アートコレクターズ6月号誌上頒布特集に作品3点が掲載されています。
そのうちの1点をご紹介します。「誕生」↓
S3号 273×273mm 墨、朱墨、和紙 2019 亀井三千代 額装済
この作品はウロボロスの第1号。この作品の後に気に入って何匹か描きました。
ウロボロスについては、前々から気になる図像でありました。
自分の尾を噛む、なんて怖いな~と思っておりましたが
実は「不老不死」「永遠」など、メビウスの輪のような良い意味を持ちます。
古くは、西洋美術に現れるギリシャ神(もとは農耕の神)サトゥルヌス*と共に登場しています。
無駄に逞しい身体のお爺さんが大鎌、砂時計、ウロボロス持ってたらその人は神の王者・時の翁サトゥルヌスです(笑)
さらにこの人には自分の子を喰らう、とか守銭奴、怠け者、鬱、と最悪なイメージがどんどん付されていきます。
このサトゥルヌスのイメージが逆転するのはイタリアルネサンス以降。
バランスを欠いた気質を持った天才、哲学者といった特別な意味が付されていきます。
悪の中にひらめきや才能を見いだすといった、善悪を表裏一体とする価値観は大好き。
私も共感し、同様のテーマを持っていると思います。
長くなりました。
アートコレクターズ6月号の話しでした。
発売された25日はちょうど緊急事態宣言が解かれた日。
幸先良いな~と思いつつ、表紙も明るくてとても可愛い。
どうぞお手に取ってご覧頂けたら幸いです。
見開きP48,P49に掲載されています。
生活の友社さんウェブでも見ることが出来ます。コチラ↓
「誕生」https://www.tomosha.com/book/b511727.html
「メメント・モリ」https://www.tomosha.com/book/b511732.html
「アクア」https://www.tomosha.com/book/b511733.html
是非是非よろしくお願いいたします。
*サトゥルヌスとウロボロス
出典:エルヴィン・パノフスキー『イコノロジー研究・上』浅野徹他訳、2002年、ちくま学芸文庫 第1刷。P167より
ゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」も有名です。