言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

日本は中国に「ごね得」を認めてよいのか?

2010-09-24 | 日記
しんぶん赤旗」の「日本の領有は正当 尖閣諸島 問題解決の方向を考える」( 2010年9月20日 )

 沖縄の尖閣(せんかく)諸島周辺で今月、中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、漁船の船長が逮捕されたことに対し、尖閣諸島の領有権を主張する中国側の抗議が続いています。日本共産党は、同諸島が日本に帰属するとの見解を1972年に発表しています。それをふまえ、問題解決の方向を考えます。


歴史・国際法から明確

 尖閣諸島(中国語名は釣魚島)は、古くからその存在について日本にも中国にも知られていましたが、いずれの国の住民も定住したことのない無人島でした。1895年1月に日本領に編入され、今日にいたっています。

 1884年に日本人の古賀辰四郎が、尖閣諸島をはじめて探検し、翌85年に日本政府に対して同島の貸与願いを申請していました。日本政府は、沖縄県などを通じてたびたび現地調査をおこなったうえで1895年1月14日の閣議決定によって日本領に編入しました。歴史的には、この措置が尖閣諸島にたいする最初の領有行為であり、それ以来、日本の実効支配がつづいています。

 所有者のいない無主(むしゅ)の地にたいしては国際法上、最初に占有した「先占(せんせん)」にもとづく取得および実効支配が認められています。日本の領有にたいし、1970年代にいたる75年間、外国から異議がとなえられたことは一度もありません。日本の領有は、「主権の継続的で平和的な発現」という「先占」の要件に十分に合致しており、国際法上も正当なものです。


中国側の領有権主張は70年代から

 中国、台湾が尖閣諸島の領有権を主張しはじめたのは1970年代に入ってからです。1969年に公刊された国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の報告書で、尖閣諸島周辺の海底に石油・天然ガスが大量に存在する可能性が指摘されたことが背景にあります。台湾が70年に入って尖閣諸島の領有権を主張しはじめ、中国政府も71年12月30日の外交部声明で領有権を主張するにいたりました。

 たしかに、尖閣諸島は明代・清代などの中国の文献に記述が見られますが、それは、当時、中国から琉球に向かう航路の目標としてこれらの島が知られていたことを示しているだけであり、中国側の文献にも中国の住民が歴史的に尖閣諸島に居住したことを示す記録はありません。中国が領海法に尖閣諸島を中国領と書き込んだのは92年のことでした。それまでは、中国で発行された地図でも、尖閣諸島は中国側が「領海」とする区域の外に記載されていました。


日本の主張の大義を国際的に明らかに再発防止の交渉を

 日本共産党は72年、「尖閣列島問題にかんする日本共産党の見解」(同年3月31日付「赤旗」、『日本共産党国際問題重要論文集9』掲載)を出し、日本の領有権は明確との立場を表明しました。これは、歴史的経過や国際法の研究にもとづき、これらの島とその周辺が日本の領土・領海であると結論したものです。

 その後明らかになった歴史資料に照らしても、当時のこの見解を訂正しなければならない問題は、あらわれていません。

 領海は、国際法上、その国が排他的に主権を行使する領域です。尖閣諸島付近の日本の領海で、中国など外国漁船の違法な操業を海上保安庁が取り締まるのは、当然です。

 同時に、紛争は領土をめぐるものを含め「平和的手段により国際の平和、安全、正義を危うくしないように解決しなければならない」のが、国連憲章や国連海洋法の大原則です。その精神に立って日本外交には、第一に、日本の尖閣諸島の領有権には明確な国際法上の根拠があることを国際舞台で明らかにする積極的活動が必要です。

 第二に、今回のような事件の再発防止のため必要な交渉をおおいにすすめることが求められています。

 中国側も、事実にもとづき、緊張を高めない冷静な言動や対応が必要でしょう。


 尖閣諸島沖漁船衝突事件について、日本共産党の見解が示されています。日本共産党がどう考えているのかがわかります。



 日本共産党の見解は、まとめると、

   尖閣諸島は歴史的・国際法的に、明確に日本領である。

   中国が領有権を主張し始めたのは 1971 年からで、
     1992 年まで、中国の地図には尖閣諸島が中国の領海外に記載されていた。

   日本の海上保安庁が取り締まったのは当然である。

   日中は「事件の再発防止のため必要な交渉」をすべきである、

です。



 一読すると、「ごく当然のこと」を主張しているにすぎないかに思われます。おそらく、これは日本では一般的な見解ではないかと思います。

 したがって以下は、日本共産党の見解を非難する (…目的で書く) ものではありません。また、他の誰をも非難する (…目的で書く) ものではありません。



 まず、中国が領有権を主張し始めたのは 1971 年からであるにもかかわらず、1992 年まで、中国で発行された地図には尖閣諸島が中国の領海外に記載されていたというのが、中国側の (領有権) 主張の「おかしさ」を裏付けていると思われます。

 1969 年に海底油田・ガス田存在の可能性が指摘されて以降、中国が領有権を主張し始めたというのは、中国側 (…と台湾側) の主張の「おかしさ」を推測させるものではありますが、

 中国が領有権を主張し始めた後、およそ 20 年ものあいだ、中国発行の地図に「尖閣諸島が日本領であることを前提とする」記載がなされていたというのは、中国が「本音の部分では、尖閣諸島は日本領であると考えていた」ことを示しており、中国の主張は「おかしい」ことを示す、(さらに) 有力な根拠になると思われます。

 なお、中国の領有権主張の「おかしさ」については、「中国は「尖閣諸島は日本領土である」と認めていたらしい」にも、別個の根拠 (情報) を記載しています。



 さて、問題はここからです。



 このように、尖閣諸島が明確に日本領である、と考えたうえで、

   日中は「事件の再発防止のため必要な交渉」をすべきである、

というのですが、本当にこれでよいのでしょうか。

   「交渉」とは、「互いに、なんらかの妥協・譲歩をすること」

です。とすると、日本にしてみれば、一方的に領海を侵されたにもかかわらず、以後、このような領海侵犯が再発しないようにするために、中国と「交渉」して、

   「(たとえば環境技術供与などの) なんらかの利益を中国に与える」

ということになります。普通は、一方的に領海を侵されたので、以後、このような領海侵犯が再発しないようにせよと、中国に「厳重に抗議」すべきである、と考えないでしょうか?

 このような観点でみれば、(日本政府が「大人の対応」をすることを読み切った) 中国側は、強硬な態度をとりつつ「ごね得」を狙っている、といえなくもありません。

 日本は、本当に「ごね得」を認めるべきなのでしょうか?



時事ドットコム」の「米長官「尖閣は安保条約の対象」=日中対話に期待-日米外相会談」( 2010/09/24 01:39 )

 【ニューヨーク時事】前原誠司外相は23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨーク市内でクリントン米国務長官と約50分間会談した。前原外相は尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件について、国内法に基づき刑事手続きを進める方針を説明。これに対し、クリントン長官は尖閣諸島について「日米安全保障条約は明らかに適用される」と述べ、米国の対日防衛義務を定めた同条約第5条の適用対象になるとの見解を表明した。
 また、米側の説明によると、クリントン長官は衝突事件に関し「日中両国が対話によって、平和的に早期に問題を解決するよう望む」との期待を示した。
 両氏は中国の海洋権益をめぐる対応を注視し、日米が緊密に連携していくことで一致。前原外相はこの後、記者団に「(日本の方針は)理解を得られた。国内法で粛々と対応するが、外交問題になっているので、大局的に判断したい」と述べた。 
 日米外相会談は、菅改造内閣の発足後初めて。クリントン長官が安保条約適用に言及したのは、日本の同盟国として事態をこれ以上エスカレートさせないよう中国側をけん制する狙いがあるとみられる。
 一方、前原外相は会談で、米軍普天間飛行場移設問題について、沖縄県名護市辺野古を移設先とする5月の日米合意の実現に全力を挙げる考えを表明。クリントン長官はこれを歓迎した。
 両氏は日米同盟を一層深化させる方針を確認。協調して北朝鮮に強い姿勢で臨むことでも一致した。また、クリントン長官は、核開発を続けるイランに対する追加制裁措置決定や、アフガニスタン復興支援に謝意を表明した。


 クリントン米国務長官は、尖閣諸島に「日米安全保障条約は明らかに適用される」と述べつつも、「日中両国が対話によって、平和的に早期に問題を解決するよう望む」との期待を示し、前原外相は「国内法で粛々と対応するが、外交問題になっているので、大局的に判断したい」と述べた、と報じられています。



 この報道は、要は、

   クリントン国務長官が「ごね得」を認めたほうがよいのではないか、と述べ、
   前原外相は大局的に判断して「ごね得」を認めることもあり得る、と述べた、

ということです。本当にこれでよいのでしょうか?



中国語翻訳者のつぶやき」の「日中外交戦

それにしても尖閣諸島問題について、全く関係のない政府間交流や民間交流、経済貿易交渉などを巻き込んで日本に圧力をかけるというやり方や、10回以上も中国の日本大使を呼びつけて抗議するというねちっこいやり方には、私自身も正直相当閉口しています。

中国政府の今の姿は、正直あまりにも「大人気ない」のではというのが、わたしを含めた今の日本人の率直な感想なのではないでしょうか。これらの問題について、中国が姑息な手段にしか訴えられず、懐の深さを見せられないのならば、「大国」を名乗る資格はないとわたしは思います。


 中国側の態度は「大人気ない」、と書かれています。



 おそらくこの感覚は、日本人の普通の感覚だと思いますが、

 これは、日本が中国に「交渉」という名の「譲歩」をすることにつながります。日本は本当に、「大人の対応」で「懐の深さ」を示し、中国の「ごね得」を認めるべきなのでしょうか?

 もちろん、「だったら、どうしろというのか」という批判があり得ることは承知しています。この問いに対する答えを、いまの私は持ち合わせていません。しかし、本当にこれでよいのか、疑問は消えません。



 なお、この事件について、私の (今後の) 予想は「尖閣諸島沖漁船衝突事件の見通し」に記載しています。日本は中国の「ごね得」を認めて、事件は解決するのかもしれません。

3 コメント

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領土観だけは、まともな共産党 (四葉のクローバー)
2011-05-27 10:49:46
日本共産党・志位氏は昨年、仙谷官房長官と国会内で会い、ロシアとの領土交渉で千島列島の全島返還を求めるよう申し入れた。

志位氏は千島列島における「すべての権利放棄」を定めたサンフランシスコ講和条約の再検討を求めたが、仙谷氏は「日本は戦後、この条約で国際社会に復帰した」と難色を示した。

この点については、志位氏の主張は正論である。
一方、仙谷官房長官の認識は完全に間違っている。
そもそも、講和会議において、ロシア(ソ連)は、講和条約への署名を拒否して、東欧諸国を引き連れて退場した。
従って、日露領土交渉に、講和条約は全く関係ないのだ。






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Unknown (memo26)
2011-05-28 13:30:07
 「日本は戦後、この条約で国際社会に復帰した」の当否や、「日露領土交渉」の話は、この記事とは関係ありませんので、四葉のクローバーさんの主張について、私は意見を述べることを差し控えたいと思います。
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私が言いたいのは (四葉のクローバー)
2011-05-29 13:13:34
当たり前の事として流布されている事、既成概念や固定観念にとらわれるな、もっと自由であれ、と言うことです。
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