N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.225 )
GDPとは、国民の総所得であり、かつ、総支出でもある、と書かれています。
これはわかるのですが、問題は、「なぜGDPが重要なのか」です。
同 ( p.245 )
国際的に比較すれば、1人当たりのGDPが大きいほど、国民の生活水準も高い傾向にある、と書かれています。
引用文中の表を引用します。
★表8-3 GDP、平均寿命、識字率
国 1人当たり実質GDP 平均寿命 成人識字率
(1999年、ドル) (年) (%)
アメリカ 31,872 77 99
日本 24,898 81 99
ドイツ 23,742 78 99
メキシコ 8,297 72 91
ロシア 7,473 66 99
ブラジル 7,037 67 85
中国 3,617 70 83
インドネシア 2,857 66 86
インド 2,248 63 56
パキスタン 1,834 60 45
バングラデシュ 1,483 59 41
ナイジェリア 853 52 63
たしかに、上記の表を見るかぎり、著者が述べているように1人当たりのGDPが大きいほど、生活水準も高い傾向にあります。しかし、それはなぜなのでしょうか?
GDPとは国民の総所得であり、かつ、総支出でもある、というのですから、1人当たりのGDPが大きいほど、「たくさん稼いで、たくさんお金を使う」状態になっているはずです。したがって、「少しだけ稼いで、少しだけお金を使う」状態(=1人当たりGDPの小さい経済)と、「たくさん稼いで、たくさんお金を使う」状態(=1人当たりGDPの大きい経済)を比べれば、後者のほうが、より「比較優位の原理」に基づく「交易による利益」が得られるからではないかと推測されます。
ところで、1人当たりGDPとは、要は国内に流通する貨幣の量(と速さの積)であると考えられます。とすれば、流通する貨幣の総量が大きいとき、すなわちバブルのときには、(普段よりも)国民の生活水準も高くなるはずです。
実際、そのような傾向がみられますが、それならなぜ、バブルが問題視されるのでしょうか? 「バブルはいつかはじける。はじけたら困るじゃないか」と言われればそれまでですが、それは要するに、「景気がよくなりすぎると(後で)困るじゃないか」と言っているのと同じですよね。「生活水準が上がりすぎると(後で)困るじゃないか」と言われても説得力がないような。。。 変だと思いませんか?
GDPは一度に二つのものを測定する。一つは、経済の全員の総所得であり、もう一つは、経済の財・サービスの産出への総支出である。GDPが総所得と総支出の両方を測るという芸当を演じることができるのは、この二つのものが実は同じものだからである。経済全体において、所得と支出は等しくなければならない。
GDPとは、国民の総所得であり、かつ、総支出でもある、と書かれています。
これはわかるのですが、問題は、「なぜGDPが重要なのか」です。
同 ( p.245 )
経済的福祉の尺度としてのGDPの有用性を評価する一つの方法は、国際的なデータを調べることである。豊かな国と貧しい国では、1人当たりのGDPは大きく異なる。もしGDPが大きいことが生活水準を高めるのであれば、GDPは生活の質の尺度と強い相関関係にあることが観察されるだろう。事実、そうなのである。
表8-3は世界の最も人口の多い12ヵ国を1人当たりGDPの大きい順に示したものである。この表は平均寿命(出生時における期待余命期間)と識字率(文字が読める成人の割合)も示している。このデータは明確なパターンを示している。アメリカ、日本、ドイツなどの豊かな国々では、人々は70代後半まで生き長らえるという期待をもつことができ、そして人口のほとんど全部が文字を読むことができる。ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタンなどの貧しい国々では、人々は典型的には50代または60代前半までしか生きられず、そして人口の約半数しか文字を読むことができない。
生活の質の他の側面に関するデータはあまり完全なものはないが、それでも同じことを物語っている。1人当たりGDPが小さい国々のほうが、出生時の体重の少ない新生児が多く、乳幼児死亡率が高く、周産期死亡率が高く、児童の栄養不良率が高く、安全な飲料水の共用可能性が低い。1人当たりのGDPが小さい国々のほうが、学童年齢の児童で実際に存学しているものはより少なく、在学している児童は生徒1人当たりにつきより少ない教師の下で学ばなければならない。また、このような国々では、テレビ、電話、舗装された道路、電気のある家庭も少ない傾向にある。国際的なデータは、一国のGDPが国民の生活水準と密接に結びついているということについて疑問の余地を残さない。
国際的に比較すれば、1人当たりのGDPが大きいほど、国民の生活水準も高い傾向にある、と書かれています。
引用文中の表を引用します。
★表8-3 GDP、平均寿命、識字率
国 1人当たり実質GDP 平均寿命 成人識字率
(1999年、ドル) (年) (%)
アメリカ 31,872 77 99
日本 24,898 81 99
ドイツ 23,742 78 99
メキシコ 8,297 72 91
ロシア 7,473 66 99
ブラジル 7,037 67 85
中国 3,617 70 83
インドネシア 2,857 66 86
インド 2,248 63 56
パキスタン 1,834 60 45
バングラデシュ 1,483 59 41
ナイジェリア 853 52 63
たしかに、上記の表を見るかぎり、著者が述べているように1人当たりのGDPが大きいほど、生活水準も高い傾向にあります。しかし、それはなぜなのでしょうか?
GDPとは国民の総所得であり、かつ、総支出でもある、というのですから、1人当たりのGDPが大きいほど、「たくさん稼いで、たくさんお金を使う」状態になっているはずです。したがって、「少しだけ稼いで、少しだけお金を使う」状態(=1人当たりGDPの小さい経済)と、「たくさん稼いで、たくさんお金を使う」状態(=1人当たりGDPの大きい経済)を比べれば、後者のほうが、より「比較優位の原理」に基づく「交易による利益」が得られるからではないかと推測されます。
ところで、1人当たりGDPとは、要は国内に流通する貨幣の量(と速さの積)であると考えられます。とすれば、流通する貨幣の総量が大きいとき、すなわちバブルのときには、(普段よりも)国民の生活水準も高くなるはずです。
実際、そのような傾向がみられますが、それならなぜ、バブルが問題視されるのでしょうか? 「バブルはいつかはじける。はじけたら困るじゃないか」と言われればそれまでですが、それは要するに、「景気がよくなりすぎると(後で)困るじゃないか」と言っているのと同じですよね。「生活水準が上がりすぎると(後で)困るじゃないか」と言われても説得力がないような。。。 変だと思いませんか?