goo blog サービス終了のお知らせ 

どこまでだって歩いていけるさ

2012年1月22日 それまでの日記を引き連れてOCN Cafeから移住。
新しい扉の向こうには何があるのだろうか。

小さな旅

2015年12月17日 | 日記
冷えるという予報通り気温は下がった

けれどもまだ あのシンシンとした寒さでは無い

今からそれでは 冬眠と同じような生活の私でも悲しくなってくるというもの


今日も本の整理をする

『スペインの庭師』(A.J.クローニン著)が出てきた

読んだ記憶はある(中には手に取るのも初めてと思うようなものだって出てくることがあるのだ)

その本にかけたカバーを外していたら そこに「心が開いている時だけ この世は美しい」という言葉が 私の手で書かれてあった

果たしてこの本の中の言葉なのだろうか

それともふと耳にした言葉を書き留めたのだろうか

検索してみた

そして ゲーテの言葉だとわかった

「あなたの心がふさいでいるときには あなたは何も見ることができなかったのだ」と続く


『いきいきと生きよ―ゲーテに学ぶ』という本を読んだことがあるが おそらくそれはもっとずっと後のことのはずで この時の私がどうしたいきさつでこの言葉を知ったのかは謎のままだ

こうした格言や名言に限らず 本を読んでいると心のヒダまで入り込んでくる言葉や ぐっとわしづかみにされたような表現に出会うことがある

映像でもあるだろうが 本の場合 しばしそこで止まって咀嚼できるところが良い

おそらく この言葉はその時の私の気持ちに寄り添う言葉だったのだろう


この『スペインの庭師』以外の彼の作品を私は読んだことがない

かなり昔に映画化されており 『ベニスに死す』『地獄に堕ちた勇者ども』や『愛の嵐』のダーク・ボガードが主演だったことは検索で知った

どんな話だったかもすっかり忘れていた私は パラパラとめくっていくうちに思い出した

父と息子の葛藤 息子が慕う庭師 という設定から ふと昔見た映画が浮かんだのだが題名がなかなか思い出せない

色々と検索ワードを入れてやっとわかった


それは グレアム・グリーンの『落ちた偶像』だった

キャロル・リード監督の映画だということを今日まで知らなかったし 俳優も知った人ではないけれど ずっと昔 まだTV局が昼間や夕方に洋画を流していた頃に見たことだけははっきり覚えている

それほど印象的なストーリーだった

このあとに『第三の男』が撮られることになる


たった1冊の本の裏に書かれた言葉が 私を小さな旅に誘い出してくれた そんな気がする日