井堀利宏 『日本の財政改革』 ( p.58 )
歳出抑制策であるシーリング方式の概要と、その問題点が書かれています。
シーリング方式の問題点として、
が指摘されています。
まず、「ゼロ・シーリングが設定された場合にも、歳出は増大するのが通常である」 というのは、ゼロ・シーリングがもたらす、当然の結果ではないかと思います。これが問題だというなら、マイナス・シーリングにすればよいと思います。
「制度上、あるいは政策的に」 予算を増額せざるを得ないものがある以上、歳出総額を抑えるには、その他の予算を削減しなければなりません。すなわち、マイナス・シーリングが必要になるはずです。
次に、「補正予算には適用されない」 についてですが、補正予算にもシーリングを適用しろ、というわけにはいかないだろうと思います。事柄の性質上、補正予算にシーリング枠を設定する、というのは、考え難いと思います。
したがって、これも、シーリング方式の問題点というには、すこし微妙だと思います。
もっとも、事実上、補正予算が定型化・形式化しており、当初予算の一部といえる程度に達しているなら、話は別です。しかし、その場合であっても、補正予算にシーリング枠を設定するのではなく、当初予算を増額し、補正予算を縮小するかたちで、対応すべきだと思います。
最後に、「一度予算として認められると、同じ予算要求は原則として無条件で認められる」 についてですが、これは予算の硬直化をもたらし、好ましくないと思います。したがって、これはたしかに問題だと思います。
しかし、ゼロ・シーリング方式ではなく、マイナス・シーリング方式であれば、これも ( さほど ) 問題にはなりません。毎年、一定の割合で予算が減額されるからです。最終的には、( 自動的に ) 予算はゼロになるでしょう。
予算を削減するには、シーリング方式は、かなり有効ではないかと思います。
「ムダな事業摘発作業の効率化」 も必要だとは思いますが、旧来の方法 ( シーリング方式 ) も、効果的ではないでしょうか。歳出を削減するには、マイナス・シーリング方式の併用が現実的ではないかと思います。
歳出面での具体的な抑制方式としてわが国で採用されているのが、先述したようなシーリング方式である。これは各省庁が予算要求をする場合に、前年度の支出の総額に対して一定の率での総枠をあらかじめ設定して、その枠の中での概算要求のみを認めるというものである。したがって、すべての歳出項目にゼロ・シーリングが設定されれば、最大限でも翌年度の歳出総額は本年度と同額までしか増えないことになる。しかし、現実にはすべての項目についてシーリングが設定されているわけではない。経常的な経費と投資的な経費とが区別されるケースが通常であるし、また、制度上、あるいは政策的に増額させるものについては例外扱いにされる場合も多い。その結果、ゼロ・シーリングが設定された年の予算編成でも、結果としては歳出は増大するのが通常である。
また、これは当初予算についてのみ当てはまる編成方針であり、補正予算には適用されない。当初予算では歳出が抑えられても、その後の景気対策などの名目で大幅に歳出の増加が認められたケースもある。特に、一九九〇年代に入ってからは公共事業については補正予算で大幅な追加がとられており、シーリングは有効に機能していない。
また、シーリング方式のもう一つの問題点は、既存の予算の切り込みが不十分になる点である。一度予算として認められると、同じ予算要求は原則として無条件で認められる。新しい予算を要求する当初には、社会的に必要な歳出であったとしても、その後の経済環境が大きく変化するにつれて、必要のなくなるケースも現実には多いだろう。そうした予算の中身の見直しについては、シーリング方式はあまり有効に機能していない。
歳出抑制策であるシーリング方式の概要と、その問題点が書かれています。
シーリング方式の問題点として、
- ゼロ・シーリングが設定された場合にも、歳出は増大するのが通常である、
- 当初予算にのみ適用され、補正予算には適用されない、
- 一度予算として認められると、同じ予算要求は原則として無条件で認められる、
が指摘されています。
まず、「ゼロ・シーリングが設定された場合にも、歳出は増大するのが通常である」 というのは、ゼロ・シーリングがもたらす、当然の結果ではないかと思います。これが問題だというなら、マイナス・シーリングにすればよいと思います。
「制度上、あるいは政策的に」 予算を増額せざるを得ないものがある以上、歳出総額を抑えるには、その他の予算を削減しなければなりません。すなわち、マイナス・シーリングが必要になるはずです。
次に、「補正予算には適用されない」 についてですが、補正予算にもシーリングを適用しろ、というわけにはいかないだろうと思います。事柄の性質上、補正予算にシーリング枠を設定する、というのは、考え難いと思います。
したがって、これも、シーリング方式の問題点というには、すこし微妙だと思います。
もっとも、事実上、補正予算が定型化・形式化しており、当初予算の一部といえる程度に達しているなら、話は別です。しかし、その場合であっても、補正予算にシーリング枠を設定するのではなく、当初予算を増額し、補正予算を縮小するかたちで、対応すべきだと思います。
最後に、「一度予算として認められると、同じ予算要求は原則として無条件で認められる」 についてですが、これは予算の硬直化をもたらし、好ましくないと思います。したがって、これはたしかに問題だと思います。
しかし、ゼロ・シーリング方式ではなく、マイナス・シーリング方式であれば、これも ( さほど ) 問題にはなりません。毎年、一定の割合で予算が減額されるからです。最終的には、( 自動的に ) 予算はゼロになるでしょう。
予算を削減するには、シーリング方式は、かなり有効ではないかと思います。
「ムダな事業摘発作業の効率化」 も必要だとは思いますが、旧来の方法 ( シーリング方式 ) も、効果的ではないでしょうか。歳出を削減するには、マイナス・シーリング方式の併用が現実的ではないかと思います。