言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

サブプライム・ローンと格付け

2009-10-25 | 日記
安達誠司 『恐慌脱出』 ( p.29 )

 世界的な低金利局面の中、世界中の金融機関は、高利回りの運用対象として好んで証券化商品に投資した。その大きな理由は、格付けが高いという点にあった。
 金融機関(とくに銀行)には、自己資本比率規制が課せられており、自己資本比率をある一定水準以上に維持することが義務づけられていた。自己資本比率は、「自己資本÷運用資産」で計算される。運用資産には運用リスクに応じて掛け目が定められ、リスクの高い資産ほど高い掛け目が適用される。つまり、同じ金額の投資をした場合でも、よりリスクの高い金融商品に投資した場合には、リスクの低い金融商品に投資した場合よりも、自己資本比率が低下するようになっていた。
 たとえば、先進国の国債はデフォルトの可能性がほとんどないため、掛け目はゼロ%であり、自己資本比率算出の際、分母の資産に反映されない。一方、リスクが高い金融商品を購入すれば、掛け目がその分高くなるので、その分、分母の資産が増えることになる。
 そして、この場合の投資リスクを判断する尺度となるのが、格付けであった。つまり金融機関が、投資対象として、格付け会社によって高い格付けを獲得した金融商品を選択した場合には、低格付けの金融商品と比較して、自己資本比率の計算上有利となった。そのため、金融商品に対して格付け会社が付与する格付けが、投資対象の選別に大きな意味を持っていた。

(中略)

 経済環境の変化によって、サブプライム・ローンのデフォルトが増えてくると、格付け会社はサブプライム・ローン関連の証券化商品の格付けを引き下げ始めた。格付けが下がると、自己資本比率算出上、分母の総資産の額が増えるため、自己資本比率が自動的に下がってしまう。格付けが下がった証券化商品をそのままにしておくと、自己資本比率が低下してしまうので、金融機関は証券化商品をわれ先にと売却しようとする。
 これまで高格付けゆえに積極的に購入されていた金融商品が、ある時点で急に格下げされてしまうと、金融機関にとってはその瞬間から自己資本比率さえも変わってしまう。これは金融機関全体の経営戦略にも影響を与えるので、格付けが下がった金融商品は、なるべく早いうちに売却しようとする。こうして、証券化商品の値段が大きく低下してしまった。


 サブプライム・ローン問題は、証券化商品の格付け、及び、金融機関の自己資本比率規制と、密接に結びついている、と書かれています。



 高格付けの証券化商品を買っていたところ、格付けが引き下げられた。それに伴い、自己資本比率が下がるので、金融機関は、当該商品を売却せざるを得なくなる。

 とすれば、その売却によって価格が下がり、価格の下落によってさらなる売却が必要となり、さらに価格が下がり…、と、価格下落が連鎖すると考えられます。



 格付けが下がれば、金融機関の自己資本比率も下がるので、金融機関が格付けに頼らず、サブプライム・ローンの価値を独自に ( 厳格に ) 評価していた場合であっても、当該商品を売却せざるを得なくなります。したがって、金融機関による評価は、実際上、なんの意味もないことになるのではないかと思います ( 格付けが下がらない可能性が高まるので、まったく無意味ではない ) 。

 したがって、サブプライム・ローン関連商品の価値は、格付け機関の意思によって、劇的に下落する可能性があったと考えられ、このような金融商品が 「大量に」 売れたのはなぜなのかが、気になります。

 お金が余っていたので、なにか買わざるを得なかったのかもしれませんが。。。



 なお、( 森木亮著 『日本国破産への最終警告』 は全部読みましたが、ほかに書きたいところがないので ) 今度は不況脱出策を考えます。