...いきなり現実的な話になります。(笑)

闘病中であっても、(普段の私もそうであるように)必要以上の注目を浴びることを好まない私としては、これまでと似た髪型のウィッグを付け続ける選択をしました。

一方で脱毛に備えて髪を短くし、近所へのお出かけのときは帽子をかぶることにしました。

思いがけず有難かったのが「つけ毛」でした。

医療用のニット帽をかぶっても、肩に毛束が少し見えるだけで、普通の装いに見えるということを発見したときの嬉しさといったら🎵

しかも!それが100均で買えるんです!

何ていい世の中なの❣️

お試しで買ってみたのですが、購入時ラスト1点でした。

後日、買い足しに行ってみると豊富に入荷されていて、有難さに涙が出そうでした。

100均の片隅の、ニッチもニッチ、誰が必要とするのかも分からないささやかな商品を

作ってくれた・運んでくれた・卸して、販売してくれた人よ。

自覚はないかもしれませんが、あなたがたに生きる喜びをいただいた者がここにいます。

その他の、小さな仕事に携わっている方々も、どこで誰の救いになっているか分かりませんよ🎵😊