Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

音の空間化『弄玉仙図』岩佐又兵衛

2022年06月22日 08時56分31秒 | EXHIBITION

現在、団扇の展覧会に参加しています。
「涼風献上ー風俗画展」  柴田悦子画廊

この展覧会のお題
まず模写→それを団扇化、テーマは「風俗美人図」
私は岩佐又兵衛『弄玉仙図』を選びました。
これは 旧金屋屏風 の中の1枚。

岩佐又兵衛 (1578-1650 江戸時代初期の絵師)は『奇想の系譜』 辻惟雄著 
を読んで興味を持っていました。
今回模写が出来るのは本当に嬉しいです。


模『弄玉仙図』墨・岩絵の具・膠・和紙 2022 亀井三千代

物語:
亡き夫に簫(しょう)を教わった弄玉(ろうぎょく)は、やがて霊鳥鳳凰の鳴き声を出せるようになったという。
その音色を聞いて飛来した鳳凰に弄玉は乗り、龍に載った亡き夫とともに昇天したという話。

作品の空間は弄玉の奏でる簫(あるいは鳳凰の鳴き声)の美しい音の表現だと解釈。
また弄玉を見上げる童子、鳳凰を見上げる弄玉、弄玉を見返す鳳凰と、
3者の動きある視線は上方へと見る者の視線を誘います。
これもやはり空間の表現だと思いました。



気になるこの童子は同じ旧金屋屏風の他の作品でも登場。
これは耳かきをする童子。この作品は現在行方不明。


『日本美術絵画全集 第十三巻 岩佐又兵衛』昭和55年第一刷 辻惟雄著 集英社刊 p.105より

童子は、自然のあるがままを芸術として捉えられるよう耳掃除をする者。
私は耳が音に繋がることから、この作品は音の空間化だと確信。
ですがそれを団扇にすると「空間」が突如「モノ」になる。面白い。
「空間」が「モノ」になるって何?



団扇の裏は古い唐紙に宿墨ドローイングで鳳凰を描いた。
また紐のついた小品は弄玉の足元がモチーフ。何故紐をつけたか?
「空間」が「モノ」になるか実験してみたかったのです。



団扇、裏


「コハナ」18×18cm 墨・岩絵の具・膠・和紙・刺繍糸 2022 亀井三千代


模写は初めて。このような機会がなければなかなか出来ませんでした。
大変勉強になったこの展覧会。26日迄。是非遊びにいらしてください。


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