言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

竹島問題で韓国が国際司法裁判所を避ける理由

2013-01-23 | 日記
 日本も韓国も、ともに竹島の領有権を主張しており、意見が一致していません。

 それでは国際司法裁判所で「公正に」解決すればよいと思われるものの、韓国はそれを避けようとしています。

 韓国はなぜ、裁判による解決を嫌がるのか?

 常識的に考えれば、韓国側が韓国の言い分は「通らない」と知っているからだと思われるのですが、韓国側の言い分は、微妙に異なっているようです。



西牟田靖『ニッポンの国境』( p.168 )

 繰り返すが、竹島問題が特殊なのは、実効支配している側が支配していない側を強く訴える点にある。では、なぜそのような行動に出るのだろうか。鬱陵島にある独島博物館の学芸員、李順子(仮名)氏にあらためて理由を尋ねることにした。
「これまで私たちは、この問題を放置してきました。しかし、日本に広がるナショナリズム、教科書問題、靖国問題などが韓国側のナショナリズムに火をつけ、それが今では最高潮に達したのです。日本はこの問題で国際裁判による解決を提案し続けていますが、日本の方が我が国に比べて国際的な地位は上です。それでは不利になるので、(私たちは)国民的な力を欲している。独島について政府より国民の方が盛り上がっているんです。一方の政府は(日本との友好を大事にしているから)そんなに問題視しようとはしていません」


 つまり、韓国人は国際司法裁判所を信頼していないということです。

 日本人の感覚で考えれば、強国であろうが弱小国であろうが、そんなことには関係なく、裁判は「公正に」なされるはずだということになりますが、

 韓国人は、当事者国の「国際的な地位」の如何によって、裁判の結果が異なると考えているわけです。



 たしかに東京裁判などの例をみれば、当事者国の「国際的な地位」の如何によって、裁判の結果が異なるという考えかたも成り立つように思われます。

 しかし、終戦直後とは異なり、現在の世界状況を前提に考えれば、韓国側の言い分は通らないのではないかと思います。

 そもそも、当事者国の「国際的な地位」によって裁判の結果が変わるという論理を前提とするかぎり、国際司法裁判所では公正な解決があり得ないということになります。これはすなわち、国際司法裁判所の存在そのものを否定することにほかなりません。

 しかし、国際司法裁判所の裁判官は多様な国々から選ばれており、かならずしも「強国」出身者ばかりではないことを考えれば、韓国側の論理は「言い訳」ではないかと思われてなりません。



外務省・国際機関人事センター」の「国際司法裁判所(ICJ)の概要(The International Court of Justice)」( 平成24年3月 )
◆国際司法裁判所裁判官の構成(2012年3月現在)

アジア:3 任期
シュエ Xue Hanquin(中) 2021年まで
小和田 Hisashi Owada(日) 2021年まで
空席

アフリカ:3 任期
セブティンデ Julia Sebutinde(ウガンダ) 2021年まで
ユスフ Abdulgawi Ahmed Yusuf(ソマリア) 2018年まで
ベヌーナ Mohamed Bennouna(モロッコ) 2018年まで

欧米・その他:5 任期
ガヤ Giorgio Gaja(伊) 2021年まで
バーゲンソール Thomas Buergenthal(米) 2015年まで
クリーンウッド Christopher Greenwood(英) 2018年まで
アブラハム Ronny Abraham(仏) 2018年まで
キース Kenneth Keith(NZ) 2015年まで

ラ・米:2 任期
トリンダー Antonio Augusto Cancado Trindade(ブラジル) 2018年まで
セプルヴェダ・アモール Bernardo Sepulveda-Amor(メキシコ) 2015年まで

東欧:2 任期
トムカ Peter Tomka(スロヴァキア) 2021年まで
スコトニコフ Leonid Skotnikov(露) 2015年まで




■関連記事
 「中韓は「法律論で日本と争えば自国が不利と知っている」

北方領土問題についてのダレスの見解

2013-01-15 | 日記
 以下の引用は、引用の引用になっていますが、どちらもアメリカのダレス国務長官(当時)の見解です。



西牟田靖『ニッポンの国境』( p.131 )

 千島列島をソ連に帰属せしめるということは、サン・フランシスコ条約でも決っていない。したがって日本側がソ連案を受諾する場合は、日本はソ連に対しサン・フランシスコ条約以上のことを認めることとなる次第である。かかる場合は同条約第二十六条が作用して、米国も沖縄の併合を主張しうる地位にたつわけである。ソ連のいい分は全く理不尽であると思考する。特にヤルタ協定を基礎とするソ連の立場は不可解であって、同協定についてはトルーマン前大統領がスターリンに対し明確に言明した通り、同協定に掲げられた事項はそれ自体なんらの決定を構成するものではない。領土に関する事項は、平和条約をまって初めて決定されるものである。ヤルタ協定を決定とみなし、これを基礎として論議すべき筋合いのものではない。必要とあればこの点に関し、さらに米国政府の見解を明示することとしてもさしつかえないという趣旨のことを述べた。
 重光外相はその日ホテルに帰ってくると、さっそく私を外相の寝室に呼び入れて、やや青ざめた顔をして、「ダレスは全くひどいことをいう。もし日本が国後、択捉をソ連に帰属せしめたら、沖縄をアメリカの領土とするということを言った」といって、すこぶる興奮した顔つきで、私にダレスの主張を話してくれた(前掲『モスクワにかける虹』より)


 上記引用文中にいう「ソ連案」とは、1955年(昭和30)年の日ソ国交回復交渉の際、ソ連側によって提示された歯舞・色丹島の返還を指しています。つまり2島を日本に返還し、国後・択捉島はソ連領とするという内容です。



 米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は、(北海道の一部たる歯舞諸島及び色丹島とともに)、常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。米国は、このことにソ連邦が同意するならば、それは極東における緊張の緩和に積極的に寄与することになるであろうと考えるものである。(データベース『世界と日本』より)


 ソ連が国後・択捉島を返還しようとしなかったのは、(ソ連側の主張によれば)国後・択捉島が千島列島の一部であること、およびこれらが軍事上重要な島であることが原因だと思われます。

 日本は当初、2島返還もやむなし、と考えていたようですが、アメリカが上記のような主張をしたため、4島返還でなければならない、という立場に変わったと思われます。



 ソ連としては4島返還は考えられないと思います。

 日本としては日米関係を重視せざるを得ない以上、(すでに沖縄は日本に返還されているとはいえ)4島返還以外は考えられないと思います。現にいま、日本政府は4島返還を主張しています。

 とすれば、北方領土問題はいつまでたっても解決しないことになります。

金融政策についての浜田宏一教授の見解

2013-01-07 | 日記
 安倍新政権で内閣官房参与に就任した米エール大の浜田宏一名誉教授の見解を報じた記事がありましたので、紹介します。



 下記記事のなかで、(私が) とくに影響を受けたのは、

「(物価安定の目途で示している)1%のインフレ率は、他の国が2%という中で、1%ずつ円高が進む政策。景気振興策としても非常に弱い。デフレだったから目指す物価上昇率が低くていい、という考えはまったく逆で、現在のようにデフレ予想が定着している中では、むしろショックを与えないといけない。(物価目標は)2%ないし3%がふさわしい」


の部分です。



 日銀は金融緩和の効果は限定的である、効果は限られていると「強調しています」が、

 そのような日銀の態度は「おかしい」と思います。日銀の態度は、あたかも「インフレ期待が形成されるのを阻止しようとしている」=「デフレの継続を望んでいる」かのように映ります。



REUTERS」の「インタビュー:日銀は無制限緩和を、物価目標2─3%が適切=浜田宏一教授」( 2012年 12月 28日 08:47 JST )

 [東京 27日 ロイター] 安倍新政権で内閣官房参与に就任した米エール大の浜田宏一名誉教授は27日、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の金融緩和策について、買い入れる資産の総額をあらかじめ設定せず無制限にすべきだと指摘、物価上昇率目標の達成に向け、より残存期間の長い国債や株式などリスク性資産の購入拡大が必要との認識を示した。外債購入も一案に挙げた。

 目指す物価上昇率は諸外国並みの2─3%が適切と述べ、政府による目標設定や、それに伴う説明責任を明確化するため、日銀法の改正は「当然だ」と語った。

 インタビューは電話で実施した。概要は以下の通り。

──日銀は12月の金融政策決定会合で10兆円の追加緩和を決定し、「物価安定の目途」も見直す方向だ。

 「努力はしているが、Too Little Too Lateというペースは変わってない」

 「(物価安定の目途で示している)1%のインフレ率は、他の国が2%という中で、1%ずつ円高が進む政策。景気振興策としても非常に弱い。デフレだったから目指す物価上昇率が低くていい、という考えはまったく逆で、現在のようにデフレ予想が定着している中では、むしろショックを与えないといけない。(物価目標は)2%ないし3%がふさわしい」

──2%の物価目標を達成するために有効と思われる緩和策は。

 「国債を買う場合は、なるべく長期のものを買うべきだ。国債だけではなく、CP(コマーシャルペーパー)や株式、REIT(不動産投資信託)などを拡大していけば、国民経済に影響を与える。外国の通貨や債券を買うのもその一部だと思う」

──安倍首相は先の衆院選において無制限緩和も主張していた。

 「(金融緩和に)制限はつけない方がいい。円や物価が反応している限り、どんどん買い進めるべきだ。どれだけ必ず買うなどというのは固定的な政策だ」

 「通貨で言えば(ドル/円で)95円、100円に近くなれば金融政策が効果的ということになる。ただ、固定相場制のように為替レートを目標にするのはよくない」

──自民党は日銀法の改正も視野に入れている。

 「中央銀行の独立性とは、政策手段を自由に選べるという意味。物価上昇率という国民経済全体に影響を与えるような政策目標まで決めることを意味しているわけではない。その意味で日銀法を改正するのは当然だ。目標を政府が決め、達成できない場合の説明責任を設けるべきだと思う」

──高い物価目標の設定と大胆な金融緩和によって長期金利が上昇する懸念はないか。

 「金融を拡張すれば名目金利は上がるが、インフレ率あるいは期待も上がり、実質金利は下がる。投資や消費に響くことを考えれば、金融拡張が金利を通じて景気に悪影響を及ぼすことは理論的にほぼあり得ない。株価も上昇するので信用も改善する」

──物価が上昇しても、雇用・所得環境が改善しなければ、景気には悪影響ではないか。

 「今のデフレ状況の中では、デフレ率が変わらなくても過剰設備・失業率が増えていくという関係がある。過剰設備が少なくなり、完全雇用に近づいた時に初めて物価(上昇)の(経済に与える)心配が出てくる。何もやってないのに、金融を拡大すると困ったことになるぞと言うのは、ゴルフ場でグリーンに向かってボールを打つのはいいが、グリーンの向こうには崖があると言って、ありもしない崖をしきりに叫ぶ日銀の常とう手段。それは間違いだ」

 「米国のインフレ率は2%程度だが、今も大胆な金融緩和を続けている。これに対して共和党は、さらに金融を緩和しても雇用には効かず、物価に響くと心配しているが、これは2%という物価上昇率の中での議論。日本はどこよりも低い物価上昇率なので、(大胆な金融緩和は)経済にプラスの影響だけで、インフレによるマイナスの影響を心配する必要はない」

──安倍政権は大型の2012年度補正予算の編成も打ち出している。

 「金融緩和をするので財政も、というのは違う。日本の財政は危機的ではないが、深刻な状態だ。金融緩和で増えた税収は、財政再建に使うべき。税収が上がるので大盤振る舞いすると、せっかくの金融緩和の財政への好影響がなくなってしまう。財政再建のために消費税を増税すれば、パイがしぼむ。景気が回復してから、税率を最小限度だけ上げるのが望ましい」

 「防災・減災や震災復興など本当に必要なことを遅れずにやっていくことは極めて重要。ただ、国土をすべて強靭(きょうじん)化することはできない。財政による景気振興政策はむしろ考えない方が、日本経済の健全な発展に重要だと思う」


新年快樂

2013-01-02 | 日記
あけましておめでとうございます。

国内政治状況や、日本をとりまく国際情勢と同様、
昨年は個人的にも激動の一年でした。

私は、意外にも幸福な新年を迎えています。



今年は4日~7日頃に更新を始めます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

フィリピン、日本の軍事力強化を支持

2012-12-21 | 日記
 アジアには、日本の軍事力強化を「期待している」国があるようです。

 これは重要だと思いますので、紹介します。



iran Japanese Radio」の「フィリピン、日本の軍事力強化を支持」( 2012/12/10 月曜 20:06 )

フィリピンが、中国に対してバランスを生じさせるため、日本の軍事力の強化を支持しました。

フランス通信によりますと、フィリピンのデルロサリオ外務大臣は、イギリスの新聞、フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「フィリピンは、中国の台頭に対して、バランスを作り出すために、第2次世界大戦で敵国であった日本の軍事力の強化を強く支持する」と語りました。

また、中国が領有権を主張する南シナ海の島々をめぐる緊張が拡大する中、「我々は地域にバランスを生じさせるための勢力を探している。日本はこうした重要な勢力の一つだ」と語りました。

フィリピン外務省のエルナンデス報道官も、「フィリピン政府は、日本が自衛軍として、自らの軍事力を向上させ、地域での作戦において、自由に積極的に活動することができるようにすべきだと考えている」と語りました。

エルナンデス報道官は、デルロサリオ外務大臣の発言として、「我々は日本の軍事力の強化を支持する」と述べました。

日本は1941年12月から、3年間フィリピンを占領し、この中で、容疑をかけたゲリラ隊を拷問し、死刑にしました。

今回のフィリピンの外務大臣のインタビューは、日本で衆議院選挙を前に行われたものです。

中国は、南シナ海の大部分を自らの領土だと主張しています。